俺のパーティー、キャラが濃いです。
なんかコメディーに傾いていってる気がします。安定しない小説ですみません。
「さらば一層。もう一生会いたくねぇ」
俺はそう呟き、ゴブリンのちっさい魔石を拾う。
そう言いながら二層への道に向かうと、ヒメハルがすごい情報を教えてくれた。
「ちなみに二層のボスはゴブリン二体だよー」
何がすごいかって、このダンジョン、ボスの手抜き度がすごい。ゴブリン一体増やしただけ! 手抜き職人並みにすごい!
「....帰っていい?」
「帰らないでー?五層までボスはゴブリンが増えてくだけだけどー。」
それが何と五層まで続くそうです。
どうかしてる。
どうかしてる!
どうかしてるぜ!
どうにかならなかったのかよ!
「なぁ、クソ迷宮って呼んでいいか?」
「このダンジョンは六層からが本番だよー?」
「....六層のボスは?」
「オーガだよー」
「七層は?」
「サイクロプスー」
「まともになってる」
やべえ。それが普通の筈なのにこの感動。やっぱりクソ迷宮なんかじゃなかった。ここは低層クソ迷宮だったんだな。いくらかマシになってるハズだ。
「だけどまだ二層目ー」
「さっさと抜けようぜ。」
「空間歪めて六層に繋げるー?」
「うーん、やめれ」
ああ、ちょっと使いたくなっちゃったよ「ど○でもドア」的な魔法。だが彼女の魔法に頼ったらダメになりそう。だめぇっ、だめになっちゃうのぉー。
「じゃあ頑張ろーね。」
「そうだな。魔法にはそんなに頼りたくないからな。」
「ええー。シュウなら頼ってくれてもいいのにー」
何気にかわいい事を言ってるヒメハルさん。 性欲があった時代に言われたら意識しちゃうレベルかもしれない。今は性欲どころか人間の三大欲求全て無いけど。
「面倒臭いからってだけの理由で頼ってたらいつか腐りそうだ。」
「でもシュウの目はなんか腐ってるように見えるよー?」
「それはどうしようもない。」
元の世界が腐ってるように見えたからそれが目に映ったせい......いや、この迷宮が腐ってるせいだな。
「それにー、面倒臭いっていう以外にも理由はあるよー?」
「ないだろ。」
「あるよー。だって私、シュウの役に立ちたいもんー」
何気にかわいい事を(ry 。二回目。
「....だったら尚更だろ。頑張るぞ。」
「そだねー。頑張ろー」
****
頑張りましたよ。ええ。ゴブリンが一体づつ増えてくだけのボスでしたよ。じゃあ何を頑張ったのかっていうと、ボス部屋までの道のりが、一層と比べると地味に長かった。
そしてそれが四層分。頑張った俺。これが....ブラック企業か....
「さぁ、俺たちの戦いはこれからだ!」
俺はブラック企業な気分を拭い取るように、 週刊誌の読み切りのラストを口にして、六層へと向かう。
「おお。地面が石になってる。」
足跡がついていない。それだけで感動できる。だが、この迷宮はそんな感情をとことん裏切ってくる。
六層に一歩踏み込むと、「カチッ」という音がした。
「うぉうふ」
横から槍が出てきて俺の頭に突き刺さる。
そう、一歩目でトラップ。
初見殺しにも程があるだろ。足を退けると槍は壁に引っ込んでいった。
俺は頭に空いた穴をスキルで元に戻す。
「やっぱりシュウのスキルは物理攻撃が効かないんだー?」
「まぁ、元に戻せるからな。」
「じゃあ物理トラップは注意する必要無いねー」
「トラップ全般注意する必要無いぞ?」
トラップのドキドキ感がいいんじゃないか。
「そっかー。シュウならどんなトラップでも対応できそうだねー。」
そしてドキドキ感をいい感じに打ち消してくるのが俺の能力達。
「まぁ、大体の攻撃が効かないしな。」
「そうだねー。でも私の出番が無いー。」
「いや、ついてくるだけって言ってただろ」
「そうなんだけどねー?」
そう言って彼女は眉をハの字にして、困ったように笑う。
「でもそもそも一歩目からトラップっていうのは「カチッ」グはッッ!」
喋りながら歩いていたら、今度はナイフが飛んできたよ。俺は体にささったナイフを抜く。
「そういえばー、血も出ないんだねー。」
「血管も必要無いしな。」
"変態"を取得してから、細胞が必要なものは各細胞が自分で生成するようになった。だから血管も無いし内蔵もほぼ無い。
その代わりに体内で核物質を燃やして、その熱や放射線もろとも「黒」がエネルギーに変えている。俺の体内の「黒」くんは今日も順調にエネルギーを溜めていきます。
「私も魔法でシュウみたいになろうかなー」
「やめれ」
「わかったー」
魔法で擬似"変態"って....そのうち魔法で'絶対者'とか取得してきそう。
そう考えていると、ヒメハルの声が耳に入ってきた。
「ねぇー、あっちでモンスターの足音聞こえないー?」
確かにモンスターの気配を感じるな。
「行ってみるか?」
「行ってみよー。」
足音のする方へ向かってみると、モンスターらしき影が見えてきた。
「あれじゃないー?」
夜目に変えて、その姿を確認してみる。
「あれはッッ!」
「ゴブリンだねー」
いやなんで!?
