表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
8年前
54/66

とある事件の始まり

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


翌日。

「音にぃと、ショッピングゥ」

「歌うの止めなさい」

「でもだって、久し振りだよ。音にぃとshoppingするのは」

急に英語にしない。アクセントつけない。恥ずかしい。

しかし唯音の言う通りのなのだ。二人でこうして買い物に出掛けるなんて……何年振りだろう。

前の時は、たしか施設に居た時だったけど。

「あ、音にぃ! あれじゃない!?」

「ん? えぇーと……うん。あれだな」

大型スーパーが目に見えてきた。

看板からして大きいし、3階くらいまであるんじゃないだろうか?

食料品はもちろん、日用雑貨も揃うとシキちゃんは言ってたが……本なども売ってそうだ。

僕らの所持金は、鑑さんの財布やらから引っ張り出した5万円。

正直、無断で人の財布から金を引っ張り出したのが犯罪だと思うし、その上、金額が多過ぎると思う。

でもまあ、このまま何もしなければ鑑さん自体が犯罪者に成りかねないから仕方ないよね。

…………あとでレシートと共に余ったお金は返そう。

「さ、早く行こう。音にぃ!」

唯音の声に釣られる様に、僕は大型スーパーへと入る。




「アイマスクと耳栓って……これだけで良かったのか?」

「あとは音にぃ抱き枕があればぐっすり眠れるよ♪」

「あのなぁ……」

2階で唯音曰く安眠グッズの類を買ってエスカレーターへと向かう。

でもまあ、想像以上に出費が少なかったのは良い事だ。

あとはティッシュを買って、食料品を大量に買っておけばいいとの話だ。

唯音の話だから信頼できるかといえば微妙だが、妹のことを信じなくて何が兄だ。

「唯音、アイス食って帰るか?」

「え、いいの!?」

「お金が余りそうだからな。シキちゃんにも買って帰ろう」

「うん! 音にぃナイスアイディア!」

「英語ばっか使って……まずはしっかりと日本語をだな」

そんな他愛無い会話をしながら階を移動する。

「じゃあ、お主も悪よのぉ」

「それを英語にするとナイスアイデアになるなんて、初めて知ったよ兄ちゃんは」

「んん? 違うの?」

「違うよ。普通に、良い提案って言えばいいんだよ」

「捻りが無い」

「捻るな」

1階に着き、食料品売り場へと向かおうとする。

後ろで爆発音と共に悲鳴が聞こえなければ。

「な、なんだ!?」

「…………チッ」

素で何が起こったか分からずに声を上げる僕と、静かに舌打ちをする唯音。

爆風に髪をなびかせながら、静かにその方角へと向く唯音。

視線の先には変な服装をした、傭兵。

僕がそれを傭兵と認識できた理由は、彼らが全員小銃らしき何かを持っていたからだ。

「……音にぃとの買い物中なのに…………」

言葉と共に、唯音の髪が白く染まっていく。

いや、染まっているのではなく脱色していってるのだ。飾っていたものを捨てていく。

黒く長かった髪は全て雪のように白くなり、双眸は黒ではなく金色へと変わっていた。

これが魔神。唯音の力。そう感じた。

「お前ら全員、死んで」

「唯音…………ッ!」

「……音にぃはそこに居て。どうせアレらは裏の溝に嵌った奴らだから」

言い終わるや否や、唯音が傭兵の一人に片手を向ける。

瞬間的にそこには棺桶が出来上がり、傭兵の一人がそこへと閉じ込められる。

棺桶の蓋が閉まると共に絶叫が聞こえたが、何が起こったのかは理解できない。

「面倒、ザコだから一掃する」

今度は唯音の周囲に砲台がいくつも出来上がり、一斉に射出する。

一般の人間への被害など考えずに放たれた砲弾は傭兵一人一人へ確実に飛んでいき、爆発する。

硝煙は晴れてはいないが、きっと生き残ったものはいないだろう。

「どうせ、ここだけじゃない」

唯音の掌から球体のような物がいくつも出てきて、そこから何か犬のような生物が生まれる。

その犬たちは地面に鼻を擦りつけ、臭いを嗅ぐような仕草をした後に、それぞれ別々の場所へと散って行く。

その後、数秒も経たないうちに至る所から悲鳴や絶叫が聞こえ、それがスーパー内に木霊する。

…………この数分のうちに何が起こったのか。到底、僕には理解できなかった。

「神へ祈る暇は与えなかったけど……どうせ全員死ぬ覚悟は出来てたんでしょ」

「おい、唯音……一体何が―――」

起きたんだ。

そう問い質す前に、異変に気付いた。異変が見えた。

先程の砲撃による硝煙の向こう……何か立っている影が見えるのだ。

普通、生きている人間などいないはずなのに。

「祈る神様はいねぇんだが……そっちも死に急ぐ覚悟は出来てるのか?」

「…………誰?」

程なくして、硝煙の向こうに立っている人物から声を掛けてきた為、唯音もその存在に気付いた。

唯音が問うと共に、風が吹き荒れ、硝煙が晴れることで声の主の姿が見える。

それはまだ未成年の青年であるものだと思った。

ボサボサに荒れた髪に黒い瞳。片耳にはピアスをしており、その服装は傭兵たちとは違い、どこにでも居そうな現代的な服装。

彼は不気味な笑いを伴いながら、唯音の質問に答える。

「隼綛白兎。魔神を殺しに来ちゃったんだけど……どこにいるか、知らない?」

お噂の隼綛さん登場。

彼は一体どんな力の持ち主なのか!?(数話前にバラしてます)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