表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
本編 デート?
23/66

証明結果

さっき気付いたが、魔神の野郎は親切に黑鴉の弾倉を別に3つポケットに入れておいてくれたようだ。

21回。黑鴉の無力化が使える。

まあ、絶対に余るんだろうけど、回数制限は無視していい。

純粋に、あれを試せる。

黑鴉を握り直しながら優男風の奴に近付いて行く。

直後、横から高速で低空飛行する何かが突進してきた。

反射的に黑鴉の銃口を向け、何かが当たった感触がすると共に引き金を引く。

「それは?」

何かがゆるりと落ちている光景を見て、優男が問う。

「答える義務は無いね」

というか説明するのが面倒なだけだった。

そのまま俺は優男に歩いて近付いて行く。

優男はと言えば、黑鴉の威力を見たためか少し警戒している様子だ。

また横から、今度は左右連続で何かが低空飛行しながら突進してくる。

「チッ………」

何とか黑鴉で対応できたが、数が多くなればきつくなってくる。

しかも未だに証明は終わってない。

俺が考え付いた駄策が通用しているか分らない。

「その銃器、生物を無力化する力があるみたいですね」

その上、相手にも黑鴉の性能の一部が分られた。

今すぐ走り出して優男に止めを刺したいが焦ってはいけない。

ゆっくりと、まだ証明が終わっていないんだ。海の時のように焦って駆け出して敵にやられるなんて事態を起こしちゃいけない。

今、この状況には俺一人しかいないんだ。

あくまで証明が失敗したときの次の手がメイン。今は段々と距離を詰めることだけに集中しろ。

焦るな。焦るな。焦るな。

「じゃあ機械では対応できるのでしょうか?」

「ッ!?」

前方三ヶ所からそれぞれジェットコースター、なんか回転ブランコとかの座る部分、暴走キッズカートがどれも早い速度で俺に近付いてくる。

っていうかこれは当たれば死ぬし、黑鴉じゃ対応できないし、俺のしょぼい力でも対応出来ない!

反射的に退こうとした足を行動を歪める力で強制的に止め、無理矢理自分をコケさせる。

それだけじゃカートは避けきれないし、ジェットコースターは地面すれすれで飛んできてるから同じく避けきれない。

コケた直後、横に転がるように移動しどうにかジェットコースターとの接触は避けられる。

が、暴走カートは俺を追尾するかのように追い回してくる。

「……っくしょう…………ッ!」

手をつき、起き上がってカートに向き直る。わりと早めの速度で近づいてくるカート。

横に避けたところで追い回してくる繰り返しだし、今の俺に壊す力など無い。

俺に壊す力は無いが、追尾の原因を断ち切ることぐらいは出来る。

カートがかなり近付いてきたところで横に飛び退き、黑鴉のスライドを引き優男に銃口を向け引き金を引く。

銃口を向けられ引き金まで引かれたのに実弾や発砲音が無いことに優男は眉をひそめ、俺はもう一度スライドを引きながらその位置でカートの追撃を待つ。

地面とゴムが高速で擦れる不快な音を発しながら急カーブしてきたカートは、出来るだけ勢いを殺さずに俺に向かって突っ込んでくる。

無茶だなー、なんて事を思いながらまた俺は横に飛び退き(その時に姿勢を崩して足を挫きかけたが)黑鴉の引き金を引く。

優男が突然右手で左肩を強く握りしめながら苦しそうに表情を歪め、カートはそのまま直進し続け、姿を消した。

というか姿を消した直後に何か激突したような音が聞こえた。

啄み。黑鴉の無力化以外の性能。

あらゆる障害、空間を無視して衝撃を伝える殺傷性は皆無の撃ち方。

相手に説明するのは面倒だ。

俺はそのまま無言でまた相手に歩いて近付いて行く。

優男の表情にも変化が現れた。

今までは少し余裕が残っていたが、今は完全に黑鴉の性能を嫌悪しているかのような表情だ。

わざわざ自分から餌に掛かってくれた。これで証明の下準備は揃った。

あとは、自分の考えが当たっているかどうか。

「面倒な武器ですね」

「これが有るだけでお前には勝てるよ。オトアですら苦戦したほどの武器だからな」

そうだ、もっと黑鴉を意識しろ。もっと思考を単純にしろ。

相手の心理の一つすら分かれば、あとはこっちのターンだ。

「お前ごときじゃ、この銃には勝てやしない。お前にこの銃を上回るだけの策があるか?」

距離も詰められた。間隔7メートルほど。

これなら証明が失敗しても、全力で走って無理に幕引きが出来る。

優男の表情にも若干の焦りみたいなものが見える。どうにかこの場から立ち去る事が出来るだろうが、黑鴉に距離は関係無い。

足を撃ち抜かれでもしたら、おおよそ、もう動けなくなる。そうなれば逃げれない。

完全に優男の視線は俺ではなく黑鴉に向けられていた。

それで余計な誤算は無くなったろう。

「ッ!」

突如俺は走りだした事に驚き、優男が後ろに退こうとする。退こうとしたかった。

だが、体は一切動いていない。

つまり。

「証明完了だ」

走る足を止めて、俺は言う。勝利宣言。

「《不協和音カオス ツイスト》。俺の本来の力、相手の内側の行動を歪める力」

もう優男は動けない。なら走る必要も無いだろ。

「茶髪に相手の内側を歪める力って言われて、いまいちピンッと来るものが無かったがさっき死にかけた時に思いついた。まあこれやるのに6回分の力を一気に使い切っちまうけどな」

発想は実にくだらない。魔神との最後の会話で、俺が思った事。

使えるというか凄い魔神の時とシキコンの魔神の時の印象の違い。それが発想の原因。

印象が違うという事は思考が違う。思考が違うという事は行動パターンが違う。行動パターンを決めるのが思考だというのなら、それが内側の行動では無いのか?

連想ゲームのような考えの先に思いついたのが《不協和音》。

相手の思考を歪める、もっと言えば適当に巻き合せる。

何かを食べたいという思考と運動がしたいという思考と眠たいという思考と何かを視たいという思考をごちゃまぜに巻き合せる。

今、意識している事と無意識の事を巻き合せる。

それが《不協和音》。一気に力を使ってそれを6回同時に行い、相手の思考をフリーズさせる。

思考が止まれば、動けなくなる。今の優男のように。

「宣言通りだろ? これが証明できたら、お前は動けなくなり俺には勝てなくなる」

俺の力の弱点は、歪めた部分とは違う箇所を動かされたら能力が無効にされる事。

だが《不協和音》は、そもそも動こうという考えが無くなるのだ。解除される事はほぼ在り得ない。

優男の額に黑鴉の銃口を突きつけ、

「つまり、俺の勝ちだ」

引き金を引く。

えっ? 小月の力がチートになっちまった?

大丈夫です、このチートではシキにもオトアにも勝てませんから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