皇国民救出作戦―作戦前―
タウロス討伐(と余計な仕事)の翌日。
実は今日、皇国民救出作戦の日だったりする……。
ティールさん達はともかく……。
「フェンリルちゃーん。もう起きなきゃだよー」
「うぅ……分かってますよ……」
初めて軍としての任務だったから緊張していたのか、疲れが……。
「もう、こんなんじゃこれからどうするのさー。ほら早く早く!」
ずるずると布団をはがされて、しぶしぶ起き上がる。
「……ん〜……」
「……いや待てよ……寝ぼけたフェンリルちゃん可愛いしな……ほっぽっといてもい」
「おはよーございます!」
何かイスさんが危険な事を口走ったので急いで覚醒させる。
「お! もう復活? 早いねー! ほら着替えて早く行こっ」
ベッドを降りて、イスさんに邪魔されながら着替える。
「イスさん! 早く行こって言ったのになんで邪魔するんですか!」
「そんなこと言ったっけー」
「いいから、早くスカート返して下さいよ! 恥ずかしいですから!」
「えー可愛いのにー」
全然嬉しくない。
「まぁフェンリルちゃん風邪ひいたら大変だもんね。はい」
「もう……」
渡されたスカートを穿いて、髪をとかす。
「おっけー?」
「はい」
「じゃ皆のとこ行こー」
部屋を出て、ブリーフィングルームに向かう。またビリみたいだ。
「お前らいつもおせぇな。何してんだ」
まだ昨日の事を根に持ってるのか、若干不機嫌なティールさん。
「遊んでる」
「遊ぶなよ。まぁいい。飯食ってブリーフィングだ」
「ほいほーい」
イスさんとティールさんが出て行く。その後ろにエオローさんと私、一番後ろにアンスールさん。
「フェンリルちゃん、昨日は寝られた〜?」
「まぁ……はい。まだちょっと眠いですけど……」
「作戦中に寝ちゃ駄目だよ〜?」
エオローさんが笑いながら言った。
「アンスールは〜?」
エオローさんが後ろを歩くアンスールさんに話を振る。
「……平気」
アンスールさんはいつも通りの澄まし顔だ。私とは大違い……。
「今日も宜しくねぇ〜」
「……うん」
朝食を済ませて、ブリーフィングルームへ。
「やー。皆待たせたね」
いつもよりやや遅れてペオースさんが入ってきた。
「おう、遅かったな?」
「まぁ気にしないでいいよ。それより、今日の作戦なんだけど……。一時間後に裏門集合でいいかい?」
ガリア王国第三要塞は、ここから時間がかかるらしく、要塞に一番近い皇国のミサエルという街にある基地で夜を待ってから作戦を開始する事になっている。
「おう。ペオースは? いつものようにここから指示か?」
「いや、今回は電波のあれこれで僕もミサエル基地に行くんだ」
「オーケー」
「じゃ、一時間後だよ。僕は先に行って装甲車やらの準備してるから、何かあれば無線でね」
そういうとペオースさんはブリーフィングルームを後にした。
「だってさーフェンリルちゃん良かったねー」
絶対くると思った……!
「そんな、お出かけって訳じゃないんですから……」
「ま〜、夜まではお出かけみたいなもんだよね〜。移動は作戦行動じゃないんだし」
「そ、それはそうですけど……」
エオローさんまで攻撃側とは!
