このフラグ、立てたくありませんでした。
まだ短いですが、ちょっとずつ長くなってます。本当です。
俺、ゴブリンの大群の次は異世界人とエンカウント。
圧倒的なレベルの差を感じる。主に見た目の。目の前の金髪美少女がラスボスに見える。
だが、俺は死神サユミという裏ボス的存在に鍛えられたんだ。主に精神を。だから負けない。負けてたまるかぁ!
相手のターン。相手は質問をしてきた。
「ゴブリン達に囲まれていてよく見えなかったけれど、ウル○ラソードって叫んだのは貴方よね?」
ぐはっ!なん…だと…聞かれていたのか...
こうかはばつぐんだ。勇者シュウは精神値にダメージを受けた。だが勇者シュウのターンはやってこない。
「それと、見えない斬撃を全方向に飛ばしていたわよね。」
なっ....見られていたのか!
きゅうしょにあたった。勇者シュウは焦る。
しかし、ずっと相手のターン。
「あと右手から黒い霧のようなものを出して、ゴブリンキングを簡単に倒してたわね。」
おうふっ。全部見られてた。
勇者シュウはさらに焦る。だが勇者のターンなんてものは無かった!
「もう一度聞くわ。これをやったのは貴方よね?」
やばいわこれ。
勇者シュウは謎の圧迫感を感じる。やっと勇者のターン。どうする、どうするどうする。
「アッハッハッハー。君は何を言っているんだい? これをやったのはトムじゃないかー。ジェシー、君は夢でも見てたのかい?」
勇者シュウは、誤魔化した。
相手は冷めた目でこちらを見ている。
「....私が見たのは紛れも無く現実よ。それと私の名前はジェシーじゃなくてレイセアーナよ。........レイナでいいわ。」
相手が反応してくれるだけで嬉しいと感じたのは初めてな気がする。
「....そうか。俺の名前はシュウだ。」
「そう。それよりこれは貴方がやったので間違いないのね。」
あっ、俺の自己紹介はスルーですかそうですか。この金髪が話すたびに俺の精神の耐久値上がってくんだけど。もうすぐカンストしそうだわ。さっさと話を終わらせよう。
「俺はやって無い。だからゴブリンのドロップアイテムの所有権も無い。...これで良いか?」
「....そうね。この量の魔石とアイテムなら売れば相当な額になるわね。....まあそれでいいわ。」
「そうか。じゃあな。」
「貴方、見かけない顔ね。私はここから東にある街に住んでいるわ。縁があったらまた会いましょう。」
「....そうか。じゃあな。」
おそらくゴブリンの大群が向かってた方向に街があるのだろう。なので俺はレイナが魔石を集めているうちに、街とは逆、ゴブリンが来た、森がある方向へ向かう。
けっこう精神値が削られた気がする。名前は...レイナでだったか。美少女で、きっと強いとは思うのだが、話していると非常に疲れる。
もう会いたくないと言いたい所だがフラグになる気しかしない。
「はぁ........縁があったら....ねぇ....」
冥界にいた時から変な奴とばかり縁がある。
次レイナとエンカウントしたら即行で逃げるを選択だな。
そう思いながら俺は逃げるように森へ入っていった。
異世界の森といっても特に珍しい木等は無く、元の世界の森とそんなに変わらない。
俺は元々あった道を辿っていく。探知系のスキルは無くなってしまったが、この森の中は生き物の気配を沢山感じる。特に近い気配は....俺の真後ろだね。
後ろを向くとデカい棍棒を振りかぶった一つ目の三メートルほどの巨人、サイクロプスが、俺を目掛けて棍棒を振り下ろしてきた。
「えっ、ちょ、まっ」
サイクロプスの先制攻撃。勇者シュウははかわせなかった。だが勇者シュウはなんとか受け止めた。勇者シュウの両腕が筋肉で肥大化する。
勇者シュウは棍棒をサイクロプスから奪い取った。勇者シュウは大きめの棍棒を手に入れた。
勇者シュウの攻撃。勇者シュウは大きめの棍棒を振りかぶる。
「棍棒おぉぉ、キィィィック!」
勇者シュウは大きめの棍棒を振りかぶったまま強化した足で飛び蹴りをした。
サイクロプスは何か言いたそうにしながら消えていった。
「できればトンファーでやりたかったな。」
勇者シュウはそう呟いた。
勇者シュウは魔石と棍棒を手に入れた。
レベルが1上がった。勇者シュウはトンファーキックを覚えたかった。
ステータスオープン。
あっ、本当にレベル上がってた。けどそれ以外何も変わって無いな。
俺は持っていた棍棒は投げ捨て、拳大くらいの魔石をポケットに入れた。
ふぅ。それにしても異世界のエンカウント率やばいな。ゴブリンの大群、金髪美少女、サイクロプス。ここに来て一日目も経っていないのにこれだ。
特に一番厄介だったのは金髪美少女だな。戦闘を見られてしまったのがまずかった。特に最後の黒化。あれは人には見せたくなかった。だが腕を直接変形させる所を見られなかったのは不幸中の幸いだ。
"変態"は人に見せたくない。俺はその気は無いが、悪用すればどんな人にでも成りすませられ、いつでも街を、国を、世界を壊滅出来ると思われれば、俺が何もしなくても警戒される。
そしたら俺は、せっかくの異世界なのに、百年以上は身を隠すしか出来ない。
以上が主な理由だ。
彼女は黒化をどう思っているか分からないが、警戒してる様子はなかったので大丈夫だろう。
でもまあ、もう会いたくない。
見事にフラグを立てたシュウくんでした。