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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
5章ですよ わ……私がお母さんですか!? お姉ちゃんではダメですか?
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クリスマス閑話 聖夜の伝道師・モーリン

いつもと違う時間に投稿してみました。


本編とは繋がっていない単発のショートストーリーとして読んで下さい。

どうもこんにちは、木です。


 この辺りは冬でも雪が降らないと思っていたのですが、珍しく今日の朝に雪が降りました。

 ですが、すでに溶け始めているので、雪景色を見られるのはせいぜい明日の昼くらいまでだと思うんですよ。 なので、今しか雪がないと言うのならクリスマスも今晩のうちにやりましょう! っと思ったので、クリスマスツリーになってみようと思います。

 日にち? カレンダーが無いのでわかりません。 ですが、冬なのでクリスマスをやってもいいと思うんですよ。 楽しければOKですよね。


 私がクリスマスの伝道師となって、この世界にクリスマスを広めちゃいますよー!



 とまあ気合いを入れたのはいいのですが、まず、モミの木ってどんな木だったか思い出せません。 ……モミってもみあげの事ですかね?

 ……とりあえず自分のもみあげを増量してみました。 もみあげワッサワサ。

 まあ、これでモミの木って事にしておきましょうか。 では、あとは飾り付けですね、これは果物を飾りの代わりにしましょうかねー。



 んー…… 完成しましたが、3つ失敗しちゃいました。

 まず、飾り付けはやっぱり星の形がいいですよねー、と思ってスターフルーツを実らせたんですが、あれは切った断面が星形に見えるんであって、丸まんまだと全然星っぽくありませんでした。 


 いえ、実らせる段階で強くイメージすれば、多分、星形にすることはできると思いますよ?

 スターフルーツどころかバナナでもアボカドでも星形にできるとは思いますが、それはなんか違うと思うので、もう星形じゃなくてもいいのでスターフルーツをぶら下げたままにしておきます。



 そして2つ目の失敗です。

 少し予定と違うデザインになりましたが、クリスマスツリーにはなったので、さあ皆さんにプレゼントを配りましょう! っと思ってから気付いたんですが……。


 プレゼントを配るのはサンタさんですよね? クリスマスツリーがプレゼントを配って歩くのはおかしいですよね? 煙突から入ったら、そのまま暖炉の薪になっちゃいますよねー。


 うーん、なんか勘違いしていましたよ。 でもまあ、クリスマスの無い世界なので多少アレンジしてもOKですよね? では出発しましょうか。


 ……と思ったところで3つめの失敗です。

 ツリーの状態だと歩けませんよね……。 プレゼントを配る以前の問題でした。

 

 うむむ…… せっかくもみあげを伸ばしてクリスマスツリーになったのですが……

 仕方ありません。 ここは大人しくサンタさんになるとしましょうか。


 では、変身! とうっ!



 ……変身完了! と言うことで、改めまして……


 どうもこんにちは、サンタさんです。


 ヒゲは生やせなかったので、ヒゲの代わりは、さっき伸ばしたもみあげでいいですよね? 遠目で見たらヒゲももみあげも似たようなものです。 多分。

 

 ヒゲはこれでいいとして、サンタさんの服装が微妙に思い出せませんね~。

 とりあえず赤くてモコモコした柔らかそうな服だったなーっと思って、雰囲気で再現したのですが、ただの赤いパジャマになりましたねー。 まあ、赤くてモコモコしてればOKですよね?


 あっ、一応キャミソールとぱんつも赤くしましたよ? 見せる予定はありませんけど、見えない所もこだわるのが職人と言うものです。 私は職人ではありませんが。

 

 え? ブラジャー? なんですかそれは? 知らない子ですねー?

 少なくとも私には必要の無いものです。


 まあ、とりあえずこれで真っ赤になったのでサンタさんらしくなったでしょう。

 あっ、顔を見られたら私だとバレてしまうので、顔を隠しましょうかねー。 以前に民芸品を売ってた行商人さんがくれた仮面があるので、それを被りましょうか。


 はい、装着! ……んー、真っ赤な格好で仮面を被っていると、サンタさんというよりは3倍速いパイロットに近づいた気がしますが…… まあOKとします。


 では、夜の内にプレゼントを配りましょうか。

 まあ、プレゼントといっても、果物なんですけどね。

 ……ついでにさっきのスターフルーツも配ってしまいましょうか。

 

