アースなドラゴン、闘いました
「残念、死んでませんでした」
俺の声は鱗を削がれた龍の鳴き声と共に発せられる。
『は......い........?』
俺は地面の棘を身体に突き刺したまま、右手だけを前に突き出し、糸を動かす。
「爪」
四つの足の先についている爪が、複数の糸に削られ、切れる。
「牙」
口から出ている牙が、複数の糸に削られ、切れた。
龍の目がこちらを向く。
解ったか!? お前の敵は、俺だ!
「グオォオオオォォオオ!!!!」
地面が揺れる。俺に突き刺さっていた地面の巨大な棘が抜けていく。
「そうだ。俺だ」
「ヒメハル、クロネ、我が儘ですまないが、こいつと俺の一対一で戦わせてくれ」
「はーい」
「にゃあ」
良い返事すぎるな。そう笑いながら俺は、俺を見据える龍と対峙する。
龍の身体を地面が包み込む。
地面が元に戻ると、龍の鱗も爪も牙も切る前に戻ったように再生されていた。
さっきとは俺を見る目付きが違うな。別の龍と対峙してるみたいだ。
地龍は前足を振り上げ、地面を叩きつける。それと同時に俺の立っていた地面が俺に噛みつき、巨大な蛇竜となり、天井を突き破りながら俺を突き上げていく。
「これはやべえな」
体に幾つもの衝撃が襲いかかり、地蛇竜が止まった時、俺は溶岩地帯の層まで突き上げられていた。
俺は地蛇竜の上に立つ。そして、
「おらぁぁあああぁぁ!」
腕を蛇竜のような型にして、地蛇竜を上から崩してゆく。
崩れる地面の感覚が変わった所で蛇竜と化した腕を元に戻した。
俺の腕が空けた穴から落下し、地龍のいる階層で地面を抉りながら着地。
「ただいま」
そう言って地龍に向かって跳ねる。
襲いかかる地面の棘を避け、砕き、受けながら、地竜の顔の正面まで跳びそこに横から蹴りを入れる。
地龍の顔が蹴った方向に逸れ、俺は蹴った反動でその逆の方向に跳ぶ。
壁に着地、そのまま身体の筋肉をばねのようにして壁を蹴り、地龍を目掛けて再び跳んだ。
だが地面からまた蛇竜が出て、それが阻まれた。
俺はそれを殴って砕き、身体から糸を出して地龍に巻きつけ、それを引いて地龍の胴体まで行き、鱗の無い腹の部分を蹴り上げる。
よし、地龍の身体が少し浮いた。俺は両手の指を組み、ギガントアームハンマーで地龍を思いっきり横から叩いた。
地龍はダンジョンの壁を崩しながらぶっ飛ぶ。
俺は腕を元の形に戻し、縮地で壁に叩きつけられた地龍に追いつく。
そして腕を肥大化させて、鱗の上からだろうが関係無く、両手で連続パンチをする。
刹那の間の連打で鱗を破り、有効打を一発一発殴り込んでゆく。
だが、背後から地蛇竜に噛みつかれ、それを阻止され、更に俺は地蛇竜に呑まれた。
地面に埋まったような感覚....と言うか、地面に埋まっているのだろう。全身が圧迫されている。
どうするか。この地蛇竜....というか、地面を操られてしまう限り、思うように攻撃が出来ないな。
黒化はあまり使いたく無いが、このままではキリが無い。圧迫もそろそろ限界だし。
俺の身体が黒くなってゆく。そして、全体が黒化した時、地面の圧迫から逃れ、幽霊のように地面からすり抜けた。
自分の身体が、気体で出来た固体みたいな、微妙な感覚になっている。全身真っ黒な気体が集まって出来たような身体だ。
身体全体が光を吸収し、身体全体に目がついているようになっている。地龍は俺を見つめたまま、動かない。
俺は宙に浮いて、空間に固定されたようにここに留まっている。重力まで吸収しているのか。
本当に幽霊のようになった感覚だ。
特に音も無く、空間と空間の間を自分の身体で繋ぐ感覚で移動し、一瞬で地龍の目の前まで来た。
「グルル....」
地龍は唸る。
散々殴りまくってアレだが、この龍を倒す理由は無いんだよな。どっちかっていうと手懐けたい。ドラゴンテイマーになりたい。せっかくの龍だし。強いし。
召喚者倒せばテイム出来るかな?
光玉は....っていないな。いいや。とりあえず龍になんか言ってみよう。
「ええーと、我と共に行く気は無いか?」
真っ先に浮かんだセリフがこれだったんだよ。
地龍は、その言葉に対して足踏みを四回ほどした。
なるほど、良いのか悪いのかわからん。
と思っていたら、地龍の身体がだんだんと地面に沈んでいった。
顔が沈みきる前に、「グオォ!」と言われたが、やっぱりよくわかんなかった。
............
しっくり来ないな。どうしよう。
「ヒメハルー、クロネー」
とりあえず、自分の身体を黒化から元に戻し、ヒメハルとクロネを呼ぶ。
「はいはいー」
目の前の景色の一部が剥がれ、ヒメハル達の姿が見えた。もうどんな登場をしても驚かないぞ俺は。
「終わったみたいだねー」
「ああ。光玉もいなくなってた」
「どうするー?あの光玉の本体の場所なら最深部にあるけどー?」
特定しちゃったのかよ。
「じゃあ、そこまで行ってみるか」
そんであの地龍を再召喚してもらおう。




