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NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
本編 旅行
33/66

到着

……まさか天地が引っ繰り返ったとしても、オトアと共闘っぽいことするとは思わなかった。

「行くぞ」

「どうやって?」

オトアが出発を促してきたから一応訊いてみた。

本来なら、飛行機やらで行きたいだろうけどクーデターと言ってたし、近くまでそういう交通手段で行って、あとは徒歩での移動になるんだろう。

そんな俺の平凡な思考は、たった一言でぶち壊された。

「空を飛ぶ」

「飛行機か」

「いや。オレの力でだ」

「…………えっ?」

「《不可視のインビジブル ロック》での推進法を使って行く」

「いやいや、だって……えっ?」

「上飛んで、マッハで水平移動して、到着っていう手筈だ」

「ふざけんなっ!」

「捕まっとけ。じゃねェと、風圧やら気圧やらで色々体が潰されるぞ」

「え、嘘」

「マジだ」

……まさか天地が引っ繰り返ったとしても、オトアと共闘っぽいことするとは思わなかった。

第一、そもそも規格外の怪物に俺が合わせられるはずがないので……そもそも共闘というより付き添いって形になると思う。

っていうか絶対になる。無理、コイツ考えてることが本当に異常だ。

「最悪だぁぁあぁあぁぁああああぁああああああああああっ!!」

しかし仕方が無い。シキや秋音を助けるためだもの。

ためだもの…………。



「……絶対に、この世にあるアトラクションの中で最上級で怖いと思う…………」

「オレは慣れたがな」

一時間か数十分か……どちらにしろ短時間で、この世にあるどんな乗り物よりも早く目的地についた。

もうヤダ……先に心が挫けそうだ…………。

「首輪は上々。敵は?」

『篠守君、別に位置なんてわざわざ聞かなくても。どうせ殲滅の任務なんだから』

「一般人まで殺していィのか?」

『それは……ちょっと困る』

「ちょっとかよ」

『どちらにしろ、こっちもクーデターが起こった、っていう情報しか入ってないの。籠城戦なんじゃない? 相手の策は』

「……面倒だ。殺しに掛かってきた奴は全員殺すが、文句はねェな?」

『まあ正当防衛だしね。力の差とか手加減とか、そういう文句は言いたいけど』

「それじゃッ、情報が入ったらまた連絡してくれ」

オトアはそう言って通話を止め、携帯をポケットにしまった。

「誰と話してたんだ」

「さっきのガキだ」

……あれ、オトアとまともに会話できるのか?

なんかこう、もっとギクシャクした……睨み付けられるとかされないのか?

こんな、あっさり話し合っていい相手なのか?

俺は、これでも一応……オトアを挑発して……自身を囮に使って、オトアを騙したっていうか…………。

冷静に考えたら、とんでもない事をやってのけたんだな。俺って。

「……どォした?」

「あ、いや。こんなに簡単に和解していいのかなぁって」

「どォして?」

「だって一応、ちょっと前には殺し合ってた仲だろ? それにお前からしたら俺って倒した側の人間だし……少しばかり恨んだりしないの?」

「別にお前がそォして欲しければ、そォするが?」

そんな事は微塵たりとも思っていませんよ、はい。っていうかむしろ、しないで。

オトアはそのまま興味も無さそうに語る。

「オレが殺しに掛かり、お前らがそれに対応し、それで勝った。そこのどこに恨む要素がある?」

「いや、それは……なんか感情的に?」

「感情的に恨むなんて、それは完全におかしな話だ。殺しに掛かったオレに全ての原因がある。そもそもオレが殺しに掛からなければオメェらと戦う事も無かったし、負ける事も無かった」

「まあ、そうだけど」

「負けた原因はオレにあり、負けて恨むべきはオレ自身の実力だ」

…………うわ、めっちゃ強者の台詞だ。なんか格が違い過ぎる。

「……まァ、だからってオレに勝った人間を恨んで無いわけじゃないけどな」

「え、それって……」

今までの台詞、台無しじゃね?

恨んでるのは自分の実力だけじゃないのかよ……オトアの心情が分からない。

「一人だけ、絶対に許せない奴がいるだけだ。それ以外の奴に対しては恨むなんて感情は持ってない」

「…………そっか」

俺の予想だが、その一人というのはオトアの実妹を殺した人物だろう。

それが、妹を殺されたのが原因でオトアは世界を拒絶し……強力な能力を得た。

その殺した人物が、オトアの人生を狂わせたと言っても過言では無い。むしろ正しいのだろう。

もしも実妹を殺されていなければ、オトアは今頃、一般人として生活していたのかもしれない。

いや、きっとそうだろう。

「さてェ……張空小月。そろそろ仕事のお時間だ」

「仕事って言ったって……どうするんだ?」

目的地には着いた。

だが、どこに行けばシキや秋音と逢えるのかは全く分かっていない。

それどころか、相手すらもどこに居るのか分かっていない。

このまま何も知らずに歩き始めるのは、地雷原を歩くのと同じだ。いつ奇襲を受けてもおかしくない。

「まァ……取り敢えず、適当に進めば――」

……どうやら、いきなりオトアとは意見が食い違ったようだ。

そもそも怪物のような力を持っているオトアにしてみれば奇襲なんてにわか雨に当たるのと同義かもしれないが、俺にとってはいきなり砲弾の雨が降ってくるようなものだ。

実力差がそのまま思考回路の違いに出たのと同じだろう。

「――敵がわざわざ奇襲してくるだろォから、その敵を拷問やらして居場所を吐き出させればいいだろ」

「思考回路が違うのレベルじゃねぇ!!」

なんというか暴力の塊のような発想だった。

情報が無いなら敵から聞き出す。それは普通だろう。

しかし、わざわざ奇襲させて聞き出すのは普通はリスクが高過ぎて誰もやらない。

むしろ、こっちが奇襲をして、それから拷問……情報を聞き出すのが通常だろう。

順序が逆とかそういう問題じゃない。強者の考えというより、外道の考えだ。


小月の中じゃオトアは怪物だから、ある意味、外道という言葉が当て嵌まるのは普通かも。

というかきっと、オトアみたいな強い力を持ってたら誰でもそうしたと思うんだ。

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