アースなドラゴン、召喚されました。
「んで? 俺たち消そうとしてんの? できる? 大丈夫? ちょっと心配だけど?」
俺は喋る光の玉を、そう言って煽る。
召喚されていたモンスター達はヒメハルとクロネが全て消し、今は召喚陣が出た瞬間に攻撃し召喚陣ごと壊している。
『黙って下さい!』
「はい、すみませんでした。明日から本気で黙ります」
どんどん相手を煽っていく。
『っ....消えてもらいます!』
「さっきも同じような事言ってたねー?」
光玉の元気な声に、ヒメハルは首を傾げながらも適切な指摘をする。
『....分かりました。いいでしょう。ならばこれでどうですか!?』
光からそんな声が聞こえた途端、でかい召喚陣が出てきた。
ヒメハルとクロネがその召喚陣に攻撃しようとするが、俺は左手を横に出してヒメハルの攻撃を止め、右手を頭の上にあるクロネの頭に置きクロネの攻撃を止める。
「やめとけ。きっと壊れない」
先程の筋肉ゴリラ共と召喚陣の規模が違う。まぁ、普通の攻撃で召喚陣を壊す事自体がおかしかったと思うし。
『そうです。では、遊ばれて下さい』
その音声と同時に、召喚陣から何かが出てきた。
紅い鬣、青白く光る眼、額から生えた白い一角、黒い毛皮。
奴に名前があるとすれば、空想上の魔物、〈キマイラ〉と言ったところか。
「グオォォオオオ!!」
その巨大な獅子の怪物は、衝撃を出しながら咆える。
ただ、その衝撃をもろともしないクロネとヒメハル。俺?俺はあれだよ。超もろともしてるよ。もろともしすぎて読んでた漫画の続きがどうなったか気になって仕方がないよ。
キマイラは、その巨体に似合わない速度で俺に喰らいつこうと顔を出してきた。
だが、俺は噛み付こうとするキマイラの鼻を掴み、それをさせない。ついでに超爽やかな笑みをキマイラに浮かべると、キマイラの目には恐怖が浮かんだように見開かれる。
おかしいな、超爽やかに笑いかけたつもりなのに。なんで絶望したみたいな表情を浮かべるんだろうね。
「クロネ」
「にゃあ」
俺の頭から熱線が撃たれ、見事にキマイラの顔面に当たった。吹っ飛ぼうとするキマイラの身体は、俺が鼻を掴んでいる事によって吹っ飛ばない。
俺も追撃で、鼻を掴んだまま顎に硬化した右膝を一回入れ、上に向けて、肥大化した左腕でまた顎を打つ。俺のアッパーでキマイラの身体が浮き、そこにクロネがもう一度熱線を撃つ。
キマイラは今度こそ吹っ飛び、天井で粉塵が起こる。だがまだ倒れてないな。元気で何よりだ。
ヒメハルが何か言いたそうにこちらを見ている。とりあえず、それに頷いてみた。
すると、ヒメハルは腕を一瞬上げ思い切り下に振り下ろす。天井のキマイラは、抵抗も何もできず、ただヒメハルの腕の動きの通りに地面に向かって落とされ、地面に亀裂を入れた。
『............』
数十秒で、キマイラは身体や顔をある程度再生させ、また起き上がったのだが....
立ち上がるなり、即逃げて行ってしまった。
「............」
『............』
「....逃げちゃったよ?」
『....さ、さすがですね、それなりに強い事は認めましょう、こ、これからが、本番です』
....あえて何も言わないでおこう。
『....後悔して下さい!地龍ヴォズハゼラ、召喚!』
おおっ!地龍!? アースドラゴンと戦えんの!? 一度見てみたかったんだよな、ドラゴン。
目の前に、先程のキマイラより更にでかい召喚陣が現れた。
筋肉ゴリラの召喚陣が、しじみ一個分の大きさだとすると、キマイラがしじみ二十個分、そして今現れた地龍の召喚陣が、しじみ百個分くらいの大きさだ。そう例えて言えば先程よりどれくらい大きいのかが分かるだろうか? 分かんないか。
その巨大な召喚陣から地龍が出てきた。四つの脚で支えられた巨体は、黄土色に輝く鱗で覆われている。そして閉じた口からは、鋭い牙が見え、目には殺意が感じられる。
これが龍か、強そうだ。そう思いながらも不意に口の端が上がる。
地龍は挨拶代わりに、前足の片方を少し上げてから、地面を鳴らした。
それと同時に地面は幾つもの大きな棘となり、俺達を襲う。これはまずい、クロネが棘に囲まれてる。
俺は頭の上のクロネを持ち上げ、クロネに襲いかかってきた棘からクロネを守る。だがその結果、俺の身体には棘がどんどん刺さってゆく。
ヒメハルの方を見ると、棘の方が勝手にヒメハルを避けていたので、クロネはヒメハルに託す事にする。
「クロネ、ヒメハルの所にいてくれ」
「悪いねぇ、後は頼むよ」
「ヒメハル、クロネを任せるぞ!」
「はいよー」
そう言ってクロネはヒメハルの元へ避難させる。
地龍は、すでに棘が突き刺さっている俺には目も向けず、ヒメハル達に集中砲火をしている。もう俺はくたばったとでも思っているのかね?
俺は地棘を身体に突き刺したまま、身体から何本もの糸を出す。その糸は、地龍の知覚外からゆっくりと近づき、鱗の隙間に一本一本入ってゆく。
『一番吠えていたニンゲンが一番先に死ぬなんて、哀れすぎて笑えてきますね』
光の玉が、身体に地棘を刺している俺の近くに来てそんな音声を出す。
だから俺は....
その光の玉の方を向いて、これでもかと言うほどの超爽やかな笑みを浮かべながら、鱗の隙間に入った糸を一斉に動かし、
地龍の鱗を全て削ぎ落としてやった☆




