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パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
序章 「再開の時に集いし星」
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チャプター 2-7




俺が最初に剣を握ったのは、中学1年のとき。

あの時、剣を手にとって戦おうとしなければ、きっと今の俺は居なかっただろう。

……その時まで、モンスターなんて関係ない。 防衛戦なんて、無関係だと思ってたんだ。

単純に普通の生活を送る。

それだけが俺の全てだった。

だが、そんな偶像は、"ある事件"をきっかけに悉く壊される。

忘れることなどできやしない。


――殺される前に殺すしかない。


俺は剣を、そんな救いの無い思いで振っていた。


――でも、今は違う。


「――はぁっ!!」


大剣とは思えないほどの速度で飛んでくる攻撃を、ビームサーベルで防いでいく。

一撃一撃がとてつもなく重い。


「いったいお前のどこに、そんなパワーが溜め込まれてるんだ?」

「あんたとは鍛え方が違うの、よッ!」


俺のガードをもろともせず、押し崩してくる。

……さすがに片手じゃ重すぎだ……

ガードに両手を使わされているため、クリスタルによる≪双剣≫も使えない。

ローザに押された反動で、体勢が崩れてしまう。

……だが、剣筋は見える!!

ローザの追撃を捉える。

思い切り剣を振り上げて、ローザの剣を弾いた。

耳に響く炸裂音。

……クソッ……俺も弾かれてるんじゃ、追撃ができねぇ……

剣が弾かれても、ローザの体勢が大きく崩れることはなかった。

……チート級のスタミナと耐久性だな……

身体と同じかそれ以上の大きさを持つ大剣を振っておきながら、息が切れる様子すらないとなると、さすがに……

……しかもあの大剣、ただの大剣じゃないな……?

俺のビームサーベルとあれだけ刃を合わせておきながら切れないなんて、何か加工を施しているとしか考えられない。


「やるじゃない! あんた、相当鍛えてるわね」

「……まぁね」


こう見えても討伐許可証ライセンス持ちなんでね……


「でも、もっとやれるんでしょ?」


ローザはバックステップで距離をとる。


「いいわよ。あんたの本気、見せてみなさいよ!」


……≪双剣≫を使えって言ってるのか……?

あの技の中には体術も含まれる。

……女の子にグーパンは、さすがに気が引けるんだけどな……


「……じゃあ、こうしましょう。 ……あたしがあんたに本気を出してもらえるようにするわ」


……なに?

頼み込むのかと一瞬思ったが、さすがにそういうわけではないらしい。

ローザはポケットから淡い赤色をしたクリスタルを取り出した。

形状からして、インスタントクリスタルだろう。


「これを捌ききれるかしらね……?」


悪戯っぽく笑うと、ローザはクリスタルを大剣に取り付け、低めに構えた。

……あのクリスタルも見たことが無い……いったい何の能力が入ってるんだ……?

一応警戒して、俺も受けられるように構えを取る。


「――≪瞬撃ソニック≫!!」


瞬間、彼女の身体が淡赤色に光り輝いた。

そして、視界からその姿が消える。

――速い!!

俺は必死に身体をねじり、バックアタックを避ける。


「なんて速度だ……!」


目が何とか残影を捕らえてくれるおかげで、ぎりぎり対処できている。

ヒカリ相手で練習してなかったら、死んでたかもな……

どうやらあのクリスタルは、ヒカリの≪神速≫と同系列の能力を発揮するらしい。

右へ左へ、死角へと回り込んでくる剣をとにかく弾いていく。

どう考えても、1撃もらったら動けなくなるぞ。


「ほらほら! もっとスピード上げていくわよ!」


毎秒1撃単位で飛んできていた剣先が、2撃、3撃と増えていく。

……さすがに捌ききれない……!!


「――ッ」


俺の剣を掠めた大剣が、頬を掠める。


「――≪天津風流龍剣術≫」


気がついたら、身体が動いていた。


「≪朧月≫――!!」


我に返ったときには、ローザの後ろにいた。

……やっちまった……


「くぅ……っ!」


後ろからうめき声が聞こえた。

どうやら即死は免れたみたいだ。

追撃は来ないだろうとは思いつつも、一応警戒しつつ振り返る。

……やっぱり、鈍ってるのかな、俺……

ローザの左腕から、ひどい量の出血が確認できる。

切断はされていないらしい。


「うぅ……≪ヒール≫!」

「なっ……!?」


聞き覚えしかない、そして、存在し得ないと思っていた単語ワードが響く。


「そんな隠し玉があったのか……」


クリスタルの能力ちからによるものであろう光をまといながら、ローザはゆっくりと立ち上がる。

出血は……やはり止まっている。

……おいおい、未来での病院の存在意義が危ういぞ……


「あたしに超高級品の治癒結晶ヒールクリスタルを使わせるとは……」


あ、高いんだ。 てか、自分で高級品とか言っちゃうの?


「……ちなみに、どれくらいなんだ?」

「……ここではちょっと言えないぐらい法外な値段、とだけ言っておくわ」

「そうか……なんか、すまない」

「別にいいわよ。 ……だって今、もの凄くわくわくしているもの」

「え……?」

「あんたには悪いけど、あたしは誰にも負けないぐらいの修羅場をくぐってきたって思っていたの」

「…………」

「だけどね……こうして、あたしを瀕死状態にまで追い込むほどの強敵がいて、それが――」

「――うれしかったか?」

「……え、ええ。 そうなの」


つい先走って彼女の台詞をつないでしまったが、反応をみるに、どうやら別のことを言おうとしていたらしい。

本当はなんだったんだろう……


「でも、あんたがパートナーで、本当によかったって思う」

「…………」

「これから、あたしのライバルとして、そしてパートナーとして、あたしの隣に立っていて欲しいの」


……隣に立つ、か……

その行為が、どれほどの責任を要求されるか、俺は知っている。

だけど。


「……ああ。 改めてよろしく頼む。ローザ」

「――!! ……ええ!!」


そう言って彼女は、とびきりの笑顔を見せてくれた。


「……じゃ、あたしが奥の手を見せて、今日の試合はお仕舞いにしようかしらね」

「え?」


気づけば、ローザの傷はきれいさっぱりなくなっていた。


「あたしに傷を負わせた借りは、返させてもらうわよ!!」


再びポケットから出てきたクリスタルは……赤紫色をした、永続クリスタルだった。

俺はバックステップで距離をとり、一応ミラークリスタルを剣に取り付けておく。


「さ、行くわよ!!――≪ブレイズ≫!!」


激しい炎がどこからとも無く湧き上がり、金属音が響いた。


「な……っ!」


ローザの大剣が半分に割れ、二本の剣が完成していた。

……あれはまさか……≪双剣≫!?


現代ここに来てからあたしにこの技を出させたのは、あなたが初めてよ。ライト」


彼女はゆっくりと構えを取る。


「あたしの真の実力、見せてあげるわ!」





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