「いいから早く準備しろって」
興味のないティールさんは鬱陶しそうに指示をした。
「じゃ、フェンリルちゃん行こー」
「あ、はい」
イスさんと共に、部屋へ準備しに行く。
「ふーっ……いやぁいよいよって感じだねぇ」
イスさんがベッドに飛び乗って呟く。
「そうですね……足引っ張らないようにしないと……」
「あはは、あんまし気張んなくていいよ」
それきり、しばらくお互い無言で準備した。
「これで……よし」
装備の確認を終えてポシェットを身に着ける。
「お、フェンリルちゃん終わった?」
先に終えてごろごろしていたイスさんが身を起こして言う。
「はい。終わりました」
「どする? あと30分くらいあるけど」
「ん〜……ちょっと、歩きませんか? 緊張しないように体動かしたいですし」
「お、いいねー。そうしよそうしよ」
装備は一旦部屋に置いて、噴水のある庭に行くことにした。
四諜を出て、廊下をイスさんと歩く。
勿論他の兵士も沢山いて、
「お、イス、今日作戦なんだってな。頑張れよ」
「おぉ、フィスじゃん! そっちだってガリア攻略戦出撃るんでしょ? 四諜とか呼ぶなよー!」
「はっは! 四諜呼ぶのは俺らじゃねぇよ!」
とか、また軍部受付でも、
「あ、イスさんお疲れ様です」
「やほー。どう? 流石に半年も経てば軍部の生活にも慣れた?」
「どうですかねぇ、うちの男連中は使い物にならない人達ばかりですし」
「まぁ事務官だもんねー。しゃーないしゃーない」
などと、結構話掛けられていた。
「イスさんって有名人ですね……」
「ん? あはは、四諜の連中は皆こうよ。女の子ばっかりの部隊だし。なんというか、ちょっとしたアイドル気分よね」
「皆さん個性的で可愛いですもんね……」
ちょっと自信なくなる。いや、元から自信とかないけど。
「だーいじょぶ。フェンリルちゃんにも既にファンは出来てきてるから。その素直さが人気なのかな?」
「あんまりその情報いらなかったかもです」
「なんだよー折角おしえてあげてるのにー」
そんなことしてる内に、噴水庭に着く。
ここと、城に入ってすぐの大広間は普段から一般開放されているため、普通の皇国民の姿もある。
「流石に、恋人同士で、っていうの多いですね」
「まぁ庭広いしねー。庭師さん頑張ってるよ」
「確かにそうですよね……」
階段を下りて、噴水の縁に腰掛ける。
「ん〜……あったかくて気持ちいいです……」
伸びをして緊張をほぐす。噴水の水音と、程よく吹く風が心地いい。
「戦争してなきゃのどかなもんだねー」
隣に座るイスさんが空を見上げて言った。
「ここの風景だけ切り取れば、戦争してるようには見えません……」
「まだどこからも攻められたりしてないしね。皇国民ものんびりしたもんよ」
「皇帝は、なんで世界を統一しようとしてるんでしょうか……」
「さぁねぇ……あの人の考える事なんて私達にはとても」
「ですよね……」
「……でも」
急に、イスさんの声のトーンが変わった。
「皇帝のおかげで私達の大事な仲間も一人減った」
「えっと……前に言っていた?」
初めて部屋に案内された時言っていた。
『前の子』がいた、と。
「うん。フェンリルちゃんよりもちっと年上だったかな。フェンリルちゃんみたいに素直でさ、可愛い子だったよ」
それきり、イスさんは黙ってしまった。
「イスさん……」
「未だに覚えてるよ。あの時は……」
「大丈夫です。言わなくても、無理に思い出さなくて大丈夫です」
イスさんはこちらを見て、
「ありがと」
と言った。
「蘇生魔法とかあってもさ、確実なわけじゃないんだ。例えば重い病気だったとか、出血が多すぎたとか……状況次第じゃ失敗する。エオローは一級だし無属性魔法は得意だけど、ああいうのは無理だった」
「そう……ですか……」
どう切り返せばいいか分からなくて、口ごもってしまう。
「さて! そろそろ行かないとやばくね? って話」
「え? あ、ホントだ」
時間を見るとあと15分。移動も考えると、そろそろ戻った方がいいかもしれない。
「じゃ、戻ろっ。ティール待たせると怖いし!」
やけに明るく振る舞うイスさん。こういう時はきっと……
「はい。今回は一番で行きましょう!」
こちらもいつも通りにするのがいいと思う。変に気を使ったらきっと気にするもんね。
……で、結局……
「ようビリ。お前らちっとは進歩しろよ」
「仕方ないじゃないですか戻る途中で捕まったんですもん!」
イスさんの言うとおり、帰りは私が話掛けられた。全然知らない人達から。
「そんなの考えて行動しろよ! ……ってまぁ、知らなくても当然か。まぁいい。さっさと乗れ。もうペオースもアンスールもエオローも中にいるぞ」
「えっ……」
「ほほぉ、フェンリルちゃん、隣がいい?」
「い、いえ、どうでしょう」
「あーもうお前ら面倒くせぇなぁ! さっさと乗れっつの!」
しびれを切らしたティールさんが私達を装甲車に押し込む。結局、配置はペオースさんの前に座る事になった。
「随分遅かったね。遅刻してたら置いてこうかと思ったよ」
「い、いえ……ちょっと……」
ま、前でも緊張する……!
