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パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
序章 「再開の時に集いし星」
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チャプター 2-3



ここの学校では、機械人形を相手にする訓練方法と、VRシステムを使った対人訓練が用意されている。

ただ、訓練用の機器不足が原因でVR対人訓練を行うには許可が必要だ。


「えっと……生徒手帳をセットして……」


対面式ではこのVRシステムを使って決闘をする。


「ライト。コンバートするから、使う道具と武器一式持ってきてくれ」

「ああ」


決闘開始時刻15分前になって、ようやくあっち(・・・)へ行く準備を始めた。

いったい対戦相手はどこで準備をしているのだろうか……

俺はまだ数回しか使ったことのない、≪VRコンバーター≫を起動するシークエンスに入る。

さまざまなステータスの読み込みシークエンスを軽く通過パスし、起動準備を完了させた。


「さ……行くぞ。ライト」


熊谷先生が位置に着くように指示を出す。


「ああ……行ってくる!」


俺はコンバーターに横たわり、専用のヘッドギアを装着する。


「後悔の無いよう、そして、みんなに見られているって事、忘れないで行けよ」

「言われなくても……」


そこで、急激に意識が引き剥がされる感覚に襲われる。

……成功してくれよ……

俺は祈るような気持ちで感覚に身を任せ、目を閉じた。




******


*********



気がつくと、物音のしない無機質な部屋で寝ていた。

起き上がって壁に掛けている時計を見る。

……ぎりぎりだったな……

開始時刻の5分前になっていた。

さて……荷物は送られてきてるかな……

まだ見慣れない、こっち(・・・)の部屋の机の上に、俺が先生に預けた武器一式が置かれているのを発見した。

窓の無い、4畳半ほどの空間。

俗に、≪待機室≫と呼ばれる小部屋だ。

ここでアシストスキルの調整などが行えるが、今回は時間も無いので装備をしまうだけにする。

……よし。これで準備OKだ……

俺は指定されているアリーナへ向かう。

そんなに広くない廊下を歩き、エレベーターで移動する。

春休み中に何度か使って、ここのマップは大体把握している。

そのため迷うことなく23階に用意されたアリーナへ着くことが出来た。

……さて、この扉の向こうに相手がいるわけか……

何度もこういう場で戦ってきたとはいえ、さすがに緊張する。

こんな時ってどうするんだっけ……

俺は記憶を探ってみる。


『......結果はやってみるまでわからない、そうでしょ?』


脳裏にリフレインされる彼女・・の声。

それは懐かしくも、絶対に忘れられない声。

……そうだよな。お前の言う通りだよ……

いまさら焦ってもしかたない。

俺は覚悟を決めて、アリーナへ続く扉を開けた。


「…………っ!」


目に飛び込んできたのは、白い、何も無い空間。

ホワイトアウトした視界が徐々に色を取り戻していく……

アリーナの中央付近にたたずむ少女が見えた。

腰の辺りまで伸びる金色の髪。

その髪を留めている赤いリボンが印象的だ。

……あれが、今回の相手……

俺はなぜか、初対面であるはずの少女に既視感を覚えた。

だがそれもそのはずで、その少女はさっきリフレインした声と……


「......遅かったね。でも、ちゃんと来てくれてうれしい」

「な……っ!」


その口から発せられた声は、違いも無く同じものだった。

……少女が閉じていた目を開く。

しかし、完全に見開かれることは無い。

彼女は半眼で、無愛想で有名なのだから、当然といえば当然だ。

……真紅に光るあの目。抑揚の少ない澄んだ声……


「まさか……」

「......また会えてうれしいよ……兄さん(・・・)


……そう来たか……

俺は、あまりにも予想外すぎる対面で緊張などどこかへ行ってしまい、正直決闘どころではなかった。

だが、相手はやる気満々なご様子で……


「......時間ね」


彼女は手を前に出し、決闘の申請体勢に移った。


「......天風ヒカリ。 1年Sランク」


……天風ヒカリ……俺の実の妹だ。

2年前に生き別れたっきりだったんだが……

俺は頭を振って手を前に出し、その申請を受諾する体勢に移る。


「天風ライト。 2年Cランク」


……こうなりゃもうやけくそだ……


「「決闘デュエル!」」


叫ぶと、タイマーが起動し、空中にウィンドウが表示される。

それを見た俺とヒカリは、色違いのビームサーベルを取り出した。

ブザーの音が、決闘の開始を告げる。

……相手がヒカリなら、話は別だぜ……

非難されようがもう知ったことではなかった。

……妹に負けることのほうがよっぽど嫌だろ……

俺は視覚の補助のため、サーチャーを起動し装備した。

そんな俺をよそに、る気満々のヒカリは、突きの体勢に入っていた。


「......はっ!!」


一息で俺とヒカリの距離が詰められる。

ヒカリのビームサーベルは俺のと違って刀身が薄く、明らかにスピードを意識した形をしていた。

いわゆる細剣レイピアだ。

その剣先が、恐ろしい速度で俺に迫る。


「くっ……」


ヒカリの攻撃パターンは大体つかんではいるが、スピードが圧倒的に成長していた。

何とかビームサーベルで受け流す。

……避けれると思ったんだけどな……

これでは反撃が出来ない。


「......兄さん、鈍った?」

「そ、そんなことはない!」


ヒカリの連撃を紙一重で防御する。

まるで隙が無い。

……いったいどこで何をしてたらこんなに速くなるんだ……

妹の成長を身で感じながらも、素直には喜べない自分が居た。


「......ほらほら兄さん、もう降参?」


……くっ……このままじゃ……

俺は早くも押されてきていることに気づかされる。

……ラッシュを数秒で良いから止められたら……

コンバートした武器をざっと頭で整理する。

使えるのは永続クリスタルが1つ。インスタントが3つ……

……そうだ、それがあった!


「――だあっ!!」


俺はバックステップしつつヒカリの剣を思い切り弾く。

その決死のパリィは外れることなく、きちんと仕事をした。


「......くっ!」


出来た隙を使って、俺はあのクリスタルを試してみることにする。

……たしか、トリガーになるキーワードは……

異様な形をしたクリスタル――名前は≪ミラークリスタル≫らしい――を取り出し、ビームサーベルに取り付ける。

剣を前に掲げて叫ぶ!


「≪エクスパンド≫!!」


刹那、激しい光がビームサーベルを包んだ。

……先生の説明によれば……

俺は説明通り、光から剣を新たに引き抜く動作をする。

……これか……!

グリップをつかむ感覚があったので、そのまま引き出す。


「......そんなの、ありなの?」


俺は……クリスタルを代償に、剣を二本装備している状態になった。

発動する補助スキルは……≪双剣≫。

俺は戻ってきた懐かしい感覚と、絶対的な自信に包まれた。

……これが、先生の言っていた……

本当の実力(・・・・・)


「ここからの俺は、容赦しないぜ……!」


大人気ないのは百も承知で、俺は反撃を開始した。






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