市民要請
お久しぶりでしたー。まったり更新再開~
四諜に戻る途中、ペオースさんからイスさんに通信が入った。
「ん? どしたんだろ」
イスさんが画面を開いてメッセージの内容を確認する。
「なんて言ってた〜?」
「んー? あぁ、大した事じゃ無かったわ。明日の報告書を取りに来いってさ」
「なるほどねぇ〜」
二人のやりとりを聞いて気がつく。
「そう言えば、メッセージの場合って端末のアドレスで送るんですよね?」
「ん? そだね。無線は作戦行動中で、それ以外の私情で連絡を取りたい時はアドレス交換して、そのアドレスに送るの」
イスさんが答えてくれる。
「じゃあ、交換、しませんか? いつも一緒ですけど、そうじゃない時だってあるかもしれないし…」
「おっけー。じゃ、私とエオローが送るから、そのアドレスに送ってね」
「ありがとうございます」
イスさんとエオローさんからアドレスをもらって、そこに送る。
「なんだよフェンリルちゃん本文なしかよー」
「いや……別にいいじゃないですか……すぐ近くにいますし……」
「そうだけどさー」
「フェンリルちゃん、宜しくねぇ〜」
「あ、はい。こちらこそ」
四諜の扉が見えてくる。
「四諜に戻ったら、ティールとかアンスールにももらっとけばー?」
「はい。そうします」
「ああ、あとペオースかー」
「はぅっ!?」
思わず端末を落としそうになる。
「フェンリルちゃんわっかりやすいねー」
「……余計なお世話です……」
「フェンリルちゃんかわい〜」
「そ、そんなこと……」
俯いて反論する。もっとも、ペオースさんにも聞こうとしていたのも確かなのだけれど。
「あはは。さぁ、四諜に到着〜」
エオローさんが扉を開ける。
「……お帰り」
ブリーフィングルームにはアンスールさんの姿。
「あれ? ティールは?」
「……すぐ戻ってくる」
言っている間に、ティールさんが寮に繋がる部屋の扉から入ってくる。
「ん? なんだ。帰ってきたのか」
「おうー。あ、ティールとアンスール、フェンリルちゃんとアドレス交換して」
「……了解」
「はいよ」
ティールさんとアンスールさんが端末を持ってくる。
「……送った」
画面を見ると、アンスールさんから空メッセージが届いていた。
アドレスを登録して、返信する。
「……有り難う」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
アンスールさんは可愛らしく首を小さく傾けて微笑むと、ティールさんと入れ替わった。
……なんとなくさっきの負い目がある……。
「……ほら、送ったぞ」
「ありがとうございます」
画面を操作してメッセージを開く。
本文なしの空かと思ったら、本文があった。
『悪かった』
たったそれだけ。でも、それだけでも十分だった。
四諜に来て日は浅いけど、ティールさんの性格はよく分かっているから……。
「送りました。宜しくお願いします」
「おう。……」
ティールさんは私のメッセージを見て、少し驚いたような顔をしたけど、すぐにいつもの表情に戻って、
「じゃ、宜しく頼むぞ」
とだけ言った。
「じゃ、そろそろお昼といっちゃうー?」
「そうだな」
「……腹ぺこ」
「私もお腹空いちゃった〜」
「私もです」
五人揃って四諜を後にする。
「……あ、そう言えばフェンリルちゃんまだペオースからアドレスもらってないね」
「言わなくていいですよそういうこと!」
「ん? アタシが教えてやろうか?」
「だめだよティール〜。こういうのは自分で聞かないと意味ないんだから」
「……青春」
「も、もう…! からかわないで下さい!」
顔が真っ赤になってるのが自分でも分かる。
「恋するフェンリルちゃんだねぇ〜」
「な、ち、違いますよ! そんな特別想ってるわけじゃないです!」
大げさに否定する私を見て、余計笑っているイスさん達。
そうこうしている間に食堂にたどり着く。
「さぁさぁ今回はどんなごちそうが……」
「来るたびそれだな」
「まぁね。これ言わないと食欲湧かない!」
「なんだそりゃ」
言いながらティールさんはイスさんとお皿を取りに行く。
「じゃぁ、私達は飲み物先に行こうか〜」
「……了解」
「わかりました」
三人で飲み物を取りに行って、イスさん達と入れ替わりでご飯を取り行く。
「フェンリルちゃんはこれいるー?」
エオローさんがサラダのトングを持って私に聞く。
「あ、じゃあお願いします」
お皿を渡すと、エオローさんはサラダを盛って渡してくれる。
「ありがとうございます。エオローさん、スープは飲みますか?」
「ん〜、じゃお願い〜」
スープ鍋の隣にあるお椀を取ってよそい、エオローさんに手渡す。
「ありがと〜」
「……フェンリル、私にも」
「あ、はい、どうぞ」
アンスールさんにも同じように手渡す。
「……ありがと」
一通り取って、テーブルに向かう。
「お、きたきた。さー皆さんいっただきましょー」
「「頂きます」」
それぞれスプーンやフォークを持って食べ始める。
「あ、またフェンリルちゃん少ないなー」
「元々少食でしたからね。ダイエットって訳でもないんですが……」
「まぁ、食う量少ない分、回数食ってんだろ。訓練後テラスカフェで軽食してんのたまに見るからな」
ティールさんがご飯を食べながら言う。
「そうなんですよね……」
「だから訓練の後たまにいなくなるんだね〜」
「はい、あそこは景色もいいしゆっくり出来ますから……」
「でもさーよくそれで太らないねー。ちょっと羨ましいわ……」
サラダにフォークを刺しながらイスさんが不満そうに言った。
それにアンスールさんがコーヒーを飲みながら続く。
「……体質かも」
「多分、そうだと思います」
「テラスカフェか〜。ね〜ね〜フェンリルちゃん、今度私も行っていい?」
「あ、はい。勿論です」
「あ、いーなー私もー」
「じゃあ三人で行ってみようか〜」
「そうですね……それがいいと思います」
そんな話をしながら食事を終え、一旦四諜に戻った。
ブリーフィングルームの扉を開けると……
「やぁ、待ってたよ皆」
「ん? ペオースがアタシ達に何の用だ?」
「ちょっと市民要請がきててねぇ……。他の戦闘部署は先の作戦準備で忙しいから、是非とも君たちにお願いしたいと、皇帝が仰っていたのさ」
市民要請? って何の事だろう……。
それでも話は進んでいく。
「なるほどな。じゃ、詳細と現地までと現地の地図データを送っといてくれ」
「はいはい。じゃ、宜しく〜」
そう言ってペオースさんはブリーフィングルームを出て行った。
「……さて、これより四諜、作戦準備だ。十分後までに装備を整えてここに集合だ。以上」