表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
第六章 「真夏の海と輪廻の華《ファイアーワークス》」
65/111

チャプター 8-4



「さ、着いたぞ」

「「「…………」」」

船で海を渡ること1時間半。

無人島じゃないかというぐらい、生活感のない島に上陸した俺たち。

「何もないね……」

「ねー」

アカリとアキラが若干引いてるまである。

「あははは……」

能天気ステラ様も困惑気味。

「……おいケン」

「うん?」

「どこだよ、ここ」

「そうだな……。 南の島、とかだったら雰囲気出る?」

「いや、ここまで森と海しかないような島で雰囲気も何も……」

「まぁまぁ、とりあえずついて来てくれ。 騙されたと思って、さ」

「…………」

ケンがそう言うので、仕方なく森の中に入って行く。

「……蛇とか出ないでしょうね……」

「……大丈夫だろ、多分」

某RPGのようにぞろぞろと、道無き道を歩く。

封印の祠を思い出すほどの急勾配が続く深い森なのにも関わらず、ケンの歩みに迷いはない。

「どれぐらい歩くんだ?」

「もうすぐ着くから、そう焦るなって」

「ひ、ヒヨさん!? 大丈夫ですか!?」

「え、ええ……」

「僕たちが肩を貸しますから、頑張ってください!」

「ありがとう、二人とも……」

ケンはともかく、ヒヨには少しキツい道のりだったかもしれない。

トラシャイのアシストでなんとかついて来ている感じだ。

「お、見えて来たぞ!」

先頭のケンがそう言ったと思ったら、

「……あれ?」

突然ケンの姿が消えた。

慌てて追いかけると……

「……うわっ!?」

道の先は続いておらず、崖になっていた。

ブレーキをかけるも、滑り降りてしまう。

「いてて……」

顔を上げると、

「……ようこそ。 ここが合宿場だ」

なぜか仁王立ちのケンが。

「……何もないように見えるが?」

どうやらここは、ちょうどカルデラのように、崖に囲まれた地形をしているらしい。

実際、高いところに位置しているはずなのに、海が見えないし。

だが、そこそこ広いここに、建物の類は見えない。

「もちろん、隠してあるんだよ」

ケンは手を振り上げる。

そして、指を鳴らした。

「……なるほどな」

ノイズ音と共に、"それ"が姿を現した。

「な、なによこれ……」

追いついて来たらしいローザたちも、驚きが隠せていない様子。

「......かっこいい……」

ヒカリは感動してるっぽいけど。

「いやぁ、夜になるとモンスターが襲ってくるらしいからさ。 こうして隠してるってわけ」

「よくもまぁ……こんな大掛かりな迷彩を……」

「光化学迷彩は今でも健在、ってね」

そう……姿を現したのは、どこかの秘密基地のような建物。

かなり大きい。 ぱっと見、家4つ分といったところか。

モンスターがいるのは確からしく、砲塔がいくつか見える。

「みんな降りて来たか? じゃあ、中を案内するよ」

後ろを確認してみる。

……うん。 全員居るな。

「行きましょう」

「ああ。 そうだな」

ケンの後を追いかけ、扉を開けた。



*********



「……で、ライトよ」

「あ?」

「……なに怒ってるんだよ」

「……お前と同じ部屋とか、ロクなこと起きなさそうなんだが」

「大丈夫だって! 教師の引率もない。 管理は全部オレの指揮下。 この条件下でやれることなんて限られてるって!」

「いや、その理論はおかしい」

とりあえず荷物を置いてくるようにと解散したのはいいが、まさか二人部屋しかないとは思ってもみなかった。

……まぁ、一人部屋なら一人部屋で、なにが起こるかわからん状況だけどもさ……

「それで、例のブツは持って来たのか?」

「ああ。 ……これだろ?」

ポケットから黒いブツを取り出し、ケンに投げた。

「おぉ……マイクがこれで、受信機がこれだな……」

さすがはウェポンマスター。 なにも言わなくても、次々にセッティングの準備を済ませてるぞ。

