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十九層の大猿に、ケンカ売られました。

なんか最近、話が短くなってます。

本職がアレなんです。

ご理解していただけると、何よりです。

 本日順調に攻略が進み、十九層。


 草原のステージは、層を進むごとに少しずつ木が増えていき、今ではもう密林である。

 元の世界でお世話になってたネット通販的な意味ではない。


 今は少し休憩中だ。



 付近に見える密林川で、森猿が何故かバタフライで泳いでいる。

 泳法、他にもあるだろ。


 なんか泳いでいる森猿に向かって鳴いている森猿がいる。

 おお、泳いでいる森猿のフォームが綺麗になった。あの森猿はコーチか。オリンピックに向けて頑張っているのか。それか海猿でも目指しているのか。


 それにしても誰もその事についてツッコミを入れない。


 あの発情期の村人のアンなんとかさん、連れて来れば良かったな。ツッコミ役として。発情期だからさぞ勢い良く突っ込んでくれるのだろう。



「あのお猿さん、面白い泳ぎ方だねー」


 隣の木に座っているヒメハルが言うが、彼女はツッコミ役じゃないしツッコミ役なんてやらせない。彼女はすでに、魔法で叶えるマスコット的な立場で出演してくれている。


「そうだねぇ。でも効率的な泳ぎではあるようだね。」


 ヒメハルの膝に乗ってるクロネはペットでいいだろう。それか魔導つかい☆ヒメハルちゃんと契約した精霊(ゴースト)的なアレだな。


 この一人と一匹には、是非とも日曜日の朝に出演してもらいたい。

 その際、放送第一話で完全消滅することになる悪の怪人共には、是非とも黙祷を捧げてあげよう。


 だとすると俺はアレだな。愛と勇気だけが友達で、毎回元気百倍になって毎回ヘリコプター並みの機体を一発で地平線の彼方に送るアレだな。

 飢えた子にアンパンをあげるどころか、不治の病の子にそれぞれの遺伝子に合った全能幹細胞与えちゃう。


 そして今、

 放送一話目で悪役共を根絶やしにした魔導少女と、毎回相手の本拠地に殺菌剤を投下しに行く、捻くれた愛と勇気の塊なヒーローとの夢のコラボは、迷宮(ダンジョン)で延々とバタフライを泳ぐ猿型モンスターを眺めている。


 世界? ああ、破滅の危機にすらさせてないよ。


 そんなことよりも迷宮攻略しなきゃいけないんだよ。あくびが出そうな気分だけど。



「そろそろボス部屋行こうぜ?」


「そだねーちょっとのんびりしすぎたー」


「次のボスはシュウが倒す番さね?」


 ボスの相手をする順番は、俺→ヒメハル→クロネの順番でやる事になっている。


「そうだな。ボス部屋は....この階段の下か。」


 地下に続いている階段が太い木の幹に空けられた空洞の中にある。


 長くて急な階段を下って、通路を歩くと、ボス部屋の扉が見えてきた。


「ここのボスはどんな奴だ?」


「猿だよー?」


 なんだ猿か。と思いながら扉を開ける。



「ウギャャャアァァッ!!!」


 扉を開けた途端、大きな鳴き声が聞こえた。


 見ると、ターザンのような格好をした、五メートルほどの大猿が直立していた。


「大きい猿だな。」


「ウギャャイッ!!!!」


 猿がもう一度鳴くと、まるでゲームの演出のように、ボス部屋の真ん中から、葉のない、枝の先が尖った巨木が、いつもより高いボス部屋の天井まで生えて行く。大体百メートルくらいか。



「その木に登って攻撃してくるよー?」


 後ろで見ていたヒメハルが教えてくれた。


「へぇ、面白いな。」


 大猿は、その巨体からは想像できないほど身軽な動作で、大木の枝とボス部屋の壁を蹴りながら上へと登って行く。


 ある程度の高さまで行くと、下にいる俺に向かって尖った木の枝を投げてきた。


 尖った木の枝は空を切る音を立てて、中々の速度で来たが、変形し筋肉で肥大化してる腕になった俺は難なくそれを片手で掴み、投げ返す。


「ヴギッ!?」


 投げ返された大猿はそんな声を上げたが、ニヤリと笑い、投げ返された枝をアームハンマーで砕く。


「ギャキキッ!!」


 大猿は砕けて宙に浮いている枝の破片を、デコピンで俺に向かって打ってきた。


「おぉおぉ! 面白いな!」


 俺は弾幕の如く降ってくる枝の破片を、手首を普通の人間では曲げられない所まで回しながら手の甲で弾いていく。



 この大猿、本当は炎の魔法などで木を燃やせば簡単に倒せるだろうし、俺だって糸を使ってしまえば簡単に届き、簡単に終わってしまうだろう。

 

 だが、そんなのは、最高に、最低で、つまらない。


「俺も登って蹴落とす。これだな。」


「あんた、馬鹿だねぇ。まぁそういう所が気に入ってるんだけどねぇ。」


 クロネの声が俺の鼓膜をくすぐる。若い女性の姿だったら最高なのにな。


 俺はそう考えながら壁に向かって助走をつけ、跳ねる。そしてもう一回、一番低い大枝に届くように、壁を蹴り、跳ねる。


 跳躍中に大猿が枝を投げてきたが、体を縮めて避け、それを下に蹴り、さらに勢いをつける。


 よし。枝に立った。一番低い大枝でも二十メートル以上はある。


 奴が立っているのは大体八十メートルくらいの大枝だ。あの俺を見下している大猿を超蹴落したい。



「ウギィッ!ウギィッ!」


 猿が一番低い大枝に立っている俺をあざ笑うかのように鳴く。


 ああ....ああ....そうかい。でも俺のやる事は決まっている。そこまで行って、お前を.....



「 絶 対 蹴 落 と す 」

シュウくんのスキル、"言語理解"は、大猿語まで理解しつつあるようです。

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