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NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
本編 旅行
37/66

目的

処刑刃(ギロチン)》を振るった余波で生まれた硝煙の中、オトアは怪訝な表情で煙の中の影を見た。

そもそも、《処刑刃》に手応えというものは無いはずなのだが……奇妙な事にそれがあった。

まるで肉塊や骨などを断ち切るような微かな抵抗を腕に感じたのだ。

(…………認識を誤魔化されている。ならどうやってオレの雑音拒絶(パーソナルノイズ)を消した?)

硝煙を晴らすために小規模な爆風を起こしながら、オトアの思考が回り始める。

考えとしては、《処刑刃》を消した上でわざとオトアに斬ったという誤った認識を持たせたというものだ。

方法は不明だが、理由は割と簡単に検討が付く。

逃げるためか、油断した所を殺すためか。

前者は無いだろう。わざわざシキたちの目の前に姿を晒そうとしていた人物だ。引く気などもとよりない。

となると後者。しかも恐らく、目的はオトアの暗殺ではなく……小月、秋音、シキの三名の内の誰かの暗殺。

誰を殺すか。分からない。

それどころか雑音拒絶を無効化した方法すら不明。

敵の名前も経歴も武器も人相も容姿も不明。

分からない事に仮説を立て、それから行動する。

(――――そこだッ!)

そんな小賢しい様な戦法は、オトアには不可能だった。

硝煙が晴れきる前に、手刀を、《処刑刃》を薙ぎ、今度こそ敵を切断しようとする。

だが、また失敗した。

《処刑刃》が受け止められたような感覚が腕に走る。

「……ったく。篠守音亜という人物は噂通りの、いや、噂以上の怪物だ」

それは数十分前に一つの国を瓦礫の山に変えたことを言っているのか、それとも硝煙によって暗ましたはずの自身の姿が直感だけで見破られたことを言っているのか。

未だ姿の見えない敵の言葉には耳を貸さずに、すぐさまオトアは攻撃が止められた方向へと突撃して行った。

「ったく、怪物退治は私の仕事じゃないってのに。あのイケメンに後でボーナス請求してやる」

「そういう算段は、敵を倒せた後に立てるべきだ」

距離を詰めたオトアは幾度も《処刑刃》を振るいながら、腕にくる違和感について考えていた。

先程は受け止められるような感触だったが、距離を詰めた今はまるで粘土を切るかのような感覚だ。

粘り気とでも言おうか。そういう抵抗が腕に強い違和感をもたらす。

小月の黑鴉のような武器か、それとも雑音拒絶(パーソナルノイズ)。自身と同じ、空間を歪める系統の力か。

(……いや、それはねェ)

自身の頭に浮かんだ戯言を振り払うようにオトアは《処刑刃》を振るい続ける。

そして、彼をもう一つの違和感が襲う。

(…………【蒼い死神】はどうした……?)

敵だと分かっているならば、シキがそろそろ蒼い炎でこいつを燃やしてもいいはずだ。

小月も秋音もシキの傍にいるし、まさかオトアを気遣って蒼い炎を使わないなど無いはずだ。

それに何度も《不可視の鎧(インビジブル ロック)》によって蒼い炎を防がれている為、一面を火の海にするのに躊躇いなど無いはずだ。

それなのに、一向に蒼い煌めきは視界の何処にも映らない。

何故? もしやシキはこの粘り気が原因で炎が出せないのだろうか?

どういう用法、どういう類の力か分からないが、粘り気は厄介だ。

斬撃を止め、一旦距離を取り、手を薙いで周りにある煙を全て暴風によって消し去った。

粘り気を消し去り、敵に止めを刺せる方法ならある。

だがその為には、ある程度の時間稼ぎと最終的に相手を拘束する事が必要だ。

それにこの策が上手くいくとは限らない。ただ気付かれるかどうかが問題だ。

オトアの中で最低限のシミュレーションをしたところで、敵が口を開く。

「まったく、邪魔しないでくれないか? あと少しで作戦は終了するんだ」

煙が全て晴れ、オトアはその敵の容姿が男性というよりは女性よりだと感じながら言葉を返す。

「見えねェな、オメェらの狙いってものが」

「知ってどうする?」

「大概の予想はついてるんだ。【蒼い死神】や張空秋音がいる国でクーデターなんてものを起こす理由は」

「へー」

「クーデターってのは目立つようにだ。ただ足りない部品を取り寄せる為だけの名目」

「それで?」

「そしてオメェらの必要としている部品は三つ。【蒼い死神】。張空小月。張空秋音だ」

「その通り。だけど篠守音亜の乱入が算段に入ってなかったわけじゃない」

その為のこの謎の防御なのか。

適当に検討をつけながらオトアは話の続きをする。

「ここからは完全にオレの妄想だが……オメェらは、いや、オメェはもしかして【蒼い死神】に致命傷を負わせる状況を張空小月に見せるつもりじャねェか?」

「…………目的は――」

「魔神。張空小月にそれを見せれば、心的ショックによる暴走か、直接魔神が出しゃばるかは分からないが……どちらにしろ魔神が出てくる」

「……ふーん」

「死神殺して魔神を誘き出すとは……まったくイイ根性してるなァ」

《処刑刃》を創り出しながら、オトアは敵へと一歩一歩進んでいく。

「魔神に会う事は、そっちにもデメリットだとは思わないけど?」

「残念ながら、アレには二度と遭いたくないんだ。生理的に受け付けない」

そんな言葉を口にしながら、オトアは再度、敵へと突撃した。

この編のオチ書きましたからね。

後はその通り流れます。

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