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ウッディライフ! ~ この木なんの木? 私です ~  作者: 鷹山 涼
1章ですよ 誕生して成長して、団体さんが引っ越して来ました。
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5話 ポーク襲来からのココナッツクラッシュ 

主人公の攻撃技、初披露!

どうもこんにちは、木です。


 今日は朝から賑やかです。 やっぱりご近所さんが居ると活気がありますね~、とか呑気に考えてたんですが、少し様子が変ですね?

 ちょっと視界を飛ばして見てみましょう。


 この視界を動かす能力についても色々と発見しました。

 どうやら縦にも横にも自分の背の高さ分まで動かせるみたいです。

 イメージとしては、自分の身長の長さのヒモが付いたまま幽体離脱してる感じです。


 転生初日に、その場で視点をグルグル動かすくらいしか出来なかったのは、その時の私のサイズが1メートルも無かったからでしょう。


 測ったわけじゃありませんけど、今の私は高さ7メートルくらいでしょうか? まあ、上の方のヒョロッと細い所まで含めてですけど。

 横に7メートル動いてもあまり見える景色は変わりませんけど、縦に7メートル上がれば、見えるものは結構変わります。

 それくらいの高さでも、周囲の確認には使えるでしょう。


 と言うことで、上へ参りまーす。



 ふむふむ、良く見えるとは言えませんけど、それなりには見渡せますね。 さ~て、騒ぎの原因は……。 ……おや? なんか戦ってませんか!? だ、大丈夫なんですかね?


 近づいてくる魔物を、N H T (謎の人たち)48のメンバーが5人で弓を射って足止めしています。

 あの魔物は……えっと、ゲームでよく見るんですけど、名前をド忘れしてしまって……

 あの豚の人たちの名前は確か……ポークでしたっけ?

 ……うん、多分正解です、確かそんな名前の響きだった気がします。


 あっ……横から颯爽と現れたマッスルさんがズンバラリンと切り捨てました。

 あの人やっぱり強いんですね~。 あれは見せかけの筋肉ではありませんね。

 ちなみに斬られたポークは、この後スタッフが美味しく頂いた…… かどうかは不明ですけど、担いでテント村に持って行ったので、多分、食べるんだと思います。


 思った通り丸焼きが始まりました。 ……皆で焼いて食べるまでは予想通りでしたが、お爺さんがポークの頭だけを私の所にデリバリーして来たのは予想外でした。

 お近づきのしるし……みたいな感じでしょうか? 引っ越しソバ感覚でポークの頭と言うのは相当ワイルドですけど、他人の好意は素直に受け取りましょう。


 私が足の裏からストローでタピオカを吸うイメージで気合いを入れると、ポークの頭が地面に溶けるように消えていき私に吸収されました。 ……ゴチになりました。

 少し複雑なイメージでしたけれど、たまたま前世で似たようなものをイメージした事があったので、すぐにコツが掴めました。


 今日は、それ以外には特別変わった事はありませんでした。

 なので皆さんが小屋とか柵とかを建てているのを眺めたり、私の近くでぴょんぴょん跳ねるちくわちゃんを眺めたりして過ごしました。



 ーーーーーー



 次の日の朝……と言うか、早朝になったんですが…… ん~、何か変ですね?

 説明の出来ない微妙な居心地の悪さを感じます。 これは状況確認するべきですね。

 そりゃ! F P S(不思議パワーサーチ)発動!


 こ……これは!?


 異常事態です! 反応が沢山あります!!

 そして盲点です! 反応が沢山あるのは確かなんですけど、人間とそれ以外の反応の区別がつきません!!


 当然と言えば当然ですけど、ゲームのレーダーみたいに、敵と味方が赤とか青とか色分けされてるわけが無いですよね~……。

 まあ文句を言っても仕方ないですね、視点を飛ばして直接確認しましょう。

 幽~体~離脱~!


 やはり最後に頼りになるのは肉眼での目視という事ですか。

 私に肉眼は無いですけど。


 うわっ、またポークが侵入してます。 しかも5~6匹居ますね。

 今日はマッスルさんはお休みのようで、ちょっと不安でしたがNHT(謎の人たち)48のメンバーには他にも強い人は居るみたいですね。 今回は、紫色の髪を腰まで伸ばしたセクシーお姉さんが出陣してます。

 セクシーさんの横に槍を持った男性が二人居るので、3人パーティーですね? このパーティーを、セクシーさん・With・Bと呼びましょうか。


 セクシーさんは…… おおっと!? こっ……これは攻撃魔法でしょうか!? 光る球を飛ばして戦っていますね。

 With・B が槍で牽制して、その後ろからセクシーさんが魔法を撃つ戦法ですか。

 おお! しかも今度はビームを射ちました! セクシービームでしょうか!?


