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パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
第三章 「天《そら》照らす霞んだ希望《ひかり》」
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チャプター 5-4




『マスター、敵の攻撃パターンを表示します!』

文字通り目の前の半透明の液晶に、データが映し出される。

「こんなデータ……どこから?」

「......わたしが調べた」

「ヒカリが!?」

「......そう。≪サーチャー≫が使えるのは、兄さんだけじゃない」

あの自作のサーチャーシステムを使ったのか……

あらかじめ予測をつけて調べておいてくれたんだな。

「ほら、そんなことは後や!まずはダイモニオンをどうにかするで!」

ステラは腕を振ると、どこからともなく二振りの曲刀を取り出した。

「まだ使えるんだな」

「あたりまえやん!」

集中せい!とステラが渇を入れる。

『グオオォォォ!!!』

ダイモニオンは号令をかけるように叫んだ後、こちらへ向かって飛んできた。

「来るぞッ!!」

第一波は、ダイモニオン1体とガーゴイルが2匹。

「ーーッ!!」

ダイモニオンの鉤爪攻撃を剣で弾く。

予想を上回る衝撃でカウンターを挟めず、後退を強いられた。

「やぁああああ!!」

ステラは戦いなれた様子で、ガーゴイルに確実なダメージを与えていく。

「......このっ……!!」

ヒカリはダイモニオンを睨み、迫るガーゴイルを蹴り飛ばして俺の援護に回る。

「......はぁッ!!!」

自身の細剣ビームサーベルでダイモニオンに攻撃を仕掛けるが、あまり効いていないようだ。

「くそッ……≪エクスパンド≫!!」

2本目のビームサーベルを抜き、そのままインスタントクリスタルを装填。

「はッ!!」

ヒカリと入れ替わるように前へ出た俺は、ダッシュ攻撃を当て、地面を強く蹴って後方上空へ飛んだ。

「≪フォーリング・ストライク≫!!」

エンジン音にも似た音を出し、ダイモニオンの顔面へ剣を突き立てるも、

『ガァアアアアアアア!!!』

ダイモニオンはその剣先を片手で掴んで止めてみせた。

「嘘だろ……」

ダイモニオンがもう片方の腕を振りかぶるのが見える。

タイミング的に、避けられないぞ……!

「隊長さん!」

ガーゴイルを片付けたのか、走ってきたステラが、俺の剣を掴むダイモニオンの腕を切り裂いた。

瞬間、自由になった腕を振るって攻撃を弾く。

「助かったぜ、ステラ!」

「まだ来るで!!」

ダイモニオンの後方で着地したステラは、そのままダイモニオンの足を薙ぐ。

『ゴォオオオオオ!!』

「ぐっ……!!」

標的をステラに変更したダイモニオンは倒れながらも、ステラに攻撃を仕掛けた。

「甘いねん!!」

ステラはダイモニオンの拳を後ろに飛んで避け、着地と同時に前へ飛び、攻撃を当てていく。

……やっぱり経験者は違うな……

ヒカリがもう一匹のガーゴイルを倒すのを確認し、後方から迫る敵援軍を見据えた。

「トル……ダイモニオン(あいつ)の弱点は?」

『頭部、胴の中心部です!』

俺の意志に応えるように、画面上にウィークポイントが表示される。

「く……」

続く第二波は、ダイモニオンとガーゴイルが三匹ずつ。

ガーゴイルは持ち前の素早さを活かし、連携攻撃を仕掛けてきた。

……ガーゴイルは1度やり合った相手だ……落ち着いて処理すれば……!!

「......これなら、どう?」

ヒカリはダイモニオンの相手をステラに任せ、ポケットからもう一本ビームサーベルを取り出した。

……あいつ、いつの間に……

『ガァアアアアアア!!!』

ガーゴイルが威嚇するように吼え、後方からさらに三匹のガーゴイルを呼ぶ。

「これ以上呼ばせるか!!」

一匹を射程内に捉えた俺は、ビームサーベルを構える。

「≪天津風流龍剣術・弦月≫!!」

間髪入れずに放った連続攻撃。

迫る標的を全て打ちはらう。

『ギャアアアアアア!!』

ガーゴイルの断末魔を聞きながら、ヒカリに指示を飛ばす。

「ヒカリ!≪天星≫だ!」

「......わかった」

ヒカリはダイモニオンの攻撃を受け流し、俺の側まで移動した。

「いくぞッ!!

