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ソウルメイト  作者: K
18/19

18 話をしているうちに見えてきた

喫茶店から榊が出ていくと、カウンターに座っていた男が、爽の前に座りこんできた。

「聞いてた?」

「うん。」

「珍しいよね。兄貴が、こんな話に興味持つなんて。」

「たまたま、暇だったからな。」

爽に兄貴と呼ばれた男は、爽に似たパーツを持ちながら、派手な印象を持つ綺麗な顔立ちをしていた。

「どう思った?」

「どうって?」

「彼は、僕を見た時、懐かしいって言ったんだ。」

「それが?」

「彼は、全ての記憶を落としてきてるわけじゃないんだ。」

「?」

「彼は、何故、自分がここにいるのか、疑問を持ったはずなんだ。けれども、今回は、その疑問に触れるのを止めた。」

「それは?」

「今は、そこに触れない方がいいと思ったからだ。」

「何で?」

「彼を、この世界に連れてきたのは、僕だ。」

「え?」

「正しくは、僕の前世のソーだ。」

「は?」

「今、榊さんと話しているうちに見えてきた。」

「びっくり人間ぞろいだな。」

「僕等は、結局、脱出には失敗した。全滅し、最後に死んだのが、ソーだった。ソーは、超能力者だった。彼は、自由を夢みた仲間と、自由のある場所に行けるよう強く祈って死んだんだ。その祈りに反応した魂が、僕と一緒に、この世界に来てる。」

「まさか?」

「そう、兄貴もだ。梨花さんが、夢に振り回されているとき、兄貴に会ったら、びっくりしたろうね。タクミがここにいるって。」

「マジかよ。」

爽の兄、巧は、楽しそうに声をあげた。

「でも、もう、リカの意識は、宿題を終えて昇華されつつある。今、兄貴と会っても、多分、気が付かないよ。シュウもそうだ。」

「そいつは残念。」

淡々と答える巧に、爽が笑う。

「あんまり、驚いた感じじゃないね?」

「今更だろ。」

爽は、笑いながら、榊が出て行った先を見る。

「僕にもわからないけど、この世界に生まれてきた理由があるなら、榊さんとは、また会うことになるよ。榊さんが、疑問をそのままにしたのは、今は時期じゃないと思ったからか、今後も必要ないと思ったからだ。でも、何だか、また、会いそうな気がするな。」

「そうか。」

「うん。彼を、この世界に連れてきたのは、僕なんだから。」


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