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NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
本編 デート?
17/66

一生

言わずとも、タイトルなんかに意味は無い

「小月、大丈夫か」

「んなわけあるかぁ!!」

シキよ。心配する前に限度を知れ、限度を!

ジェットコースタはまだいいとして、コーヒーカップはいけない。

シキの野郎、限度を知らない。危うくカップが回転に耐えきれず壊れるところだった。

俺の三半規管は多分もうぶっ壊れてしまったけど。

「……早かった。見てるこっちも酔うほどに」

「乗ってるこっちは脳味噌シェイクされてる感覚だったよ……」

秋音はまだ乗っていないからいいんだ。酔って吐く程度ならまだまだ良い方だよ。

吐くと言う概念が存在しない世界なんて、俺は初めて見たよ。

とにかく近くの席に座りたい。座らせてください、お願いします。

「……まるでゾンビみたいな動き」

「本当に大丈夫か、小月?」

だから大丈夫じゃないって言ってんだろ。というか大丈夫なわけがないだろ、あのスピードで!

俺は逆様に歩き……歩き? 逆様? 俺はどこに進んでいる?

というかココはどこだ? 地球か? 霊界か? 素晴らしいか、この世界は?

「取り敢えず、座ってくれ小月」

「あぁ………」

シキの言葉に従っているつもりだが、まるで座っている感覚が無い。

浮遊感マックスだ。浮遊している、俺は今、浮遊してしまっている!

「……ダメだ、コイツ使い物にならない」

「小月の目の焦点が一切合っていない……」

「……仕方ない、ジュースでも買ってくるからソイツ見張ってて」

「分かった」

うげぇ、気もぢ悪いげぇ、げぇげぇげぇ。

げぇげぇげぇげぇげぇげぇげぇ、まぢで吐くってこれ。どこだよ地上は?

「小月ぃ………本当にすまない」

しばらく俺が下を俯いてげぇげぇ言ってたら、シキが心配そうに覗き見しながらそう言ってきた。

なら、出来れば加減してくれよ。もう遅いからどうでもいいけど。

「本当に……巻き込んですまない」

「巻き込んでって、大袈裟……でもないか」

若干話せる程度に脳味噌が落ち着いてきたので、シキの言葉を肯定する。

「アタシのせいで、裏の世界に巻き込んでしまった」

そっちの巻き込んだかよ。そっちは良いからコーヒーカップの事を反省してほしい。

「その……それで………実は小月に―――」

「どうでもいい」

どうせくだらない事だろう。

俺はシキの言葉を遮るように言い、そのまま席を立つ。

まだ多少ふらつくが、まあ歩けるかな。

「おい、小月。アタシの話を―――」

あぁ、うるさいな。

シキの奴、いきなり裏の世界の話なんかもちだして。どうせまた『もうお前は関わるな』とか言い出すんだろ。

そんな話に俺がもう耳を貸すわけ無いだろ。まったく。

「いいか、シキ。俺はこれから裏の世界で何度死にかけようとも、お前に何度ウザいと言われようとも、俺はシキの傍にいる。一生な」

「………」

俺の言葉が意外だったのか、キョトンとした顔でシキは見てくる。

もしかしてシキが話そうとしたのはそういう事では無かったのか!?

だとした俺、少し恥ずかしい事言ってる! しかも遊園地なんて人の多い場所で!

アホか俺は! 大バカか!!

「すまん、そういう話だと思ったからこういう態度を取ったんだ! 違う話だったら是非聞くぞ! さあ、なんの話だ? 何か食べたいものがあるのか? 世界征服の話か?」

最近、自分の口からとんでも無い事が出てきてる気がしなくもないんだが。

まあそんな事はどうでもいい。

焦った俺は適当な言葉を次々と口から出し、シキの様子を見る。

シキはといえば、しばらくぽけーっとした後に笑い出しながらこう言った。

「いや、合ってる。アタシが話そうとしたのはそういう事だ」

なんだよ、合ってたのかよ。ビビらせやがって。

……じゃあ、あの間は何だったんだ?

