海!
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「うぉー! 海だスゲェ!!」
「凄い! 大きい!」
「…………」
燦々と照り付けてくる太陽の元、僕ら兄妹とシキちゃんは海に来ていた。
水着はもっていないので、普通に私服で。
シキちゃんはそこまでの感動もないようだが、僕ら兄妹はこんなに大きく大量に水があるところを知らない。
「うぉぉ、なんか引いたり戻ったりしてる!」
唯音はさっそく潮の引き際にて、進んだり戻ったりしてる。
僕も程なくして、唯音と同じようなことを始めた。
っていうか何だこれ。海ってなんとなく楽しいし興奮する!
「音にぃ、音にぃ」
「ん、何だ?」
「えいっ!」
僕が唯音の方に向くと、さっきより前方の場所で屈んでいた唯音が大きく腕を振り上げて海水を掛けてきた。
「やったなー」
「きゃっ、きゃはははははは!」
互いに水を掛け合って笑い合う僕ら。
本当、服は濡れるしこのままだと風邪引いちゃうんだろうけど、なんだろう。物凄く楽しい。
「…………恥ずかしい」
シキちゃんの冷たい目線が相当痛いんだけど、それでも楽しい。
しばらくすると唯音もシキちゃんの視線に気付いたのか、動きを止めて凝視する。
そして。
「シキも一緒にやろっ!」
「えっ……やだ、引っ張らないで…………ッ」
割と本気で抵抗するシキちゃんの様子などさておいて、唯音が無理矢理に海の方へと引っ張りだした。
見ようによってはシキちゃんと共に心中する気ではないかと疑いたくなるような。
そんなことを僕が思っている最中、あまりにもシキちゃんが強く抵抗するため唯音が転んでしまった。
シキちゃんも強く力を入れてた為に、尻餅をついてしまった。
……これはどう見ても唯音が悪い。
「…………ああぁァアアアアアアっ! もう我慢できない!」
シキちゃんがそう大きな声を上げて、唯音に向かって砂を投げつけた。
顔面に思いっきり砂を当てられた唯音は。
「……ぐへ、ぐへへへ」
ニタリと顔を歪め、その上、変な笑いを辺りに響かせながら。
「戦争じゃぁ!!」
「魔神のくせにぃ、ひれ伏せ!」
唯音の宣戦布告により、こうして幼き神々の戦いが始まったのだ。
まったく、それに巻き込まれる人間の身にもなってほしい。
楽しいのだけど。
「んで、全員びしょ濡れで砂まみれになったと」
「……はい」
「……鑑、ごめん」
「いや、本当楽しかった!」
反省の色が見られない妹の頭を強引に下げさせながら、玄関にて僕たちは鑑さんに謝る。
「まぁー子供なんだし元気なのは良い事だよ。さてそれじゃ、シキと唯音ちゃんは先にシャワー浴びてきて。音亜くんはちょっとしばらく待っててね」
「うっしゃぁ! シキと一緒に洗いっこだぁ」
「いにゃぁぁあああああっ!!」
抵抗するシキを無視して、唯音は靴を脱ぎ、そのまま家の奥へと突き進んでいく。
唯音の奴、どこに風呂場があるのか分かってんのかな。
あ、でもさっき家の中をグルグル回りながらシキちゃんを追いかけてたから分かってもおかしくはないか。
「にしてもよく濡れたね」
「相当、はしゃいでましたから」
「これじゃ、乾くまで時間が掛かるねぇー……藤松さんには僕から連絡しておくから今日はウチにとまっていきなよ」
「いいんですか?」
「構わないよ。それじゃ、音亜くんは先にこれで体を拭いといて」
僕にタオルを渡した鑑さんは、そのまま服を出さなくちゃなどと言いながら家の奥へと進んでいった。
本当に、あの人はいい人だよな。
紛争地域に独りでいた死神と呼ばれる子供を引き取ったり、僕ら兄妹のために働きかけてくれたり。
鑑さんみたいな人がもう少し世界に居れば、きっと世界は優しくなるのに。
「こらぁ、シキ。動かないで」
「来るな嗅ぐな舐めるな噛むな撫でるな触れるな、この変態!」
「でも、そうしないと洗い合いっこ出来ないよ?」
「するな! 一人で出来る!」
「そんなこと言ってぇ、恥ずかしがらなくていいんだよぉ」
「恥ずかしがってなんひゃふっ!」
「あ、シキってここ敏感なんだぁ」
「みゃめろぉ……しゃわれみゃ…………」
「舐めろ? 触ってみ? うん、わかった!」
…………一体、我が妹は現在風呂場で何をしているんだろうか。
というか、どうしてそんな風に育ってしまったんだろうか…………。
甘やかしたのがいけなかったのか? いやでも唯音は可愛いから甘やかしても当然というか。
だがしかし現にこうして変態に育ってしまっているような気がしてならないのは何故だ。
やはり僕の兄としての教育方針が間違っていたとしか思えない。
どうしたらよかったのだろうか僕は。
「唯音ちゃん。すまないけど服が乾くまでシキの服を着といてくれないかなぁ」
「いいよ。むしろ大歓迎」
「鑑ぃ、助けてぇ!」
「シキのもここに置いとくから、まあ好きなのどちらか着てね」
……え? シキちゃんを虐めるのが流行ってるの?
いや、鑑さんに限ってそんな事はしないだろう。
まさか……唯音の行為を変態行為じゃなくてスキンシップと勘違いしているのか!?
確かにシキちゃんは控えめで静かな性格だから、あまり友達がすぐできるタイプでないとはいえ。
さすがに唯音のはただの過度だろう。シキちゃんも可哀想に。
せめて自分の眼の届く範囲では、そういう行為を自重させるようにしよう。
そう心に誓ったのであった。
萌ってどう書くんだろう。まったく分からない……