「じゃあ、ちょっくら行ってくるわ。 鍵はオートロックで指紋認証式だから、登録しておけよ」

「お前は?」

「もうしてるぜ。 ……オレが居ない間に、他の女子を連れ込んだりしないでくれよ?」

「誰がするかっ!」

「あはは、冗談だって。 せっかくだし、集合時間までこの施設を見て回ることをオススメするぜ」

また後でなー、と言い残し、ケンは部屋を出て行った。

……集合時間まで、まだ時間があるな……

「まずは指紋認証。 そのあとは……」



*********



「……なんというか、こうしてると昔を思い出すな……」

施設はイーストサイド、センターサイド、ウェストサイドの3つに分かれていた。

それぞれ、居住区、訓練区、総合区といった感じだ。

この施設の総合管理、及びモンスター撃退兵器のコントロールを行うのは総合区。 食堂などもここにある。

「......確かに。 兄さんと食べたドーナツを思い出す」

「……って言いながら、食ってるんじゃねぇよ」

「......だって、お腹空いたし」

「まったく……昼飯もちゃんと食べるんだぞ?」

「......わかってるわかってる」

部屋を出た途端にヒカリに捕まった俺は、仕方なくヒカリと一緒に見て回ることに。

そしてその道中で見つけたフードコート的なところで休憩しているところだ。

「それにしても……人がいないな。 食材とかどうしてるんだ?」

「......わたしに聞かれても」

「だったら、ウチに聞いてください!」

「お、ステラ」

いつの間にか、ステラが側に立っていた。

「隣、いいかな?」

「ああ」

ヒカリはモソモソとドーナツを食している。

「さっきコントロールルームを見て来たんやけど、育成場と同じパネルが何個かあったんですよ」

「……ってことは、この施設にも栽培場が?」

「その可能性が高いと思います」

「......なら、その話はこれで終わり」

これ以上この話題は嫌だと言うかのように、ヒカリは席を立った。

「......美味しければ良いの。 原材料が何であっても」



*********



「……じゃあ、ミーティングを始める」

訓練区のアリーナ横にあるブリーフィングルームで、今後の予定を話し合うらしいが……

「予定なら、しおりに書いてるんじゃないか?」

しおりには数時間毎に、大まかな用事が記されている。

今更何を決める必要があるのか。

なんて言っていたら、

「何言ってんだ。 それに従う理由はないだろ?」

平然とそう言いやがった。

「一週間もあるんだ。 こなさなきゃいけないノルマだけ達成して、あとは遊ばせてもらうぜ!」

ここに教師陣がいなくて、本当に良かったと思う。

「……ってなわけで、何からやりたい?」

「そう言われてもだな……」

他のメンバーの方を見る。

「はいはい! 海行きたい! 海!」

「ウチも賛成!」

「……まぁ、アカリがそう言うなら」

「私はみんなに任せるよ」

「……あたしは別に、なんでも良いわよ」

「……だ、そうだが?」

ケンはニヤリと笑うと、

「よし、じゃあ海に行くぞ! 荷物持って10分後にロビーで集合だ!」

高らかに、そう叫んだ。



*********



「いやぁ、こんなに早く拝めるチャンスが来るとはなぁ」

「まさかお前……」

「心配すんなって! さすがにカメラまでは付けてない」

「それでもダメだろ!?」

どうやらケンは読みを当てたようだ。

俺から授かったアレを、すでに設置済みらしい。

「……あれだ。 女子同士でないと話せないことだってあるだろ? そういうの、気になるだろ?」

「……まぁ、気にならないって言ったら嘘になるけどさ」

浜場の更衣室前で、女子グループが着替えるのを待つ俺たち。

俺とケンはすでに着替え済みだ。

「……にしても、こんな物まで隠しておく必要があったのか?」

砂浜に何もないとばかり思い込んでいたが、どうも全部迷彩で隠していたらしい。

更衣室から倉庫まで、改めて見れば色々完備されていた。

「そりゃあ、無人島だからってこんなもん建ててたら、色々うるさいだろ?」

「……そうか」

