イコールゼロ
閑話です。
短いです。
三人称視点です。
若い男が一人、夜の森を駆けていた。
彼は、森の中に潜むモンスターのスキルを奪いながらひたすら駆ける。
「くそッ!使えねぇ!」
奪ったスキルに対してそう吐き捨てながらも、ひたすら進む。
「何なんだアイツは!」
男は、何かから逃げていた。その何かは、男がスキル"強奪"を使う間も無く、彼を無力化した。
駆ける駆ける駆ける。
その何かにより無くされた分をモンスターから奪いながら、その何かに対処出来るだけのスキルを探しながら。
彼はただひたすらに、駆けていた。
道を照らしていた月光が、空を征く雲に遮られ
「逃げられるものなら、逃げるがいいさ。」
何かは、いつの間にか男の目の前に立っており、男にそう告げる。
「でも、君は奪い過ぎた。そうだろう?」
人の身体、ヒビが入ってところどころ欠けている顔、頭に生えている鹿のような角は折れており、目には眼球が無い。それは「何か」としか表せない。
「何なんだよ...おまえ....」
「ボク? そうだなぁ。ボクは何でも無いんだよね。だからまぁ、結局はゼロって事なのかな?」
全く理解ができていない顔の男に、自分の事をゼロと評した彼は続けて言う。
「ボクは面白いスキルでね。その副作用と言うか、何と言うか、ボクのステータスはHPも、SPも、MPも、全てのステータスの値がオールゼロなんだよ。だから僕から奪えるものはもう無いのさ。スキルと称号はあるけど、それもまぁ、君には奪えない。」
有り得ない事を何とも無いように言ってのけた彼に、男はただ動転していた。
「ありえねぇ、ありえねぇよ!」
自分の強奪が効かない事が、自分よりも強い物が存在している事が、目の前のナニカが存在している事自体が。だが男はそれを口にする余裕など何処にも無い。
「君もそう言うんだね。いいかい?有り得ない事なんて無いんだよ。勝手に決め付けてしまってるだけなんだよ........」
だから、全部、諦めて、
「 ゼ ロ に な っ て よ 。」
そう言われた男は、悲鳴を上げながら、
「なっ...俺はっ!うぁあぁぁあ....あ........ぁ.................」
自分はゼロでいなくてはならない。そう男の本能が告げると同時に、男のステータスは全てゼロになり、存在が消えた。
「....やれやれ。」
スキル、"イコール"。相手のHPがそのまま与えたダメージと同じになる。つまり、自分が攻撃し、ダメージがゼロだったら、ゼロダメージを与えられた者のHPはそのままゼロになるというスキルがあった。
「あっけないものだね。」
そして、今そう呟いた彼が持つスキルは、"イコール"の進化スキル、"イコールゼロ"というスキルだ。
「面白くないなぁ。この世界に本当に居るのかなぁ?」
そして、また、彼は、
「また〈絶望〉と戦いたいんだけどなぁ。」
'絶対者'の称号を持っている。
雲に隠れていた月はまた顔を出し、月光が彼に降り注ぎ、彼が壊れた顔で不気味に笑っている姿を照らし出した。
「おい作者さん?」
「なんだいシュウくん」
「"イコール"の時点で俺の"変態"や"絶望世界"より強くね?やばくね?」
「設定ですので。」
「もしかして過去に一回戦ったりしてる?」
「設定ですので。(2回目)」
「"イコールゼロ"って何?何が進化したの?ゼロ確定しちゃったの?確定でゼロにしちゃうの?」
「詳しい事は後々シュウくん達とエンカウントするのでその時に。」
「えっ、俺はアレと戦う事で決定なの?不可避イベントなの?」
「設定ですので。(3回目)」
「いつ?」
「結構後です。」
「本当か?」
「........その予定です。」
「クズ作者め」
「どうも、kuzuでした。」
「次回、過去編。ドヤッ」
「本当にやるのか?」
「.........その予定です。」
「クズ作者め!」




