震えて実感する温かさ
「はぁーーーー……」
試験当日の朝、とてつもない緊張から深い溜め息が出る。
「ロブ?そんなに溜め息ついてどうした?」
母さんと一緒に台所に立ち、朝食を食卓へと並べている姉ちゃんが声をかけてくれる。
「いや、試験がね……。」
「あー…それで長い溜め息だったんだね。」
「あら?私の息子ともあろうロブは、試験ごときにひよってるの?」
理解を示してくれる姉ちゃんを傍目に、母さんが全力で煽ってくる。
「うーん……友達が出来るか心配なんだよね…」
「「へ?!友達?!」」
「いや……うん?そうだけど?」
「普通に考えて、試験が不安で仕方ないのかと思ったよ??」
あ、そっか普通に考えたら試験が不安での溜め息に聞こえるのか。
「確かに不安は不安だけど、魔法に関しては学園の第一学部の先生と第一学部の生徒に教わってるからそこまでかなあ……」
試験への不安と言えば威力の調整を誤らないかだけでそれ以外に関してはなんとも思ってない。
「おはよう、ロブ。だからと言って本気を出しすぎるなよ。
ロブの匙加減で会場を壊しかねんからな。」
「父さん、おはよう!だからこそ、この日の為に練習してきたんだ。そんなへまはしないよ!」
仕事があるにも関わらず、暇を見ては俺の練習に付き合ってくれた父さんの為にも、S評価を得て、姉ちゃんと同じ学部に通うんだ。
まあ、それ以外にも力を出しすぎて、浮かない様にって意味でもあるんだけど。
「それならいいんだが…どうも昨日から嫌な予感がしてな。ロブの事じゃなきゃ良いんだが……」
「あら、パパ?ロブを信用できないの?」
「あ、いや!?そう言う訳じゃ……無いんだよ?ママ??」
ほんと父さんはカッコいいのに母さんの尻にしかれてるのだけはカッコ悪いなあって思っちゃう。
外では、ちゃんと父さんを立ててるから、こんな姿はトゥルさん以外知らないんだろうね。
「パパ?ママ?取り敢えず食べようよ!冷めちゃう!」
天使の生まれ変わりかの様な笑顔で父さんと母さんの仲裁に入った姉ちゃん。
いつもは、ぽけーっとしてるのに魔法に関してはあの学園で右に出るものは居ないんだよな……。
いやまあ、俺が無詠唱のコツを教えたらすぐ身に付けたからなんだけど……。
取り敢えず朝食を取ろうと手を合わせ小さくいただきますと呟いた。
この世界では頂きますの概念が無いみたいでうちの中でしかやっちゃいけないと釘を刺された。
どうしても、前世が消防隊員だったからか、食べれることに感謝してしまうのは、抜けきれない癖である。
カチャーンと大きな音を立ててしまった。
スプーンを持とうとしているが、掴めない。
「あれ……。掴めない。手が震えてる……」
「ハッハ!!ロブの身体は正直だな!試験にビビってる!!」
不意に、父さんにバーンと背中を叩かれ、震えていた手が止まった。
「父さん痛いよ!!力加減して!!!」
「悪い悪い。だがもう食べれるだろ?さ、食べちゃいなさい。」
ほんっっとに、もうこの人は……。
最高の父さんなんだよ。
遅くなりました。モチベあげます。