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その6 不思議不可思議可視不可視

「……貴方の特技は何ですか?」

「暇を潰す事。」


登校

教室に行って席につこうとしたら、席までの道を塞ぐような車椅子。

あの長い階段を登りきって足に疲れが溜まってんのに なんで直ぐに座れない だりぃし

しかもいきなりぶつけられた質問に即答したのに、これ見よがしにため息吐かれなきゃいけないんだ。


「もっとこう……例えば楽器がものすごく上手だとか、運動神経が抜群とか。」

「前者なら音楽学校、後者なら運動系の学校行ってるわ。」


もっともだと思ったのか、車椅子娘が黙った。

今の内に遠回りして自分の席に向かって只今車椅子の背後。

ようやく腰が下ろせると、荷物を机の横に引っ掛けて椅子に倒れかかるように座る。

あ〜、極楽 極限に楽。


「なにかこう……人と違う何かとか無いですか?無類の個性みたいな。」 

あっ、まだ居たんだ。


「日本の学校に通ってる時点で個性なんぞ埋もれるって。」

素晴らしき出る杭は打たれる 没個性推奨

個性がなけりゃ、最初から世間にレールが敷いてある→めちゃくちゃ楽。


「趣味とかないのですか?」

「暇つぶし。」

「……………すみません、もう一度特技を教えていただけますか?」

「暇潰し。」


あぁ、頭痛がするみたいだな。はやく教室戻った方がいいぞ。(棒読み すごく棒読み)


「………放課後、屋上に来て下さい。これ扉の鍵ですから。

来なかったら貴方が変態だという噂を全力で流すので必ず来て下さい。」

そのまま自分で車椅子の歯車を回して教室から去って行った。

あとに残されたのは銀色の鍵が一つ。

どうやって手に入れたとかは知らないほうがいいだろう、きっと面倒事だ。


「今の子知り合いなん?」

車椅子の陰に隠れて見えなかった大翔が俺に聞く。 てか 居たんだ。


「いや、別に。」

「それにしちゃ、やけに親しげだったじゃん。俺、嫉妬しちゃうぜ?」

いや、その表情読めない笑顔で言われても全く説得力がないし。

お前に嫉妬されてもぜんぜん構わないし、あ〜メンドそうだからヤダか。


「教室移動したって事は別のクラスの奴か、名前ぐらいは知ってるでしょ。」

車椅子が出て行った出口を見ながら目の前の奴が言う。

はやく席替えしねぇかな? そもそも、何順なんだこの席順。


「しらねぇって、名前も。」

「そっか。んじゃ、俺のほうがまだ勝ってるんだな。」

勝ってるって何にだよ。

ポケットに鍵を突っ込みながら周りを見渡せば、女子グループがこっち見てる。

あ〜、目立ってる目立ってる目の前の奴のせいで ヤダなぁ。


「もう少ししないと先生こねぇし、寝とけば?なんか疲れてるっぽいし。」

ため息ついたら心配そうに言われた。

原因その1に言われてもな いや、寝るけど。


「先生来たら起してやるよ、オヤスミ トワ。」

「あ〜、ありがとさん。」

礼は一応言う 一応

眼鏡を外して机の端に置いとく つけたまま机に伏せると案外痛い。

それから 腕を枕代わりにして、目を閉じる。

暗闇が視界を覆って10秒しないうちに、俺の意識はその心地よい闇へ堕ちた。

サブタイトルは御題配布サイトから貰ってきています。


配布元 遙彼方

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