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ドクンッ ドクンッ ドクンッドクンッ――――――――
心臓の音はいつものように高鳴る
この時間だけは罪悪感に囚われず、
俺は躊躇いも無く仕事をこなせる
指定された位置について間もなく、ターゲットの男が動いた
手には黒い封筒が握られていて、彼の周りには大勢の男達がスーツに身を包み彼方此方辺りを見回しては無線で連絡を取り合っている
大半は体格のいい欧米人に混じって、髪の毛が橙の一人の少年が俺の眼に飛び込んできた
――――なんだ、来てたのか?
――――それとも、裏切ったのか?
そのことに安堵する俺と、信頼し切れていない俺自身が重なる
それでも俺は仕事を全うするだけ
あいつがうらぎったとしても
それだけが俺の存在理由、生きる価値、息をしているという証拠
人としての最低ライン
俺は注意深く腰に掛かっていたショルダーに手をかけてから勢い良く走り出した
ターゲットの周りについていた男達は俺のほうに向かって拳銃を向けて怒鳴りつける
けど遅いよ
彼らが怒鳴りつけたその刹那
中心に居た男は倒れて、背中から血を流して死んでいた
黒い封筒はすでに俺の手の中にあった
中にはいつもどうりの重みと、生臭いような札束が見えた
吐き気がしそうな『それ』を黙殺して、俺はもう一度だけ持っていた拳銃を彼らに向けた
酷く困惑しているような彼らはそれでも俺に向かってきた
泣き声とも叫び声とも似つかない声を上げながら――――――
逝かせてやるよ
お前らのいける所まで
孵らせてやるよ
もう俺には戻れる場所なんてないから――――
俺は駆け出して、彼らの懐に飛び込んだ
楽しい話になればなぁとか思ってますんで宜しくおねがいします