表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
序章 「再開の時に集いし星」
18/111

幕間

幕間




「ふあああぁ……」


間の抜けたあくびが漏れる。

どうも連戦の疲れが出てきたらしい。

……やることももう無いし、晩飯まで少し寝るか……

ローザと階段をのぼり、見慣れた自分の部屋へ。

日はすっかり落ちて、あたりは真っ暗だった。


「ローザ、悪いが少し寝てくる。 おなか空いたら起こしてくれ」

「ええ。 疲れてるなら休む。 鉄則よね」


……鉄則?

ローザの返答を了承と受け取り、俺は靴を脱いで寝室へ。

荷物をリビングのソファーに投げ、扉を開ける。

……うん?

だが、そこはいつもの寝室ではなかった。

……ああ、空いてた隣の部屋か……

どうやらひとつ扉を間違えてしまったようだ。


「......兄さん?」


どうやらこの部屋には先客が居たらしい。


「ヒカリ……さっきから見ないと思ったら……」


薄暗い部屋の中、ブルーライトに照らされた顔をこちらに向けてくる。


「テストはどうしたんだよ?」

「......もうとっくに、終わってるよ?」


そんな"何言ってるの?"的な目でこっちを見ないでくれ……

ブルーライトカットのメガネを直しながら、ヒカリがこっちに来いオーラを発する。

……それにしたって、ヒカリのメガネ姿も久しぶりだな。

普段はかけていないため、余計に感慨深い。

たいていかけるのは、コンピューターを弄ってる時か、コスプレの時だけだ。


「こんな時間から何やってたんだ……?」


そうぼやきつつ、障害物を避けつつ画面に目をやると、


「……何だこれ?」


見たことのないアプリが立ち上がっていた。


「......兄さんの≪サーチャー≫の拡大版」

「どうして俺がそれ持ってるって知ってるんだ……」


ヒカリは何も答えない。

でも確かに言われて見れば、円形モニター内の赤い点は、モンスターの位置を表しているように見えた。


「……一応聞いておくが、これ、どうしたんだ?」

「......わたしが作った」

「ですよね……」


ヒカリはプログラマーだ。

この事実が発覚したのは、俺達が小学生のころ。

あのときは、学校中のプログラムを乗っ取ったりして、大変だったよな……

きっかけは些細なことだったんだが……


「......兄さん、昔のことはいいから」


心読むとかいうメタ能力使うのはやめてもらえますかね……?


「……にしたって、こんなプログラム作って、どうするつもりだ?」

「......一応。警戒用に試験的に導入してみただけ」

「…………」


"警戒用"か……


「......また"あいつ"が、来るかもしれないし……」

「……いや、この1年間、姿を現したという情報は無かったが?」

「......このまま、何も無かったら、いいけど……」


こうして見ていると、最終防衛ラインを超えてきた小さなモンスターが結構居ることがわかる。

……まったく……どうやったら半日かからずにこんなの作れるんだよ……


「......とりあえず、どこに居ても、兄さんの≪サーチャー≫に情報を送れるようにしておくから」

「ああ。 助かるよ」


これでしばらくは不意打ちに会うこともないだろう。


「……これ、人は探せないのか?」

「......一応、追跡できるようには出来るけど……?」


不思議そうな眼差しを向けてくる。


「いや、いい。 確認しておきたかっただけだ」

「......そう」


俺は改めて空き部屋だったこの部屋を見直す。

……とてもじゃないが、人の部屋に持ち込む量じゃないな。

こいつ……完全にここに住む気だぞ……


「......あ、部屋の移動の件は、先生に通達済みだから」

「……先生は何と?」

「......兄妹なら、問題無いと」


ヒカリは無表情のまま親指を立てた。

いや、良くないからな……?


「ローザには言ったのかよ?」

「......? どうして赤月先輩に……?」

「なんだ、聞いてないのか? この部屋はもともとローザのものだよ」

「......え?」


……なんだ……この言いようも無い寒気は……


「......わたしがいない間に……赤月先輩とそういう関係になったと言うの……?」

「ちょっ! 待て! 誤解してるぞ……!」


……うわ……こういう時、どうやって説明すれば…


「ライト~! そろそろご飯の準備、した方がいいんじゃないかしら?」


扉の向こうの方からローザの声が。

……いいぞ、タイミングばっちりだ! ファインプレイだぞ!


「……そ、そういう訳だから、この話は後にしよう。 な?」


だが、ヒカリは納得していないらしく、


「......今晩はわたしが作る」


むくれてそんなことを言い出した。


「何……?」

「......兄さんも手伝って」

「あ、ああ……」


ヒカリ、料理なんてできたっけか?

ていうか、俺も野菜炒めぐらいしか作れないんですけど……



**********



「ねぇ、どうしてヒカリがここに居るの……?」

「......何か問題でも?」

「…………」


意外にも、ヒカリが用意したレシピは、オムライスだった。

ただ、こんな修羅場の真っ只中で調理できる気がしない。


「まぁまぁ、二人とも、落ち着けって」

「なによ、勝手に連れてきておいて……」

「......兄さんのニブチン……」


なぜか冷たい反応しか返ってこなかった。


「絶対に後で説明してもらうからね!」


ローザ、怖い。怖いって……


その夜は、ゆっくり過ごせるはずも無かった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