 ……でも、あれで大丈夫ですかね? セクシーさんの魔法は強いです。 実際に、光る球4~5発で1匹、ビーム1発で更に1匹倒しましたし……。

 でも、With・Bは微妙な強さらしくて、徐々に敵を止め切れなくなって来てます。


 セクシーさんは明らかに後衛タイプです、前衛が突破されるとマズイです! ピンチじゃないですか!?

 ……と、思っていたタイミングに颯爽と登場!! 我らがヒロインちくわちゃん! ……って、あんな小っちゃい子が出て来ても大丈夫なんですか?


 ……と心配していましたが、ちくわちゃんは魔法少女だったようです。 ……あれは風の魔法ですかね? 見えない衝撃波でポークを押し返しました。

 凄いです! ちくわインパルスと名付けましょう。


 With・Bが足止めしている所に、ちくわインパルスを射って押し返して、そこに止めのセクシービーム! というパターンが出来てからは、危なげ無く勝ちました。

 今夜も丸焼きパーティーですね!!



 ……そして今夜も私の所に、ポークの頭 ×6 がデリバリーされて来ました。

 ……注文してませんよ?



 ーーーーーー



 それから2日の間、ポークの襲来イベントはありませんでした。

 でも村はすっかり物々しい雰囲気になっちゃいましたね……。 村作りも、防護柵や物見台といった設備を優先しているようで、家や畑が後回しにされています。

 皆さんも笑顔が減っています。 うう……、こういうのは嫌ですね、早めに終わればいいんですけど。


 ……その次の日の朝でした。


 うわわわっ!? います! メッチャいます!!

 いつも通りF P S(不思議パワーサーチ)を使ってみると、まあいるわいるわ。


 今回はマズイ……かもしれませんね。 私としては最終的に敵を倒せても、身近な人が1人でも死んでしまえば負けだと思っています。


 少しでも戦力が必要ですね…… 私も参戦しましょう。

 私はコミュニケーションが取れないので、誤爆するのが怖くて控えてたんですけど、これだけ敵が多いなら、邪魔にならないように攻撃するタイミングもあるはずです。


 1度視覚を飛ばして村の様子を確認してみましょうか。

 ふむふむ、NHT(謎の人たち)48にもF P S(不思議パワーサーチ)が使える人が居るんでしょうか? ポーク襲来に気付いているようで、戦いの準備を始めています。


 そしてポークが村に近づいて来ると、弓と魔法での遠距離攻撃を始めました。

 まだ乱戦になっていませんね、今なら行けそうです!!


 私は、枝の先に不思議パワーを込めて、イメージした実を創り出します。

 ……さあ、少々エゲツ無いやつ行きますよー!!


 私が創ったのはヤシの実です。 ……ええ、ヤシの実ですよ?

 固くてトゲトゲで、中には食虫植物の消化液を更に濃縮したものがタップリと詰まっています、辛味成分カプサイシンもモリモリと配合して、辛党の貴方も大満足!!

 ついでに表面はシックに渋さが光る漆塗りです。 まあ、当然乾いてないので触れるとメッチャかぶれますけど何か?

 この凶悪なブツは何だって? だから、ヤシの実ですってば。


 あとはこれを飛ばしましょう。 投石機のイメージで枝を限界までしならせて…… うぐぐっ……これはキツイですけど、根性とガッツで我慢して…… 枝を一気にビヨヨンと戻しながら実を……  切り離す!!!


 ばびょーん、と山なりの起動で飛んで行くヤシの実。 おや? 思ってたよりも遠くまで飛びますね? 最前線のポークを狙ったんですけど、後ろの方に当たりました。 まあ何匹か倒れたみたいなのでOKです。 さあ、次弾装填しますよ!!


 どんどんヤシの実を創っては投げ! 創っては投げ!

 ……そう言えば、格闘技でココナッツクラッシュという技があると聞いたことがありますね。

 格闘技は詳しくないので知りませんけど、名前から想像すると、きっとこう言う感じの技なんでしょう。

 よ~し!! この技を我流ココナッツクラッシュと呼ぶことにしましょう!


 アッチへぽーい、コッチへぽーい、と投げまくっていると、やがて状況が変わってきました。


 思ったより命中するので、楽しくなって爆撃を続けてましたけど……

 う~ん、乱戦になって来ましたね、そろそろ誤爆しそうなので止めましょう。

 いつの間にか戦況も有利になってるみたいですし、後は応援でもしていましょうか。


 私は枝の先に黄色い花を咲かせて、ワッサワッサと振ります。

 頑張って下さいね~!! フレー! フレー!



 ーーーーーー



 戦いが終わりました。

 勝利の後は丸焼きパーティー……と言う流れは理解したんですけど……

 今夜もまた、私の前に積まれた ポークの頭 ×67……

 コレは本当に善意のお裾分けなのか? と、疑問が湧いて来ましたね~……。

 ……実は私、嫌われていますか?

ココナッツクラッシュはプロレスのつかみ技です。 決してヤシの実を投げつける技ではありません。

プロレスでヤシの実を投げ付けると、多分1発で反則になると思います。

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