救出
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「っ……秋音、大丈夫か?」
灰色の粉塵が視界を覆う中、アタシは大きな声で呼びかけた。
返答は無かったが、しばらく辺りを探すとアタシの近くで気絶していた。
「オトアの奴……」
先程、テロリストが上空に何かいるという報告を盗み聞きした瞬間にオトアが来たと何となく予想がついた。
だって、ここには秋音が……篠守唯音の体がある。
オトアが来ないわけが無い。
それにしてもオトアめ……ド派手にぶち壊したものである。
一体全体、力をどう使ったらこんな様になるのだろうか?
……ともかく、今が脱出するには絶好の機会だ。
この混乱の中なら秋音を連れ出してこの場から離れられる。
考え終えると共に、傍で寝ている秋音を担ぎ、どことなく逃げ始める。
「……おい【蒼い死神】が逃げてるぞ!」
10秒も経たずに見つかった。
というか早過ぎだろ! これだけ状況が混乱しているというのに、何でこんなに早く見つかるんだ!?
アタシには運が無いのか!?
……まあともかく。今は秋音を人質に捕られているわけでもないから、容赦なく、完膚なきまでに敵を蹴散らしてイイ訳だ。
アタシの逃走を大声で仲間にしらせた敵から殲滅しようと、ソイツに手を向けると同時に――――。
銃声と共に、ソイツが倒れた。
「はぁ……やっと見つけた。シキ、秋音」
「こ……づき…………?」
溜息を吐きながら頭を掻く少年に、思わず問い返してしまった。
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遡ること数十分前。
俺の視界がいきなりブラックアウトしたかと思えば、例の白黒の精神世界に連れて来られていた。
「お困りのようで」
話し掛けてきたのは鏡の向こうにいる白髪の少女。
「わざわざ強制連行してきやがって……何か御用で?」
「いや、力を貸してあげようかなぁと」
「あ、そ。俺急いでるから」
「む? 貴方にしては珍しく無下に断るのね」
「どうせアレだろ? 代わりにシキのあれな映像やらR指定がついてしまう映像やらを見せろとでも言うんだろ?」
「そう。読者も望んでる」
「そんなの知らねぇーよ。誰が望もうとも結果として暴力振るわれるの俺じゃねぇーか。誰がやるかそんな事」
「残念……。ならタダで知恵を貸してあげる」
「知恵? タダ?」
「知ってる? アホ毛ってセンサーにな――――――」
「うん、死ね。っていうか出てけ」
この魔神、微塵の役にも立たねぇ。
まあ、タダって言った時点で予測はついてたんだけど。
本当この白髪女、早く俺の中から出て行かないかな。
「さて、冗談はこれくらいにして」
「最初から本題に入れよクソ魔神」
こんなやり取りの後さらにシキについて熱く語りだそうだった魔神を振り切ってどうにか精神世界から自力で脱出した俺は、本当に冗談だと思っていたアホ毛センサーをいつの間にか魔神に取り付けられており、それでどうにかシキを探しきったわけだ。
このまま魔神を中で放置しておいたら、俺までオカシナ人間の仲間入りを果たしそうだ。
「小月。周りに敵の気配が無いんだが……まさかお前が全員倒したのか?」
秋音を担いだまま、シキが近付きながら問うてきた。
「いや、大半はオトアに行ってる。だからこっちに来た人数も少なかったってだけだろう」
それでも数十人近くいたんだが。
すべて後ろからこっそりと近付いて《不協和音》で動きを止めて、黑鴉でポックリ気絶してもらった。
暗殺は案外スリリングで楽しかった。
……そんな事はともかく。
「シキ。さっさとここから離れよう。オトアがさらにぶち壊す前に」
「さらにぶち壊すのか?」
「いや、別にそういう訳じゃないんだけど……例えっていう奴だ。破壊の余波には巻き込まれたくないからな」
二次災害とも言えるが、瓦礫とか人体とかがいつ吹っ飛んできてもおかしくない。
そもそも敵の殲滅がオトアの仕事だ。倒れている奴以外を殺せばいい環境とかのほうが仕事がやり易いんだろう。きっと。
「この国の人はどうする? ……いや、それよりも」
シキが途中で口を動かすのを止め、目を細めながら横にある瓦礫の山を睨む。
……何だ?
「敵だ」
担いでいた秋音を下ろしながら、シキは小さな声で告げる。
シキが睨み付ける方向へと視線を向けながら、黑鴉をより強く握る。
瓦礫の隙間から、人影が見えたと思ったら。
「――――テメェで最後だ、小悪党」
心配していた二次災害……いや人災そのもの、怪物がその両手を叩きつけるように振り下ろしながら降り立ってきてしまった。
文章力が下がっているような……ノリが怠い様な……。
そもそも時間が無い様な……飛ばしているような…………。