「フェンリルちゃん可愛い〜」
「う……うるさいですっ」
「顔真っ赤だよー。うりうり」
イスさんが私の頬を指でつつく。
「やっ止めて下さいよっ!」
「……何してんの? 君達」
「フェンリルちゃんを弄んでる」
ペオースさんが若干引き気味で頷く。
「……はっ」
「あ、そだ」
急に何かを思い出したようにイスさんが呟き、私に耳打ちしてくる。
(ねぇねぇ)
「ひゃん!?」
全然見ていなかった私は、イスさんの吐息がかかったのがくすぐったくて、声を上げてしまった。
「え? 何? 何? どしたの?」
「いえ……何でも……それより、何ですか?」
イスさんは私に耳貸して、というと、もう一度耳打ちしてきた。
(ペオースのアドレス聞いたら?)
くすぐったくて集中出来なかったけど、そう言った。
そういえば……聞いてなかった。
(でも、恥ずかしいです……)
(そんな事いってたら進まないでしょ? ほら言った言った!)
うぅ……。ペオースさんをちらっと見る。
「?」
サッ
お、思いっきり目があっちゃったよ……!
反射的に顔を背けてしまったけど、気を取り直して再チャレンジ。
「あ、あの、ペオースさん」
「ん? 何?」
「その……ペオースさんの……あの……」
「僕の?」
ここまで言ったらアドレスだって分かんないかな……ってわかるわけないよね……。
「あ……あぅ……あ、アドレスとか……貰えたりしませんか?」
隣でイスさんが小声で言ったぁー!とか言ってるけどそれに構っている余裕はない。
「ああ、僕の? いいよ別に。皆も持ってるし。じゃあ、フェンリルちゃんに送ればいいかな?」
「あ……は、はいっ! お願いします……っ」
まずペオースさんに私のアドレスをパスして、そこにペオースさんがメッセージを送る。
送られてきたのを確認して、登録する。
「ありがとうございます……」
「こちらこそ。宜しくね」
「は、はいっ」
(何だよフェンリルちゃんやればできんじゃーん)
(き、緊張しますよ……何せ男の人から貰うの初めてですし……)
(相手がペオースだからでしょー)
否定するのすっかり忘れてたけど、首を振って否定する。
「いや〜フェンリルちゃんは見てて飽きないね〜。面白い子〜」
エオローさんがそんな事を言う。
「確かに、面白い子だね。よく言えば感情豊かで」
ペオースさんが笑いながら言う。
「は、はぅ……」
恥ずかしさと嬉しさで俯く。
「……こんなんで大丈夫か。マジで」
ティールさんがそう呟いたけど、誰も反応する者はいなかった。
その後も車で雑談しながらミサエル基地に向かい、到着したのは六時近くだった。
「とうちゃくーっ」
既に日は沈んで、レンガの家々に街灯が灯る幻想的な風景がひろがっている。
「きれいな街だね〜」
エオローさんも同じ様な感想。
「……ちょっと疲れた……」
「大丈夫ですか?」
確かに長い道のりだったし、疲れるのも無理ないかも。
「さて、基地に入ろうか」
ペオースさんがリュックを背負って声をかける。
ミサエル基地はミズガルド城に比べて、3分の1くらいの広さだ。
戦闘三部と四部の中隊が3つづつあって、主にガリアからの攻撃を防御する部隊が多い。
「ここで九時半まで、自由時間だ。装備は臨時のブリーフィングルームに置いておくこと。いいね?」
「おう。じゃ、ここの地図もらえるか?」
ティールさんが地図を受け取り、臨時ブリーフィングルームの場所を確認すると、そこへ向かう。
「自由時間かー。みんなで街行ってみよーよ」
「あ、はい。3時間くらいありますしね」
「どうせここいても暇だしねぇ〜」
「……あまり遠くに行かなければ」
