2-6 初期ステータス
3分ほど経っただろうか?
店の奥からマスターが戻って来た。
その手には1枚のカードと思しきものが……
「レン君だったかな? 今から『ギルド登録』というのをやってただくんだけど、見た感じこの世界の事は詳しくなさそうなので、簡単にこの世界のシステムを説明させてもらうね」
マスターはそう言って説明を開始した。
「まず、この世界に来られた理由はセリナちゃんと同じく魔王討伐ですよね? それならば、話は簡単。強くなって第五層にいる魔王を倒せばいいのです」
「第五層?」
俺はマスターの言葉の後に聞き返した。
「うん。この世界は第一層から第五層まで分割されてるんだよ。つまり、ここ始まりの町 フォルトシアを含む、第一層から魔王討伐を目指し、上の層へと上がっていくってことかな」
マスターは淡々と説明していく。
「ちょっと待ってください! 上の層に上がるには何か特別な条件が必要なんですか?」
俺はマスターの説明についていけなかった……
「言い忘れてたね。まずはこの『システムカード』と呼ばれるカードに名前と指紋を登録してもらってもいいかな?」
そう言ってマスターは、手に持っていたカードを俺に差し出した。
——システムカ―ド?
そういえばさっき、セリナがちらっと言ってたっけ?
なんなのだろうかこのカードは?
俺は差し出されたカードを受け取った。
見ると、カードの表面がタブレット画面のようになっている。
そして、画面には、『名前』『指紋』と書かれた枠があった。
「えーと? ここに名前と指紋を登録すればいいのかな?」
俺はマスターに尋ねた。
「うん。その通りでね」
マスターの返事を聞き、俺はカードに指を走らせる。
名前、指紋を登録した俺は画面に表示された『確認』ボタンを押した。
すると、画面から激しい光が放たれた。
「なんだ……?」
俺は画面を覗き込んだ。
「ん? あなたの初期ステータス?」
画面に映しだされていたのは俺のステータスだった。
「どれどれ?」
セリナが横から画面を覗き込んでくる。
——自分の能力見られるのは恥ずかしいな……
まぁ、近くで可愛い顔を堪能できるから良しとしよう。
「えーと? 俺のステータスは?」
『あなたの初期ステータス』
HP 51
筋力 9
敏捷力 7
スタミナ 86
忍耐力 3
防御力 16
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「……これって低いよな?」
俺は画面に並ぶ数値にもはや本気で魔王攻略を諦めにかかった……