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レイナ その3

レイナ編です

  私はいつもとは違う感覚に目を覚ます。


  自分の身体を起こすと同時に、昨日の記憶がだんだんと蘇ってくる。

 

  私は、探している人がいる。

 


 ー彼は、何をしているだろう?


  そんな考えと、それと同時に出てきた(もや)がかかったような感情を振りほどくように頭を横に振る。

 振った頭に合わせ、まだ束ねていない髪もウェーブを描くように揺れた。



  私はある人から貰った小さめの手鏡と、白いリボンを取り出し、首の後ろあたりで髪を一つに束ね、髪を整える。



  部屋を出ると、マリちゃんが廊下に立っていた。



「れいなさん、おひゃようございます。」



  まだ眠そうな声で挨拶してくれた。

 

  妹がいるようで良いわね。



「おはよう。いい朝ね。」


「しょうですねぇ。」


「まだ眠そうね。顔を洗ってきたら?」


「ふぁい。」


  そう言って彼女は水場の方へ行った。


  私も居間の方へ進む。


 私が部屋に入ると、マナがすでに起きていた。


「あっ、レイナさん。おはようございます。」


「おはよう。早いのね。」


「はい。旅の準備があったので。」


「しっかりしているのね。」


「それほどでもないですよ。」


 いいお姉さんね。姉妹がいることが羨ましくなってくるわ。



「あら、おはようレイナちゃん。もう一人娘が出来たみたいでいいわね。」


 そう言ってもらえるとちょっと嬉しいわね。


「おはようございます。」


「昨日はゆっくり休めた?」


「おかげさまで。」


「今日出るのでしょう?娘達をよろしくね?」


「はい」


 

 良い子達だから大丈夫でしょうけど、やっぱり私が一番しっかりしないといけないわね。



 ***



 八時半丁度。


 私は、手鏡と髪を束ねるリボンと一緒に貰った、真銀製の懐中時計を見る。

 魔力を流すとその場の正確な時刻が分かる優れた魔法具だ。



「レイナさん、荷物積み終わりました!」


「そう。時刻も丁度良いわね。」


 ここから一つ目の村まで馬車で大体六時間ほどらしいから、三時までには着きそうね。


「それじゃあ行きましょうか。」


「「はい」」


「気をつけてね〜?」


「行ってきます。」


 馬車が進む。



「私、馬車って初めて乗りました! 意外と速いですね!」


 マリちゃんが外に顔を出して言う。


「そうね。顔を出すと危ないわよ?」


 私は注意したが、マリちゃんは顔を出したままでいる。


「マリちゃん?」


「これ、何の足跡でしょう?」


 マリちゃんがそんなことを言った。


 私も外を覗いて見ると、ずっと道なりに、モンスターのものらしき足跡が残っている。


「見た事ない足跡ね。」



 馬車が進んでいるので見にくいけれど、よく見るとその足跡は、垂直ではなく、斜めに沈んでいる。何かが走って出来た足跡ということになるわね。


 足跡の形状も、まるで走る事に特化したような形状ね。


 ......まさか、


 ......いや、でも彼なら何が起こっても......



「シュウさん、大丈夫でしょうか?」


 マリちゃんの声が私の馬鹿げた考えを揉み消した。


「彼なら問題ないでしょう。」



「そうですよね! ダークマザーウルフを倒してくれるくらいですから!」


「そうなの?」


 ダークマザーウルフは、討伐難易度Bのマザーウルフの上位種。それが倒せるのなら、彼がただの旅人じゃない事は明白ね。


「そうなんですよ! 私のお父さんがピンチになった時に、グワァって守ってくれて、その後スパッってなったんですよ!」


 よくわからないけど、マリちゃんのテンションが高い事は分かるわね。


「詳しく教えて貰えるかしら?」


「はい!」



 ***



 しばらく彼女達と話していると、村が見えてきた。



「では早速宿に行きましょう!」



 マリちゃんがそう言うが、私はそれより気になる事があった。


「その前に、この足跡について聞いてみたいわ。」


「そういえば、この足跡は村を突っ切ってどこまでも続いていますね。」



 そう。この足跡はまるで迷宮都市に向かっているようにしか思えない。


「あそこにいる人に聞いてみましょう!」


「そうね」


 私達は馬車から下りて、遊んでいる親子に聞きに行く。


「すみません、この足跡の事で何か知りませんか?」


「こっ、この足跡ですか?いや....何も解りませんね....」



 聞かれた父らしき人はそう言って足跡のある方向の逆に目線を逸らす。


 わかりやすいわね。



「何か知っているのね?」


「えっ...ええと、なんと言いますか。」


「このあしあとのひと(・・)ならみたよー?」


 隣で見ていた女の子が言う。


「足跡の....ひと?」


 私は幼稚で聞き取りづらい声を、少しずつ意味を理解していきながら聞き取る。


「えっとねー、くろいかみでねー、それと、くろいふくでー、それとそれと、おっきいりゅっくをしょってるのがねー、びゅーんってはしってたのー」


 私の中の「馬鹿げた考え」が、確信に変わりつつある。


「....それは人だったの?」


「えっとねー、ひとにみえたけどねー、あしあとがみんなのとちがうからねー、ええっとー、ううーんとー」


「わかったわ。ありがとう。」


「うん!どういたしまして!」



 確信した。この足跡は、モンスターのものなんかじゃなく........

 彼...シュウと名乗る何者か(・・・)のものだったのだ。



 ....知りたい。彼は、何者なのかを。


 知ろうとする事は、知るという事は、あまりにも怖い事で、愚かな事だ。それが身に染みてわかる。けれど........



 幼かったあの日、ある人...師匠が言っていた事を思いだす。


『人は皆愚かだ。そして御主もまた人だ。だから愚かで良い。だから知りたいと願え。賢くなりたいと願え。すればお前は立派な......』



 ならば私は....


 知る事を怖がっていたら、'賢者'の称号が廃る!

足跡ネタが多いと思った人、その通りです。



言い訳をさせて貰いますと、


シュウくんは迷宮の一層で足跡に対して失礼な事を考えました。


それによってアシアト教の主神、アシ=アットゥ様はお怒りになり、彼自信の足跡によって報復っぽい事したのです。


ああ、アシアト=アットゥ様、貴方はいいネタになりました。もう使いません。



ただ、別作でまた使うかもしれません。

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