聞いたのが間違いだった。

「……お。 そろそろ来るみたいだ」

インカムで様子を聞いていたらしいケンは、着替えが終わったことを告げた。

「……へぇ、そうか……なるほどなー」

「……何ニヤニヤしてるんだよ。 キモいぞ」

「いや……そろそろお前のことを沈めてやろうかと思ってね」

「何にキレてるんだよ!?」

ニヤニヤしながら怒るって、なかなか器用なことを……

「ライト。 ……お、お待たせ」

最初に姿を現したのは、ローザ。

髪色に合わせたのか、ピンクっぽいフリフリのついた水着を着ている。

まな板具合をカモフラージュするためなのか、はたまたオシャレのためか……

視線を少し下にずらすと、お尻の方に大きめのリボンが着いていて、可愛さを強調するアクセントになっていた。浮き輪代わりとは思わないことにする。

なんと言うか……小学生と言われても仕方ないような。 少なくとも高校生とは……

「……な、なんとか言いなさいよっ!」

「え? しょ……」

あ、ヤベ……

「……しょ?」

ローザの笑みがなぜか怖い。

……誤魔化さないと……

「……正直、言葉が出なかった。 可愛すぎて」

「え……」

あー、何言ってんだ、俺。

ローザが顔真っ赤にして困っちゃってるじゃん……

言ったこっちまで恥ずかしくなってきた……

「…………」

なんとも言えない空気が流れる。

「......兄さん」

「うぉっ!?」

突然声をかけられ、思わず振り向く。

背後にいたのは、ヒカリ。

スポーツタイプの黒い水着を着ている。

肌の露出が多めなのは仕様なのか。

堂々と発展途上のボディーラインを見せているのは、ヒカリなりに自信を持っているからだろうか。 ローザと大差ないなんて言えないな……

「……って、何付けてるんだ?」

そのヒカリは、俺のサーチャーのような機器を装備していて、片目を半透明のディスプレイが覆っていた。

「......兄さんの興奮度チェッカー」

「はぁ!?」

「......兄さんの水着に仕込んだセンサーで、正直な身体の反応度を計っているの」

何かあるかと思ってはいたが……

「な、なんのために……」

問うとヒカリは唇を尖らせ、

「......気になるもん」

と呟いた。

「そ、そうですか……」

……何かの冗談だと言ってくれ……

これで変な時に変な反応をしてしまうと、全部ヒカリにバレると……

……いや、何もなければ大丈夫。 うん、大丈夫だ……

「海だー! 海だよー!!」

「待って! 待ってよアカリー!!」

なぜかスク水のアカリと、男子と間違われそうなパンツタイプの水着姿のアキラが、海へと走って行っている。

もう慣れたが、アキラはやはり、可愛いと言うよりかっこいい。

昔は何度か間違われたよなぁ……

アカリはもう、あえて何も言うまい。

「......兄さん、スク水の方が、よかった?」

「なんでそうなる……」

そんな心配そうに俺を見なくてもいいだろ……

「みんなぁ、お待たせ〜」

「いやぁ、ちょっと手間取ってもうたわー」

お、この声は……

「いや、大丈夫だぞ」

砂浜を駆けてきた2人の方を向く。

最後に到着したのは、パレオって言うらしい水着を着た、ヒヨとステラ。

ステラにこれを自慢された時に、水着の名前は覚えさせられたんだが……

……破壊力って言うのか、なんか、目のやり場に困る……

他の子と比べて幾分……どころじゃないくらい発育の良い2人は、これでもかと言うほど自分の武器を活かしている。

俺たち以外に誰もいなくてよかった。 この2人だと、ナンパされてもおかしくないし。

「「…………」」

ローザとヒカリの視線が痛い。

いや、仕方ないだろ……

て言うか、なんでローザまで……

「……よし、全員揃ったな」

珍しく黙っていたケンは手を叩くと、

「じゃあ、思いっきり遊ぶぞ!!」

高らかに宣言した。

「「......「おー!!」」」

なぜか皆息ぴったり。

「……はいはい。 付き合いますよ……」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