2-4 町に向かって…
「君の話から察するに登録はまだみたいだね。魔王攻略するならギルド登録は必須だよ!」
セリナは俺に言った。
「ギルド登録? てか俺、魔王攻略諦めたんだけどな……」
俺は答えた。
「どうして諦めちゃうの? 初期装備が悪いのなんて当然なんだよ? だって、ギルドに登録しないと武器や防具は装備できないんだから」
「えっ? この世界は登録無しじゃ戦えないってことか?」
「うーん……素手とかなら戦えるけど、それだけで倒せるような魔物はいないかな(笑) 町で働くにしても登録は必須だし、『システムカード』がないと持ち物や所持金を自分で持ち歩くことになるんだよ~」
——何かの勧誘か?
この世界、ギルド登録してないとマジで何もできねぇんだな……
てか、あのクソジジイ、なんで登録できる場所に転生させねぇんだよ!
テキトーに飛ばし過ぎだろ!
「あー、とりあえずギルド登録しようと思うんだけど、近くに登録できるとこあるか?」
「本当? じゃあ近くに私のお気に入りの酒場があるから案内するね~」
セリナは目を輝かせ、俺の手を取った。
そして、広い広い草原を駆け出した。
——俺の人生、魔王攻略に向かってる気がするんだけど……
ホントにこれで良いのか?
魔王攻略なんて面倒な道に進む意義があるのだろうか?
やっぱり俺にはわからない……
「セリナ、ちなみにだけど、その酒場までどのくらいの距離あるんだ?」
俺は前方を走るセリナに聞いた。
「えーとね。だいたい10キロくらいかな(笑) 走ればすぐに着くよ~」
セリナは首だけ振り返り、笑いながら答える。
・・・・。
俺は自分の耳を疑った。
「走ればすぐじゃねぇよ! 10キロもこのスピードで走れるかよ!」
さっきから、俺は自身の9割弱の速さで走っていた。
このペースで残り10キロなど到底無理だ……
「大丈夫だって! 最悪私が引っ張っていくから!」
「どこが大丈夫なんだよ! 引っ張られるじゃなくて、引きずられるの間違いだろ!」
俺は大声で叫んだ。
しかし、セリナが止まることは一度もなかった…