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死の在り方。

作者: 愛石 世界

君が唐突に、死ねばいいのに

なんて呟くから僕は

少し驚いてしまってもう一度君を見た。

そうすれば君はいつもとなんら変わらぬ笑顔を此方に向けたかと思うと屈託ない顔で笑って見せた。


何に向かって吐いた言葉なのかなんて

君に聞いてもきっと意味がないんだろう。

君はいつでもそうだから。


人の目を気にしすぎる日の丸の国の人間らしからぬ

君はいつだって自由に生きている。

体裁、世間体、ルールにモラル

ありとあらゆる柵が君の周りには存在しないのだろう。

だって君は内側で縛られている。


笑って笑って

いつでもいつだって笑って

今だって笑って

そしてほら。

ふらりと、よろけて気を失ってしまう。

酷く不安定に出来上がった神様の失敗作。

人間の出来損ない。


僕はなけなしの男の力をここぞとばかりに披露して

倒れてきた君を抱き締めるけれど

マシュマロみたいな柔らかさの君は

きっと僕が居なければ宙に浮かぶんだろう?

そんなこと有り得ないのは分かっているけれど君なら出来そうだからさ。


子守唄とグリム童話が大好きな君よ。

誰よりも人らしい君よ。


死ねばいいのになんて

そんな恐ろしい言葉使っちゃ駄目だよ。

誰かが死んでしまうなんてそんな悲しいことはないのだから。

笑って笑って

笑ったまま君の時は動かなくなってしまったから

僕はもうその笑顔しか思い出せないようだ。

でももし君がその呪いの言葉を僕のために僕に向けて放ったのならば


それは嬉しくてたまらないから

君のいないこの世界から僕は今

君のいる空へ。

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