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パラドックスライフ  作者: 水無月 俊
プロローグ 「終わりの始まり」
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プロローグ

 プロローグ 


――"Rebellion"


2232年――今から三年前、そう呼ばれることとなる戦争が、日本で起こった。


その戦争の二十年前から発見されて尚、その全貌が明かされていないエネルギー体、≪クリスタル≫を宿したモンスター――通称、≪クリスタルモンスター≫。

その存在はクリスタルと同時に発見されたとされているが、被害が本格化し始めたのはそれから数年後の話で、ましてや、人類存続の危機に晒されるなど、その当時には想定されていなかったかもしれない。


だが実際、クリスタルという存在は、良くも悪くも、人類に多大な影響を与えた。


"対クリスタルモンスター防衛兵器"と称してクリスタルを使用した様々な武器が開発され、クリスタルのエネルギー運用による発電システムも組みあがり、クリスタルはいつの間にか生活になくてはならないものとなってしまっていた。

クリスタル鉱山から発掘されるクリスタル。 それを掘ればモンスターがその分湧いて出てくる。

その事実を知っていながらも、クリスタルを使うことを選んでしまった。


モンスターが沸くなら、それを退治する役割を担う人が居ないといけない。


兵力として選ばれたのは、自衛隊……ではなく、めまぐるしく変わる時代に対応した、十代の若者達。

数箇所の学校は軍事学校となり、戦闘技術を、モンスターに対抗する手段を、若き戦士に伝えた。

それでも実際に戦場に立つのは少数で、その殆どが新兵器を渡されただけの自衛隊だったため、多くの人たちには遠い話でしかなかった。

モンスターの被害が及ぶ範囲も限られていて、その存在をニュースなどでしか知らないという人たちまで居たという。


――そんなある意味で平和ボケを引きずっていた最中、ついにモンスターが動きを見せる。


振り下ろされた鉄槌は、仮初の平和を跡形なく粉砕した。

防衛ラインに敷設されていた壁は突破され、都市は壊滅。

どこにそんな戦力を隠していたのかと思うほどのモンスターが蹂躙の限りを尽くした。

それでも全勢力を以って守りに徹した人類は、大きな傷跡を残しながらも、モンスターの攻めを凌ぎ切った。

そう――この戦争を、人類は一応の勝利で終えたとしている。


後にこの戦争を、ニュースキャスターは"不幸な事故だった"と語り、イカれた宗教家は"神からの裁き"だと言った。

そしてまた、前者は事故のおかげで日本は進歩したと言い張り、後者は神の恵みだとモンスターを崇めるまであった。


だが俺は……そんな戦争に巻き込まれた俺は、居場所も仲間も失って、それでも前に進むことに決めた。

戦士として戦うことしかできなくても、生きることを選んだ。

生き残ってしまった者の義務として。


今でも思う。 もし本当に神が居るのだとしたら、俺は問いたい。

そんな戦争を引き起こした、その真意についてを。

なんのために、俺は生き残ったのかを。




あの戦争から約二年。

日本の傷跡が幾分癒えたころ。

≪クリスタルモンスター≫の活動が緩やかになっていったせいか、人類はモンスターが居るという事態に慣れつつあった。

壁はほとんど壊されたままだが、それでもまた、平和を繕った。

もう誰もがこの平和が崩れることは無いと信じて疑わなかっただろう。


そんな世界の2235年4月8日……この日、俺、天風ライトは高校二年生になった。


俺はこの日もそれなりに平和な世界で、普通に過ごすはずだった。

そう、"彼女"が現れるまでは……


――そして、俺達の≪未来(結末)≫という≪結末(未来)≫を変える物語は、ここから始まる――

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