「確かにな。遠足じゃねぇんだし」
装備品を一旦置いて、基地を出る。
おぉ、ちょっと肌寒い。流石に春でも夜はまだ冷える。
「お、発見」
そう言ってイスさんはとあるアクセサリーショップを指差す。
先頭を行くイスさんはアクセサリーショップを探していたようだ。
「そういえば、私達ってそういうの着けてていいんですか?」
「うん。あんまり派手じゃなければね。ピアスはダメだけど、ネックレスとかブレスレット程度なら問題ないよ」
「そうなんですか……」
軍隊だからそういうのダメかと思ってた。
「つか、イスこの前も買ってたろ。あれはどうするんだよ」
「んー? コレクションだからいーの。全部ローテーションで着けるし」
「服じゃねぇんだからよ……」
ティールさんが呆れたように溜め息をつく。
「私も見てみよ〜」
「エオローさんとか、結構持ってそうですよね」
「そお〜? あんまり持ってないよ〜」
ロッドに嵌めた宝石くらいかな?と続ける。
「でもいつもネックレス着けてたよな?」
「ん? あ〜。これ〜?」
そういってエオローさんが胸元に手を入れて何かを取り出す。
「……えっと……」
「じゃ〜ん、猫さん」
ですよね。
エオローさんが取り出したのは猫のシルエットの小さなシルバーだった。
「うわーエオローそれまだ着けてたの?」
「そだよ〜ずっとつけてる〜」
「え? そんなに前からつけてるんですか?」
「三年くらい前からかな〜」
三年も経つのに、曇り一つなかったよ……。
「ネックレスはずっとこれだから〜、ブレスレット買おうかな〜って」
「なるほど……」
「フェンリルちゃんも買ったらー?」
「そうですね……飾りが多いのは似合わないし、シンプルなもので気に入れば……」
「じゃーみんなでいこー」
五人揃ってお店に入る。
店内は落ち着いた雰囲気で、宝石を大量に使った派手なものよりは宝石の少ないシンプルなものが多い。
意外と気に入るのあるかも。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなものをご所望でしょうか?」
受付にいた女の人が私達に話掛ける。
「うーん、あ、そういえば――」
イスさんが応答しているので、残った私達はイスさんを置いて見る事にする。
「あ、ね〜ね〜これどぉ?」
エオローさんが小さな青い宝石のついたブレスレットを見せる。
「エオローさんって、青好きなんですね」
「ん? あ〜言われてみれば〜」
自分で気付かないってどういうこと……。
「ん〜これにしよっかな〜……あでもこっちも……」
と、最初は私に聞いた割に自分の世界に入ってしまったのでアンスールさんの所に行く。
「アンスールさんは、何か気に入ったのありました?」
「……これ」
そう言って指さしたのは、小さな銀の弾丸が通されたブレスレット。
「確かに、アンスールさんらしいですね」
「……うん」
そのまま決めたようで、アンスールさんは会計の人を呼びにいった。
「って人の気にしてる場合じゃ……」
ふと、ティールさんのことが気になった。ティールさんも何か買うのかな。
「ティールさーん」
「ん? なんだ?」
入り口で店内を見回していたティールさんに呼びかける。
「ティールさんは、何も買わないんですか?」
「ああ、アタシこういうの着けるの苦手でね。アクセサリーとかに興味はねぇんだ」
「まぁ、らしいと言えばらしいですね……」
「それより、お前はいいのか? 何か気に入ったのあったらとか言ってただろ?」
「あ、そうでした。失礼します」
ティールさんの元を離れて合いそうなものを探す。