 本当はもう少し変わった物にしたいのですが、村の皆さん全員に別々の物を用意するのはちょっとムリなので、そこは妥協ですね。

 あと数的にも全員分はムリなので、今年は最初にこの村を作った人たちの分だけです。

 本当はみんな平等がいいんですけど、どうしても私1人では限界がありますからねー。


 さて、まずはちくわちゃんとセレブお嬢さんとぺルルちゃんの枕元には……

 うん、スターフルーツにしましょうか、今まで食べさせたことありませんしね。


 はい、メリークリスマ~ス。 うん、これでよし。

 起こさないように静かに抜け出して……っと。


 さあ、他の皆さんの所にも行きましょうか。




 村に来た私は、警備の人たちが集まって村の外を見ているのに気付きました。

 おや? なんですかね? こんな夜中に。


 皆さんの視線をたどると、村を囲む塀の外に、小さな鬼みたいな猿みたいな何かがいました。

 んー、これってゴブリンってやつでしょうか? 4匹いますね。


 あー、警備の人たちにしてみれば、一応魔物がそばにいるんだから緊急事態ではあるけど、ゴブリン4匹のために夜中に大騒ぎして皆さんを起こすのもアレなので、どうするか悩んでいるという所ですか?


 では、手早く追っ払ってしまいましょうか。

 私は警備の皆さんのそばへ行きます。 おお、皆さん、こんな時なのに、私を見ると一斉にわさわさしてくれました。

 おや? 仮面を被ってるのに私だとバレてます?


 んー、流石に村の治安を守る方々は洞察力がありますねー。

 ふむふむ、バレてしまっては仕方ないですね。 このまま無視しては感じ悪いですし、私もお返しにわさわさしました。 メリークリスマ~ス。


 そして私は塀の所まで行くと、髪にクルミを実らせ、それを手にとってゴブリンの足下に投げつけます。

 ズバーンと良い音をたててクルミが地面にめり込むと、ゴブリンがその場で固まりました。


 何してるんです? 早く逃げてくれないと、本当に当てちゃいますよー。


 私がもう1発投げて、また地面に穴をあけると、ギャッ! って感じの声をあげて逃げて行きました。 これでよしっと。


 私は警備の皆さんに手を振ってお別れすると、果物配達を再開しました。



 そして、なんとか夜明け前に果物を配り終えることに成功しました。

 ミッション終了ですねー! これをきっかけに、クリスマスというイベントがこの世界に根付いたら嬉しいですね。


 何年……あるいは何十年か先の未来に、私のように地球から転生してきた人がいたら、この世界にクリスマスが伝わっているのを見て、

 『なに!? この世界にクリスマスが!? まさか過去の転生者が伝えたのか?』

 とか言ってくれるかも? とか考えるとちょっと楽しくなりますねー。





 ーーーーーー



 翌朝、村人たちは枕元に見知らぬ果物が置いてあるのを見つけた。


 村人は、夜中に見知らぬ果物を配って歩く存在が何者なのかなど、考えるまでもなく想像できたので、モーリン神殿の方角に感謝を込めて一礼し、祈りながらその果物を食べた。


 またその頃、警備兵たちの間ではモーリンが自ら夜中に村を見回り、木の実を投げてゴブリンを追い払っていたことも噂になっていて、それを聞いた村人たちは、モーリンに更なる感謝を捧げ、その伝説を語り継いで行くことを心に誓うのであった。




 ーーーー そして、遠い未来の、ある日 ーーーー



 神殿都市モーリンに、ある男女が訪れた。

 彼らは日本からの転生者で、旅の途中でここへ立ち寄り、色々な情報を集めている所だった。


 そして、図書館でこの土地の伝承などを調べてきた女が、相棒の男に情報収集の結果を伝える。


 「ねえ、この地方には、冬の日に、ナッツを投げて鬼を追い払ったり、神様の居る方角を向いて祈りながら物を食べる行事があるんだってさ。 これって節分の事よね?」


 「この世界に節分が!? まさか過去の転生者が伝えたのか?」




 ……モーリンの意図とは違うイベントがこの地に根付いていた。


 


 

 

 

 

この話で丁度100話目です。

60話くらいで終わると思っていたんですけど、思ったより長くなりましたねー。


本編は27日から再開する予定です。 ただ、年末年始で予定が色々あるので、2日に1話ペースは難しいと思います。 3~4日に1話くらいになりますかね?


さて、次から終章です。

1月中で本編が完結すると思います。 最後までよろしくお願いしますね。


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