原因?
「……最近、シキの様子が変」
夕飯の後、いきなり義妹がそんな事を話し掛けてきた。
「あぁ、そうだな」
「……心配じゃないの?」
「心配だけどさ、俺が話し掛けると、俺の顔見て、顔逸らして盛大に溜息を吐くんだもの。まるで『この男、本当に使い物にならないクズだ』っていう顔をしながらさ」
「……それでも、諦めずに話しかけ続けるべき」
「そしたら、俺のハートがブレイキングされちまう」
「……アンタのハートがクラッシングしようと構わないから、頑張るべき」
無茶言うなぁ…………。
正直、人にはそういう時期だってあると思うんだ。そういう時期を乗り越えて人は大きく成長する。
まあ今は、シキを見守ってやろうじゃないか。
「……ドアホ。死ね」
「酷い言い様だな」
大体シキの元気が無い方が、俺が変な事に巻き込まれる率も減少するから、損はしないんだけどなぁ。
「……何が原因だと思う?」
「茶髪だろ茶髪。シキを特訓するとか言ってシバいてるからな。きっとそれが原因だ」
まあ確証なんてどこにもないが。
「……茶髪? 誰それ?」
「亜実って奴なんだけど……あれ? お前知らないの?」
「……何を?」
「そいつ、兄貴の婚約者なんだって」
「…………えぇッ!?」
義妹すら知らなかった兄貴の婚約者。本当に婚約者なのか? それともサプライズで結婚なんてしようとしてたのか?
まあ、どうでもいいか。
それにしても、初めて見たな。義妹がこんなに激しく驚く顔なんて。
「……何それ! 聞いてない!」
「あぁ、俺もだ。つい最近……始業式あたりに聞いた。ほら、あの時だよ。兄貴が電話掛けてきたうんぬんの時」
「……なんでその時に話してくれなかったの!?」
「いや、そんな事よりも大事なことがあったろ」
ご本人が電話を掛けてきたっていう、オカシナ事態が。
「……会いに行きたい」
「誰に?」
「……亜実って人に」
「あぁ? また面倒な事をいいだすなぁ…………会ってどうするんだ?」
「……色々とお話をしたいの」
「色々って…………」
なんか絶対に最初の主旨とからかけ離れたことをお話しするんだろうな。
シキの件じゃなくて、兄貴の件をお話しするんだろうなぁ…………。
まあ、仕方が無いか。俺が話しちゃったんだし。
「分かった。茶髪に話はつけてみるけど、断られても知らんぞ。俺は」
なんて会話から19時間後。ようは翌日の午後。
ファミレスにて、義妹と茶髪は会合していた。
何故? それは、茶髪が良いって言ったからすぐさま義妹を呼んで俺が会合の場を設けたからだよ。
「つーことで、俺はもう帰っていいな」
「……ちょっと待って」
「なんだ? 『お兄ちゃん、心細くて寂しいから待ってぇ』ってお前が言ったって俺は帰るぞ」
「……今すぐナイフとフォークで金属製の造花を作って欲しいの? 自分の体に」
「そんな事されたら嫌だから、もう俺は帰る」
「……くぅっ………待ってお兄ちゃん、寂しいから行かないでぇ」
「そこまで言うなら、仕方が無い」
「……絶対に後で覚えとけ」
悔しがる義妹の姿を楽しみたかったんじゃないが、割と本気で帰りたかったんだが、義妹があそこまでいうなら仕方が無い。残ってやろうではないか。
…………なんかいつもと立場が違うとここまで心地が良いものなのか。
「茶髪茶髪」
「いい加減、人の名前を覚えたらどうだ? アタシは亜実だぞ」
「分かってるって。えぇーと、こいつが俺と兄貴の義妹である張空秋音だ」
「……は、初めまして」
「そう言えば、陽介から色々聞いたことがあるが、会うのは初めてだな。よろしく秋音ちゃん」
「うわ、俺の時とは違ってフレンドリー」
女同士だからか、女同士だからなのか?
「なんだ張空弟、まだ居たのか?」
「なんやかんやでお前も人の事を言えないよな、茶髪」
分かった。女同士だからじゃない。
茶髪と俺は一生掛かっても馬が合わないんだ。絶対に。
「んじゃ、俺はもう帰るわ」
「……ちょっと待って」
「何だ、何だよ、何なんですか? さっきから呼び止めて」
「……本物?」
「マジ物だよ。ガチで兄貴の婚約者。OK?」
「……何が? 一体全体どこを取ったら理解できるの?」
「会いたい言ってきたのお前じゃん。あとは頑張れよ」
「……アンタが言って。なんか怖気づいちゃったから」
「バカだ、バカだろ、バカだったんだなお前って」
「……わざわざムカつかせなくても、後できっちり絞めてあげるから」
絞めるって……ロープで縛る気なのか? 俺の首を。
「まあ、いいや。茶髪茶髪」
「張空弟、喧嘩を売ってるなら容赦なく買うが?」
「お前に喧嘩を売るバカがいるかよ、バーカバーカ。それでさ」
「絞め殺して欲しいなら、正直に申し出れば10秒であの世逝きだぞ」
「シキの件なんだけど。どう? 修行上手くいってる?」
「上々という所だな。よく分からないが、何より意欲が急に高くなったから成長が早い」
「胸の成長は遅いのに? まあいいや。つーことは、そんなにシキに厳しくしてないって事なのか?」
「あぁ、まあそうだな。キツクしなくても充分強くなっている」
シキの元気が無い原因だと思った、茶髪の特訓は何の問題も無く進んでる。
じゃあ、一体、何が原因なんだ?
小月が何故やけに調子に乗ってるかといえば、作者が書き方を忘れたからですね。
はい。




