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小さくて大きい幸せ


「ん……重いよッ……」


目を覚ますと、見慣れない天井に驚いたけど窓の外を見ると、見慣れた景色に気がつき騎士団の医務室だと理解した。


母さんが僕の手を握り、お姉ちゃんは足元で突っ伏して眠っていた。

父さんは立ったままなんだけどピクリとも動かないから寝てる…のかな。


ああ、この人達には迷惑かけたな…。

みんなに愛されて、ロブ・クロエとして生きていられる事は幸せだな。


「みんな、おはよう。」と僕が呟くと、皆が慌てて飛び起き、僕を見つめ、父さんは赤くなった目を擦り、思いっきりと、力強く僕に抱き着いたた。


「ロブ、良く頑張ってくれたな。ズッ」

父さんのすすり泣くような音が聞こえ、目頭が熱くなってくる。


泣きたいのをグッと堪え、お姉ちゃんに「どれくらい寝てた?」か、と聞くと一週間近くだと言われた。

魔法を全力で使い、亜種化したライノスを倒した後に魔力不足で一週間程、眠っていたらしい。


そりゃあ家族も心配するよね。

父さんには寝るって言ってる訳だし、

あ!そうだ。と突然、気に掛った事が。


「ねえお母さん、僕の魔力の流れって見える??」


そうお母さんに聞くとお姉ちゃんと顔を合わせ、僕の方を二人で見つめて固まった。



「おい?どうしたんだネカリ?ネトア?」

父さんが、固まるお母さん達に声をかけると、お姉ちゃんがフッと我に返ったのか口を開く。


「いや、うん。ねえ、お母さん……?」


「そうねぇ…魔力の欠乏で倒れているのに、この量……。ねえお父さん?……ロブは何属性の魔法を使ったの?」


お母さんが意味深な事を言い放ちお父さんに使用魔法の属性を聞く。

僕もそれが気になっていたんだ。

ナイスな質問だね。


「ああ……それがな、闇だそうだ。」


「へ?!闇?!!」 「闇って本当なの?!」


え、いや?闇??って??

魔王とかの類い??

「ねえ闇魔法って?僕の魔法、五属性のどれかじゃないの??」


母さんが、よく分からない表情をして僕に話す。


「ロブ。あのね、闇魔法は伝承でしか存在してなくて扱える人が居ないに等しいの…魔法学園に通ってないと学ばないのよ…。だからロブは知らなくて当然ね…」


知らない魔法が使えるって何事よ…


「ねえお姉ちゃん…闇魔法ってすごいの?」


「凄いもなにも伝承の中の闇魔法使いは全部の属性が使えてるんだよ!!魔力の無かったロブが闇魔法だなんて、嘘みたいだよ!!最強だよ!!」


最強……!ちょっと嬉しくなってきたね?!

明日から魔法の勉強時間増やそう!



あ、そうだ


「ねえお父さん。亜種化したライノスが石化魔法使ってたよね。禁忌って魔物も使えるの?」


そう父さんに告げると顔を歪ませ、母さんも同じような顔をしていた。


「ああ…禁忌系統は魔法ってより魔術に近いから魔物が使うのはおかしいんだ。それと、石化魔法は視界を奪うことはできないみたいで見えていたよ。お前が吹っ飛ばされる直前で後ろに飛んで衝撃を軽くしていた時には驚いたがな。」



んーやっぱり、おかしいんだよね。

亜種化の成功、魔物が禁忌系統の使用、人の手が加わってるとしか……


「攻撃は全部見えてたよ!いつもやってる全集中を使ってたからね。こうやって……」


全集中を使おうと精神を研ぎ澄まし、五感全てを活性化させる。


「ロブ何してるの?!危ない!!!!」

「やめなさい、ロブ!!」



全集中に入ろうとした瞬間、お姉ちゃんと母さんから止められた。


「今、大量の魔力を使おうとしてたでしょ??暴発したら危ないよ!!」


今の全集中だよね?魔力を使うって?


「お姉ちゃんはなに言ってるの?全集中しただけだよ?なんで?」


お母さんがしかめっ面で口を開いた。


「ロブ…貴方、今全集中をいつも使ってるって言ってたわよね……何歳から?」


何歳からって教えてもらってからずっと…


って、まさか?!


「全集中を常時使ってたから、魔力の覚醒が遅れて読めなかった?!!」


5才までに魔力の覚醒が始まるのは当たり前だけど……


「貴方、全集中を常時使ってたの?!

魔力の流れを塞き止めて五感や身体を強化するのよ?!呼吸法の一つでしかないのよ?!!」




「へ???」


いやーまさか全集中が魔力を塞き止めてるなんて知らなかった…。

味覚とか鋭くなるから、山菜採りで活用してたし、いつもの晩御飯が倍に美味しく感じられたし、咄嗟にお母さんの気配とか分かるから便利だから使ってただけなのに…


「便利だから使ってたんだ……お母さんのご飯をもっと美味しく食べたくて…」


呆れた顔でお姉ちゃんが、

「ご飯が美味しいって……どれだけ全集中使いこなしてるのよ…多分お父さんですら10分と持たないよ」とボソボソ言っていた。


いや、それ前世が消防士だから気づかなかったわ。


肺活量のトレーニングとか、微量の酸素を最大限に取り込む方法とか当たり前だったから全集中が常時で使えたのか……。


「凄いことをしてたんだね……僕。」


「そうよ。暴発の危険が多いにあるから、学校ではなるべく使わないことを約束してね?」


「はあい。」


お母さんに怒られてしまった…。

全集中は隠れて練習しよう……。

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