偽物の正体は本当
王様の指揮したパーティーは
囁かなホームパーティー、とはいかないようだ
そんなことを、ヨリの隣に突っ立っていたセイジは考えていた
何処を見渡しても、華やかな食事と、色とりどりのドレスを着込んだ人間達が蔓延している
天井に大きく煌めくシャンデリアは、きっとこのホール内の何処にいてもその存在がはっきりとわかるくらいに輝いていた
本日の任務はナンバーズ全員参加
例外はもちろん、他の任務に行くことを許可されない
前回のターゲットでは、この件は片付けられないのだろう
力の入れ具合が、何となくいつもとは別格な気がしてならない
そんなにあの資料が大切か?
嫌味のように、喉元から何度のその言葉が出そうになる所で、ヨリにジャケットの裾を掴まれた
「ねぇ、セイジ」
「………、なんだよ」
「ご飯食べないの?せっかくいっぱいごちそうあるのに」
気の抜けたような声に少し焦るような瞳の色が混じっていた
溜息をつきたい衝動が一気に押し寄せて来るが、この場に相応しくないことは明白なので、押し戻しておくことにした
どうせ食べても意味のないことくらいわかってはいるのだ
けれど、どうやら食事のことだけでヨリが声をかけたわけじゃないらしい
「そのカッコ、そんなに落ち着かない?」
「―――――――っ!」
俺の声に、ヨリは瞬時に顔を赤らめて俯いた
どうやら図星のようだ
裾を掴む力が、さっきとは比べ物にならないほど強い
少し動くと破れそうだ
「そ、そんなことない」
「顔が赤い」
「……気のせい、」
「動悸がおかしい」
「……気のせいっ」
「じゃぁそんな泣きそうな顔するなよ、」
「ぅ、うっるさいなあ!あのね、好きでこんなことしないんだからね!?」
知ってんよ、んなこと。
ヨリが着ているのは白いフワフワのドレスワンピース
赤茶色のウィッグと、カラーコンタクトを付けている所為で、殆ど顔は誰かわからない
まぁ、『本当』でいるのが少ない所為で着慣れてないのもあるか
「僕普段はオトコノコってことになってるんだから、ナンバーズにこんなこと知れたら大変だよ………!」
最小限の小声でヨリが溜息をつく
普段、通常何も無い限り、ヨリは偽物として生活している
大して生活には問題ない
ただ、このヨリの秘密がバレルとナンバーズが階級を上げに俺達を狙って来る
そうなった時に、女であることが知れたらまっ先にヨリを潰しにくるだろう
ヨリは他の奴等に比べて、身体能力が疎い
それでも普通の人間に比べたらサイバーチルドレンの身体能力は、超人と同じだ
ただ、俺達のなかでその能力が低いのだ
ヨリは人の心の中に入ることに長けている所為か、その他のことはまるで使えないと三条に判断された
簡単に言うとお荷物、に認定されたことに代わりない
10人の中で一番頭も良く、能力的にも申し分無い
けれど、任務に対して一番リスクを負うのはヨリだ
そして、俺の中で一番重いのも―――――――
だから三条は俺と組ませた
「ヨリ、いつまでもいじけるなよ。もうじきここに全員集まる」
「わかってるよ、」
「ならいい」
「でも今回の任務は地道に探さないといけないみたいだね、ターゲットは全部で八人」
「猟れなかった場合は降格か?」
「うん、数的には何人猟ってもいいみたい」
「じゃぁ行くか」
大切な物があるなら、自分から動かないと守れない
「―――――楽しい狩りのハジマリだ」
ショルダーにかけた手は、いつもより脈を打っていた
何人も殺してきた
数えきれなくなるほどのイノチを手にかけてきた
泣叫ぶ奴も、助けてくれと懇願する奴も
握りしめた黒い鉄の塊が、激しく揺れる
いつもいつも俺を縛り付けるのは、大事な何かを奪う
白い正義と言う名をもった悪魔の影
人としての最低ライン
勝ち取った命の数だけ、この世で息をしていられるのなら
生きているのか確かめろ
終わった後の未来なんてたかが知れてる
だから、前へ進み続けないと、大事な何かは消えてしまう
だから
見据えたのは、血殺しの道
この道を歩むと決めた
いつかこの先で、悪魔の影を潰すと夢見て
亀な更新で申し訳ありません、
まぁ、あの
まだたくさんどんでんがえしとかあるとおもうので←
ちょっとくらい期待して、次回を待っててくれるとありがたいです(´`)