「......せーの……「≪天風天命流奥義・天星剣≫!」」

4本の剣が織りなす、オールレンジ攻撃。

総攻撃を仕掛けようとしたダイモニオン三体の腕を切り飛ばして後退させ、取り囲む六匹のガーゴイルを

全て両断して斬り伏せた。

「やるやん!隊長さん、ヒカリ!」

その間に、ステラはしっかりダイモニオンの数を減らしている。

「いや……安心するのはまだ早い」

周りを見渡すと、家の屋根に次々と黒い影が現れているのが見える。

「な、なんでや……こんなに集まったこと、今までなかったのに……」

……なにが目的なんだ……?

起き上がったダイモニオンの目線は、ある一点を見ていた。

その視線をたどると……

「……ヒカリ?」

ヒカリも自身が狙われていることに気づいたらしい。

「......そう……そういうこと……」

ヒカリはどこか納得したように呟くと、剣を構え直した。

「......悪いけど、これ(・・)を返すつもりはない」

「なにを……」

ヒカリは首を振る。

「......どうやらダイモニオンは、誰かに操られてるみたい」

「なっ!?」

「どういうことや!?」

「......今はまず、ここから離脱したほうが良い」

ステラは驚いたように目を見開いた。

「そ、それはできん!町を壊されてまう!」

「......ううん。それはない」

「な、なんでや!」

「......そもそもこの町を襲撃した理由は、ただ捕食に来ただけではなかったのよ」

そこまで言った時、ついに敵が動いた。

「――ヒカリ!」

「......ッ!」

ダイモニオンの突進を飛んで躱し、着地と同時に踏み込んで、渾身の一撃を見舞う。

弱点の胴の中央に細剣が深々と突き刺さっていた。

「ヒカリ……?」

「......本当はわかってた。……でも、まさかこうなるなんて……」

ヒカリは呟きつつ、ダイモニオンが消滅したのを確認して剣を振って構えなおす。

「......離脱を拒むと言うなら、最後まで付き合って」

屋根の上のダイモニオンたちは、一瞬怯えたように見えたが、叫び声をあげて距離を詰めに来た。

「なにがなんだかわからないけど……全部倒せばいいんだろ!」

「まったく、後で事情聴取やで!」

「......ごめん。 あとでちゃんと説明するから――」

――力を貸して。

そう続くであろう台詞を聞く前に、ダイモニオンの対応を迫られた。

右から左からと絶え間なく繰り出される連続攻撃を、左右の剣を必死に動かして処理していく。

『F25、C3、A2、G13……』

トルが次の攻撃が飛んでくるポイントを教えてくれる。

徐々にその速度が上がり、俺の対応が遅れていく。

……くそっ……数が多すぎるッ!!

クリスタルを使おうにも、装填する隙が無い。

カウンター技も、技の途中で攻撃される可能性があるため使えない。

奥歯を噛み締め、視力と反射神経の持つ限りの力を使い、剣を振る。

ダイモニオンの上段攻撃をしゃがんでかわし、上から降る拳を横に転がって避け、横から迫る爪を剣で――

「しまっ――!!」

手からビームサーベルの感覚が消える。

その瞬間、身体が宙に浮いたのを感じた。

抉られたような痛みとともに。

「があああああああああっ!!」

「.....兄さん!!」

ダイモニオンの重い一撃が俺の左腕を捉え、身体ごと吹き飛ばしたのだ。

「ぐッ……」

視界が追いついたときには、地面に叩きつけられていた。

鈍い痛みが全身を襲う。

まずい……息が……っ!!

「ちょ、隊長……って、邪魔せんといてやっ!?」

ステラが近づこうとするも、ダイモニオンの軍隊がそうさせなかった。

「こんな量……さすがに相手できん!!」

「......諦めちゃダメ!!」

ヒカリの声が届くも、俺は起き上がることが出来ない。

……左腕とあばらをやられたか……

のどの奥に溜まった血を吐き出す。

途端に気管が開き、酸素を貪れるようになった。

……くそ……倒れてる場合じゃないのに……

身体の感覚が無くなっていくのがわかる。

酸欠のせいであってほしいが……

ヒカリとステラも、ダメージを重ねているようだ。動きが鈍っている。

とてもじゃないが、手負いの2人では倒しきれない……

……なさけねぇ……昔はこんな程度じゃ倒れなかったのに……

だが、この力(・・・)を使いすぎても、自分を死に追いやることになる。

でも……ここで死ぬぐらいなら……

俺は意識が途切れる前に、自分のクリスタルに意志を伝える。

……来い!サウザント・ソード……ッ!!

こいつの自己再生能力に賭けて、右腕を無理やり動かす。

……力を……貸せッ!!!

右手で剣を引き抜いた瞬間、俺の壊れた部位がクリスタルの粒子に包まれた。

……よし、補強はこれで十分だ……

剣を支えにして身体を起こす。

『マスター!!』

傍に落ちているサーチャーから、かすかに声が聞こえた。

「……大丈夫だ……すぐに行く……!!」






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