「お前の意思を確認しようと思ったんだ。しかしアタシが聞く前に勝手に喋りだしたんでな、驚いた」

「そういう事か………心配損だよ、まったく」

「それはすまなかった」

安心した俺はそのまま歩き出す。

「どこへ行く?」

「トイレ」

短く答えながら俺はその場にシキを残して一時撤退。

トイレに行った後にそこら辺を適当にぶらつく予定だ。

……いやだって、少しばかり恥をかいたような気がしてあの場に居られないんですもん。

仕方が無いことなんだ。



「そうか………一生か」

「……シキって、もしかしなくてもアイツの事が好きなの?」

不意に隣から聞こえてきた声に、思わずシキは椅子から飛び退いてしまう。

声の主は、大きめの紙コップを両手に一つずつ持った張空秋音だった。

「なんだ、秋音か」

「……オレンジとアップル、どっちがいい?」

正体を確認し、安心したシキは先程まで座っていた自分の椅子へと戻り、秋音は先程まで小月が座っていた椅子に座る。

二つの紙コップを見比べたシキは少し悩み、その後に右手にあった紙コップを取り、

「アタシはどちらでも構わない」

そう言って、中身を飲み始めた。

「ちなみにそれはコーラ」

「げほげほっ!」

直後、咽た。

「秋音の嘘つき!」

「……嘘は吐いてない」

「オレンジジュースとアップルジュースどちらがいいか聞いてきたじゃないか! それともジュースとは言っていないという叙述トリックとでも言う気か! オレンジコーラとアップルコーラとでも言うのか!」

「……二つの内どちらかにオレンジとアップルが必ず入っているとは言ってない。そういう叙述トリック」

「結局、アタシを騙したんじゃないか!」

「……そっちが勝手に取ったから、こっちだけが悪いわけじゃない」

「うぅ………」

確かに、取る前に中身を確認する事は出来た。

しかしシキはそれをせずに勝手に秋音からジュースを取った。

それに秋音はコーラが飲みたくて一つ自分の為に買ったのかもしれない。

そんな事を考え、黙り込んでしまったシキに秋音は一言。

「……ちなみに、こっちもコーラ」

「ならアタシに始めから選択権なんて無いじゃないか!」

まったく………、と言いながらシキはまたコーラを飲み始める。

そんなシキをしばらく見た後、秋音はまた一言。

「……シキってもしかしなくても、アイツの事が好きなの?」

「げほげほっ!!」

直後、咽た。

「いきなり秋音は何を言い出すんだ!」

「……シキってもしかしなくてもアイツの事が好きなの」

「何を言ったかを聞いてるんじゃない!」

うるさいなぁ、という顔をしながらも秋音は口には決して出さずに(顔には出しているが)シキの問いに答える。

「……『うふふ、小月がアタシの傍に一生居てくれるって言ってくれたよ。きゃー、嬉しくて死にそう!』って言ってたから」

「そ、そんなことは言ってない!!」

「……顔には出してた、絶対に」

「ううぅ……」

顔を赤らめ、シキは下に俯いてしまった。

そんな様子を見ても秋音は言葉を止めず、事情聴取を続行する。

「……どんな所に惹かれたの?」

「ど、どんな所にって…別にアタシは小月の事…………ペットにしか思っていない!」

「……キスはした?」

「きききききき、キスなんてするわけ無いだろぉ!」

「……戻ってきたらしたら? っていうかアイツはどこへ行ったの?」

「こ、小月はトイレに行ったそうだ。それと小月が戻ってきてもきききキスはしないからな!」

「……それじゃ、続けましょう」

「あ、アタシもちょっとトイレに―――」

席を立ちあがろうとしたシキの腕を秋音はぎっしりと掴んだ。

「秋音ぇ………なんでこんなイジメをするんだぁぁ?」

「……ナビ替わりに連れて来られて、使い物にならなくなったアイツの代わりに飲み物買いに行った仕返し?」

涙声で言ったシキの質問に笑顔で答えた秋音。その笑顔にシキはただ戦慄するしかなかった。

その後、10分以上にわたって秋音による詰問にシキは恥ずかし……苦しめられた。

なかなかバトらない、どうなるんだろう?

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