「やほ〜。フェンリルちゃんは見つかった〜?」
そこへエオローさんが小さな袋を持ってやってくる。
「いえ……エオローさん、何か買ったんですか?」
「うん〜」
私はどうしようか……。
「あ、フェンリルちゃんこれとかどう〜?」
「え?」
エオローさんが指差したのはネックレスで、小さな水晶がそのまま下げられていた。
「確か水晶って魔除けでしょ〜? フェンリルちゃんに悪いのが憑きませんようにって〜」
「いや……それはどうかと思いますけど……」
でも、程よく小さくて、いいかもしれない。
「分かりました。私これにしますね」
「おお〜お祓いグッズだね〜」
「いや、だから違いますって」
会計を済ませて(結構高かった)、外に出てイスさんを待つ。
「てか、あいつ随分おせぇな」
「オーダーメイドとかしてもらってたり〜」
「ありそうで怖いな」
丁度、イスさんがお店から出てきた。
「いやぁお待たせー。迷っちゃってさー」
手をひらひら振りながら言い訳を言う。
「じゃ、早速見せて貰いましょうか! てことで私が買ったのはこれだっ」
ばっと袋からそれを取り出す。出てきたのは……
「私の誕生石ルビーのブレスレット、ついでに黒曜石」
小さく丸く削られたルビーが、同じように削られた黒曜石と交互に通されている。
「うわー……これ高くないですか?」
「値段など些細なものだよ」
なぜ自慢げ。
「そいえばアンスールも買ってたね。何買ったの?」
「……ん」
アンスールさんは先程の銀の弾丸のブレスレットを見せた。
「おー着けて着けて」
「……分かった」
アンスールさんは言われた通り、ブレスレットを左手首に着けた。
「おー似合う似合う! アンスールってそゆの似合うよね」
「……ありがと」
ちょっと嬉しそうにアンスールさんが微笑んだ。
「エオローは何にしたの?」
「そういえば、私も見てません。気になります」
「ん〜? 私はねぇ〜……じゃ〜ん」
そう言って取り出されたのは例の猫のシルエットをかたどったもの。恐らく同じ会社のものだ。ただしブレスレットになっている。
「猫さん2」
「何で? シリーズ揃えたかった?」
「そんなとこかな〜」
エオローさんはそれを満足そうに着ける。
「じゃ、ラストのフェンリルちゃんは?」
「えっと……これです」
エオローさんが選んでくれたネックレスを取り出す。
「おぉ……魔術師みたい」
「皆そう言うんですね」
「私プロデュースだも〜ん」
エオローさんが胸を張る。
「そなの?」
「はい。エオローさんが選んでくれたんです」
首に下げながら言う。……ううん……一回上着のボタン外さないと入らない……。
「なんだ。皆つけちゃうんじゃ私もつけよ〜」
「……で、今何時なんだ? アタシ端末充電してて今ねぇんだ」
「えっと、7時ちょっと前〜」
エオローさんが端末を確認して言う。
「じゃ、ご飯食べる? 折角だし外で食べる?」
「そうだな。さっき地図見た感じ、食堂は男女共用だ。この時間じゃもうないだろ」
「おーさっすがティールじゃーん」
「ならどこ行く〜?」
「……混んでないとこがいい」
アンスールさんがリクエストを出す。
「まぁな。時間が時間だし、どこも混んでそうだよなぁ……」
結局少し離れた所のレストランで食事を済ませることにした。
「あそこ混んでない割に結構おいしかったねー」
「だな。値段もそんなしなかったし、ラッキーだったな」
「ティ〜ル〜あと40分〜」
「お、そろそろ戻るか。準備とかもあるし」
「りょうかーいっと」
いよいよ、皇国民救出作戦が目前となった。
「が、頑張ります……っ」