赤髪の威厳
サラと別れた俺は、受付で渡された番号、4番会場へと向かってる。
試験内容は、魔力計を備えた人形との実戦形式だそうで、生身じゃないなら気兼ねなくSランクを目指せる。
「受付で4番を渡された者!!
俺はここの試験官を担当するアルマ・ドロフスだ!!!
試験内容は既に受付で聞いたと思うが、ここにある人形と戦う、ただそれだけだ!!
それでは、試験番号1から順に前へ!!!」
俺は試験番号が……うん、2番か。
よしっやるか!
「君ィ、見ない顔だねェ!?落第生ェ?」
「いえ、騎士学校に通ってましたが…?」
「ハッ騎士学校ゥ?魔法も使えない無能の集まりじゃないかッ!!!」
「……無能??」
突然の煽り文句に苛立ちを覚えた。
「そんな君ィが由緒正しい魔法学園の入学試験に?!笑えてくるねェ?!」
「騎士学校は関係無いだろ?今すぐにその発言を撤回してくれ。」
こいつは今、騎士学校を馬鹿にした。それは騎士団を馬鹿にしてるも同然だ。
確かに校内は殺伐としていたが、皆は血を吐く思いで訓練をしていた。
こいつが平和に暮らせるのも、騎士学校があり、騎士団があるからなんだ。
「撤回ィ?本当の事じゃないかァ!あんな雑魚どもに使われる国税、全部無駄ァ無駄ァ!!」
「だから……いい加減にしろよッッ!!……糞がッッ」
全集中を解除し、右拳一点に集中をさせる。
全力で殴り飛ばす!!!!!!!!
こいつはそうでもしなきゃ許せない!!!!!
「待ってくれ。ねえ君、その拳抑えてくれないか?どうか落ち着いて。」
突然、赤髪の男が仲裁へと入ってきた。
いつの間に来たんだ……?
「あれェアロウ君じゃないかァ!!君も試験会場がここだったんだねェ!」
は?こいつの知り合いか……?
「僕はアロウ・クレ・リヒテン。僕の知り合いがすまないことをした。代わりに謝罪をする。申し訳ない。」
「いやいや。なんであんたが謝るんだよ。」
「そうですよォ!騎士学生なんかに謝る必要ないでッブガッッッッッ!!!!!!」
目にも止まらぬ早さで、うざい奴がぶっ飛んだ。
いやアロウがぶっ飛ばした。
「さっきから騎士団を侮辱するような物言い。前から思っていたが、君の態度が心底気に食わない。僕らの平和の為に尽くしてくれてるのが、騎士団であり騎士学生だ。感謝したまえ。」
「おいそこ!!!!!なにをしてっ?!リヒテン様?!」
「ああ、アルマ試験官。些か小煩いハエが飛んでいたのでな、叩いただけだ。僕が試験番号1番だ。始めるとしよう。」
あの試験官がかしこまった??
何者なんだ??
「そういえば君の名前を聞いていなかったね。名前は?」
「あー、俺はロブ・クロエだ。アロウ、さっきはありがとう。」
「ん?……おお!君がロブくん!感謝はいらないよ!!んー……いや待てよ……よし!君が全力で試験に挑んでくれることで、借りを返してもらおう!手加減は無しだ!」
「は……はあ?」
「じゃあ、僕は行ってくるよ。」
そう微笑み、試験に挑むアロウ。
開始の合図と同時に風属性の魔法を使い、人形は10秒足らずで破壊され、驚きを隠せなかった。
あいつは、アロウは、詠唱を短縮していた。