この迷宮にはゴブリンしかいないの!?
ネタ切れなの!?
あぁーーーー、俺、この気分知ってる。
これ期待してたお弁当の中身が五百円玉ひとつだった時の気分だわー。
「ここにはゴブリン以外でモンスターはいるのか?」
「いるよー? でもシュウのゴブリン率には私もびっくりー。六層だとゴブリンはレアな筈なんだけどねー」
ど う か し て る ぜ こ の 迷 宮
低層クソ迷宮は低層ゴブリン迷宮へと進化した。俺の中で。
だがそんな思いをヒメハルの声が消してくれた。
「あー、強いモンスターが来たよー?」
ヒメハルが指を指した方を見ると、白くてフワッとしたものが、近づいてくる光景が見えた。
「何あれ?」
「ゴーストー。討伐依頼も出てたらしいけどみんな倒せなかったー」
ゴーストね。なるほど。ゴブリンじゃないだけでこんなにも嬉しいとは。
俺がゴーストを見ると、ゴーストは消えた。
「おっ?消えたぞ?」
「シュウの後ろにだよー?」
ぞわっ。そんな感覚だろうか。急に力が抜けてく感覚になった。
「SPとHP吸ってくるんだよー。」
「いや早く言えよ!ってか今も吸われてるっぽいんですけど!?」
「ある程度吸い取ると実体化するよー?」
「まじかよ! ゴーストなのに!?」
実体化って何!?
見てみたい気がしてくる。
「ほらー。猫耳が実体化してきてるー。」
「猫耳!?ゴーストっていつから猫耳になったの!?」
「猫のゴーストだからじゃにゃいかねぇ?」
「猫!?ああなんか実体化したらどうなるか気になってきちゃうじゃん!」
「今喋ったの私じゃなくてゴーストだよー?」
「ええ!?にゃんこのゴースト喋ったの!?てか喋るまで実体化してきてるんだ!?」
「お前さん、吸っても吸っても中々減らないねぇ。もう少し吸わせてもらうよ?」
うわぁ。後ろから女性っぽい声が聞こえる、ぞわぞわするぅ。
「あれー?しっぽが二つあるー。」
「尻尾二つあるの!?」
「三つに増えたー」
「増えた!?増えるもんなの?」
「もう少しで完全体ににゃれそうだねぇ。」
完全体?もしかして戦闘力五十三万とかあるのかしら?
「四つになったー。」
おお、四つになっちまったか。ってまっ!このゴースト、俺の体内にある「黒」吸ってない!?そこエネルギーが半端なく貯蔵されてるんですけど大丈夫!?
「おー、毛の色が白から黒に変わったー」
「にゃっ!?このぐらいでやめとこうかねぇ。これ以上吸うと壊れそうだ。」
そんな声が聞こえて、背中のぞわぞわが無くなった。
後ろを見ると、尻尾が四つある以外は普通の、黒猫が立っていた。いや、普通じゃないな。なんて言うか、強いって感じがする。
「おまえさん吸っても吸っても無くならなかったねぇ。しかも最後のは違うものを吸ってしまったよ。おかげで白かった毛が真っ黒さね。」
しかも喋る。猫がリアルで喋ってると、違和感が半端ない。
「....お前、モンスターなのか?」
「まぁ、百年はゴーストとして生気を吸ってきたけどねぇ。」
「じゃあ今は何なんだ?」
「なんだろうねぇ。尻尾が四つの喋る黒猫で良いかい?」
良くねえよ見た事ねぇよ。
「面白い猫だねー。魔力をたくさん感じるー。」
「そうかい。まあこいつの最後に吸ったヤツで魔力がほぼ戻ったんだけどねぇ。」
「魔法使えるのー?」
「火くらいなら幽霊の時でも簡単に出せたよ。」
「わぁー、すごいねー。シュウー、この猫連れてこー?」
ヒメハルが突然そんなことを言い出した。
「ニャハッ、面白い娘だねぇ。しかも私の全盛期くらい強い魔力だ。気に入った。実体化させてくれた礼について行かせてもらおうかねぇ。」
うわぁ。しかも俺の意思関係無く、全盛期が世界の法則を変える程度の魔力だったらしい猫がパーティーに入って来たよ。
「...ああ。わかったよ。来るなら来てくれ。」
現在六層。俺のパーティーは、あんな夢こんな夢を魔法で叶えてくれそうな白髪魔法少女に加えて、元幽霊で尻尾が四つの喋る黒猫が、仲間になった。
そしてその本人は、異世界出身で元冥界の住人で"変態"で'絶対者'で体内の「黒」の一割程度のエネルギーが、世界の法則を変える程の魔力になってます。
大丈夫!シュウくんより濃いキャラはここにはいないよ!
作者はそう言ってあげたいと思います。




