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パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
第ニ章 「現在《いま》を駆ける探索者《シーカー》」
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チャプター 4-3



「ライト先輩〜!」

「アカリ?」


後ろからの掛け声に振り向くと……


「えーいっ!」

「うぉっ!?」


アカリのホールド攻撃が飛んできた。

このままだとアカリが頭から落ちかねないので、背中を支えて受け止める。


「えへへ……」

「もう、アカリったらまたそんなことして……見てる

こっちが恥ずかしいよ……」


アキラが追いつくなりボヤく。


「なんだ、二人してこんなところで?」

アカリを降ろして、尋ねてみた。

「先輩こそ、今日は赤月先輩と一緒じゃないんですか?」

「いや、あいつは用事があるって……」

「先輩……もしかして、フられたんですか?」

「どういう意味だ……」

「冗談ですよー。怒らないでくださいー」


メンドクセェ……


「それはそうと先輩、こんなところにいるってことは、時間ありますよね?」

「……買い物は昨日行っただろ?」

「いえ、今日は……先輩と、したいなって」

「え……?」





「……どうしてうちの学校の生徒はこうも血の気多い人しかいないんですか?」

「そりゃあ、うちが軍事学校だからだろ?」

「………………」


数分後、俺はコンバート作業のために保健室にいた。


「まぁ、ほかの学校じゃ……作ったマシンで毎日殴り合ってるって聞くし、マシなんじゃないのか?」

「おっかねぇな……」

「お前もそのおっかない学校の生徒なんだぞ?」


熊谷先生は作業をする手を止めずに、話に応えてくれる。


「そうだライト。お前、≪サーチャー≫まだ持ってるか?」

「ええ。ありますけど」

「せっかくだし、メンテナンスしておいてやるよ」

「せっかくって……」

「ビームサーベルもメンテ中なんだろ?すぐ終わるから、少し貸しておいてくれないか?」

「はぁ……じゃあ、お願いします」


先生にサーチャーを渡す。


「よし。じゃ、奥の部屋使っていいぞ」

「あ、はい」


ドアを開けて、コンバートルームへ入る。


「あ、先輩。話はもういいんですか?」


そこには、アカリの傍で待機しているアキラがいた。


「ああ。待たせて悪かったな」

「い、いえ。それは向こうでアカリに言ってやってくださいよ」

「それもそうだな」


コンバートルームには俺たち以外誰もいない。


……使ってるやつとか、俺らぐらいじゃないのか……?


