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NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
本編 デート?
6/66

模擬戦闘

途中経過から言おう。開始2分で俺ピンチ!

「うりゃ!」

「ぁっぶね!!」

茶髪が放つ回し蹴りを後ろに下がりながら避ける。

今まではこれで良かったが、そろそろ避ける事すら出来なくなるだろう。

茶髪は最初の方から大雑把で素人……つまりは俺でも避けれる攻撃を繰り返していた。

最初はその大雑把さから、俺がカウンターを狙った時に一気に叩くつもりだと思っていた。

シキの馬鹿力を容赦なく振るう人間。俺は茶髪をそう認識していた。

だから長期的な作戦なんて組まないだろうと高を括っていた。

しかし違った。

俺は攻撃を躱しているうちに、学校の敷地の隅へ追い込まれていた。

段々と狭まる可動範囲。前に出ようにも、茶髪の攻撃に一発でも当たればちょっと動けなくなる。

俺のしょぼい能力を使うにも……回数制限がある。

「どうした? 逃げてばかりで、少しは前に出て来ないのか?」

「負けるギャンブルには誰も乗らねぇーよ」

茶髪が攻撃の手を止め、俺に聞いてくる。俺は距離を少し詰めながら、言い返す。

しかし、逃げてばかりは居られない。時間制限がある。

まだ半分以上はあるが、それも躊躇っている間に減っていく。

………やるしかない……………………

「お前の雑音拒絶パーソナルノイズについてだが」

俺が覚悟を決めると同時に、茶髪が喋り始める。よりによって俺の興味を惹く話を。

「ちょっと異例なんだ」

「異例……?」

「しょぼ過ぎる、お前の雑音拒絶は」

茶髪の言った言葉に俺は絶句。ショックを受ける。もうそれは凄く。

だって、だって……だって! 自分でもしょぼいとは思ってたけど、しょぼ過ぎるって…………くそっ!

あー、ちなみに雑音拒絶とは、他人の女性の血を飲む事で得る力らしい。

飲んだ時に拒絶した事が間接的に能力になるのだが……もう知った事か。どうせ俺の雑音拒絶はしょぼいんだよ!

「本来―――って、おい張空弟。お前アタシの話を聞いてるか?」

「どうせ、しょぼいよ。しょぼ過ぎるんだよ俺の力なんて。しょぼくて何が悪いんだクソっ!」

「聞け」

「ぐふぇらっ!!」

茶髪が突如放った回し蹴りは、見事に俺の胴に入り胃の中の物を吐きかける。

中身が無いから出なかったのかも。それか茶髪が加減したか。

いや、加減は無いか。茶髪に限って。

「本来、雑音拒絶には回数制限なんてものはない」

「……うそ、だろ」

「本当だ。どんなに拒絶の度合いが弱かろうと回数制限なんてものはあるわけが無い」

いや、でも有るんですよ。現に俺が。

「しかしお前の雑音拒絶にはそれがある」

「まぁ」

「つまりは回数制限の分、能力が上がっているはずだ」

「ウッソだぁー」

「ふざけるな」

「危ねっ!」

俺のみぞうちに踵落しなんてものを茶髪は決めようとしやがっていた。

「お前の能力は何だ、言ってみろ」

「んぁ? 相手の行動を歪める力だよ」

その後、俺は自分の能力の詳細を話た。これが細かいんだ、しょぼい分。

受動的だったり、相手が動かそうとした部分しか効力がなかったり、相手が次の行動をしたら簡単に効力が切れたり。それと一人に一日6回までしか使えなかったり。

「しかし、その力には矛盾が生じている」

「矛盾?」

俺の能力に矛盾が生じている? さっき言ってた回数制限の事か?

「呼吸。それは相手の行動には入らないのか? 呼吸は立派な行動だろう」

「……………そういや……」

前に力を5回一気に使って、オトアの動きを無理矢理止めたことがあった。

あの時、オトアはしっかりと呼吸をしていたが能力もしっかり発動していた。

つまり、どういう事だ? 俺の力にはまだ制限があるのか?

「しかし、張空弟。お前もバカだな」

「うるせぇ」

自分の能力の矛盾点を気付けなかった、その点については言い様がない程にバカだ。

だが、茶髪に言われると―――――、

「今の話で、5分は削られたぞ」

「にゃんと!?」

んなバカな! 茶髪は時間稼ぎで俺の能力について触れたのか、そして俺はそんな単純な手にまんまと嵌ったのかよ!!

本当にバカだな俺は!

「残り、3分。どうする?」

茶髪が挑発的に笑う。ムカつく、この女マジでムカつく!

一発ぶん殴らなきゃ気がすまねぇ!

俺は一歩前に出ようとして、やめる。

無策のまま無謀に突っ込んでいったって、ボコボコにされるのがオチだ。

なら、どうする? 何か策があるか?

行動を歪める力が使えるのは、俺と茶髪のを合わせて12回。12手、俺が狂わす事が出来る。

そして俺の力は一気に連鎖的に使った方が、影響力が大きい。

茶髪の分で使えるのが6回ってところがネックか。

俺自身に力を使う時は、大概が回避の為になっちまうから一気に使ったって意味が無い……っ?

……………………そうだ、回避以外にも使い道がある。

「おいおい、アタシを睨み付けたって事は変わらないぞ」

「……あんたはさっき、俺の雑音拒絶が異例って言ったよな。あれは本当か?」

「あぁ、さっきの話はすべて本当だ」

「そうか。俺の雑音拒絶が特殊とか何やらの意味は後で教えてくれるんだろうな?」

「及第点まで至ったら、教えてやるよ」

「分かった。なら今すぐに俺の全力でお前を条件をクリアしてやるよ」

俺は突撃体勢を取りながら、そんな事を言っていた。

さぁて、この策は茶髪の馬鹿力に通用するかな?

さぁて、どう逆転させっかなぁ……………

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