いくつもの機械が呻き声をあげるこの部屋は、何とも言えない独特の雰囲気を醸し出している。

そんな部屋を見回し、アカリに向き直った。


……アカリも静かにしてたら……いやいや、どうしてこのタイミングで……


頭を振って気を取り直す。


「……そうだ、アキラもどうだ?せっかくだし」

「え、ボ、ボクも!?」


まさか話を振られるとは思っていなかったのだろう。かなりの慌てぶりだ。


「しばらく相手してなかったし……どれぐらい成長してるか見てやるよ」

「……そこまで言うなら仕方ないですね……わかりましたよ」


アキラは隣のベッドへ向かい、「でも」と口を開く。


「でも……ボクたちのことなめてたら、痛い目見ますよ?」

「……ああ。わかってる」


俺もベッドへ向かい、マシンを起動する。


……さて……行くか……




*********



*********





「………………」


今月何回目だろうかとふと思いつつ、見慣れた天井を視界が捉える。

特にバグがないのを悟ると、起き上がって武装を確認した。


……やっぱりビームサーベルは置いてないな……


あきらめて、指定されているアリーナへ向かう。


……コイツ(・・・)を使ったら、またヒカリに怒られるかな……


心の中でヒカリに一応謝り、アリーナへの扉を開いた。


「もう……先輩!待ちましたよー」

「ああ、ごめんごめん」


そこにはちゃんと、アカリとアキラの姿があった。


「よぉし!」


アカリは背中に手を回すと、どこからとも無く長柄の薙刀を取り出した。

真紅の柄を持つその薙刀は、確か≪朱雀≫という名前だったはずだ。


「ほら、アキラちゃんも!」

「うん」


アキラは腕に着けていたコントローラーを操作し、手をかざした。

そこに粒子が集まり、亀のようなロボットが姿を現す。

この前も見た、アキラの≪玄武≫だった。


「ライト先輩、アレを使ってもいいんですよ?」

「……いや、今日は≪雷切サンダーショット≫はなしだ」


アカリの挑発を流し、腰の位置でつかんだ柄を引き抜き、刀を構える。

片手でさっとデュエルの準備を整え、タイマーを起動させた。


「さぁ……どこからでもかかって来い!」


カウントダウンが終わり、デュエルの開始が告げられる。


「アキラちゃん!フォーメーション!」

「わかってる!」


まず最初に動いたのはアカリ。

アカリが左側面から走りこむタイミングで、アキラが玄武に指示を送っている。


……さて、この二人を攻略するなら……


昔から二人の戦闘スタイルは見てきている。

それ故、攻略の糸口は見えやすかった。


「はあッ!!」


レンジの長い朱雀は、超近接攻撃と連続攻撃に弱い。

なので、アカリは嫌でも射程内に俺を入れたがらないだろう。


「なんのッ!」


パリングの要領で、横薙ぎ攻撃を受け流す。


「玄武!一斉射撃!」

「――なっ!?」


カウンターをかましてやろうと踏み込んだ瞬間、アキラの声が響いた。

その声に反応し、玄武が銃口をこちらに向けた。

やむを得ず重心を変え、後方へ飛んで銃口から逃げる。


「アカリ!」

「うん!」


銃弾が俺の居た場所に乱射された刹那、アカリの追撃

が飛んでくる。


「くッ……!!」


何とか見える剣先をかわし、玄武の射程から外れるために後退していく。


「先輩!もっと攻めてきていいんですよ?」

「言うじゃねぇか……」


だが、俺は苦笑いを返すことしかできなかった。


……予想通りといえ予想通りだが……


玄武からのビームを避け、アカリの剣を捌くという作業は、さすがに何分も続くものでは無かった。


「それそれー!」


アカリの追撃が俺の頬を捉える。


「……こうなったら……」


さすがに焦りを怯えた俺は大きく距離を取り、あえて少し隙を見せる。


「今よっ!」

「いっけー!!」


アカリの号令に、アキラの玄武が唸った。

そのままこちら目がけてミサイルが発射されるのが見えた。


……狙い通りッ!!


体を捻り、アカリの攻撃が追いつく前に、走り出す。

向かう先は……アキラ。


ミサイルの下を掻い潜って、誘導を切っておく。


「アキラちゃん!!」

「なんの!!」


玄武の弾幕は止まない。

だが、躱し方は知っている。

銃弾を弾き、あるいは避けて、アキラに接近する。


「させないっ!!」


アカリが俺に追いつき、朱雀を振るった。


……その瞬間を、待ってたぜッ!!


俺は剣を戻し、構えに入った。


「≪天津風流龍剣術≫……」

「アカリ!!」


アキラの警告はワンテンポ遅く、アカリは攻撃をキャンセルできなかった。


「……≪朧月≫!!」

「きゃぁぁあああああ!?」


得意のカウンターを叩き込んだ。


……今度はちゃんと狙えてるな……


地面に降りた時には、アカリは倒れていた。


「このっ……ッ!」


コントローラーを操作しようとしたその腕は、俺の刀によって動きを止められた。


「勝負あり、だな」


近接格闘もアキラは得意のはずだが、さすがにこの間合いではモーションを見せた瞬間に斬り伏せられる。


「……ふぅ……先輩は容赦ありませんね……」


それを悟ったアキラは目を閉じて手を挙げた。

同時に、デュエルの終了を知らせるベルが鳴った。


「……正直、かなり焦ったよ」


刀を下ろして、感想を告げる。


「そりゃあ、ボクたちも成長してますから!」

「ああ……スゲェよ。本当に」


アキラの頭を撫でてやる。


「えへへ……照れるなぁ……」

「ちょっ!アキラだけなんてズルイ!先輩!わたしも撫でてくださいよー!」


いつの間にか後ろにいたアカリが、跳ねつつ抗議してくる。


「はは……ああ。アカリも頑張ってるな」

「えへへ……先輩のナデナデ……」


心底嬉しがっているのが伝わってくる。

そんなにされて嬉しいことなのだろうか。


「うーん……もう一回勝負させてくださいよ、先輩!」

「少し休んでもいいが、どうする?」

「ボクは大丈夫だけど、アカリは?」

「もちろん!今日は勝つまで諦めませんよ!」


……おいおい……元気すぎるだろ、マジで……






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