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NOISE.2  作者: 坂津狂鬼
本編 デート?
16/66

筋書き

タイトルなんかに、意味は無い

引き続き、観覧車内。

オトアも能力名について不貞腐れるのを止め、少女に視線を戻していた。

少女は次の話を切り出す。

「さて、ここから先はこれからの篠守君のお仕事の話よ」

「やっとか……」

オトアは少し溜息を吐き、少女はクスクスと笑う。

「篠守君にやって貰うお仕事は、予言潰し、ね」

「予言潰し……張空陽介が言ってきた予言ってやつを潰すのか?」

「そう。何時何処で誰が誰に奇襲を受けるかっていう予言なんだけど、誰にって部分が分かってるからそいつらとそいつらの所属してる裏の組織の全員ぶっ殺してもらうのが篠守君の仕事ね」

「随分とオレらしい仕事だな。隠密にやった方が良いのか?」

「別に、ド派手にやろうとコソコソやろうと篠守君の自由。とにかくこっちは第三勢力となりうる組織が全滅したっていう状況が作れれば満足だから」

少女の言葉にオトアは眉をひそめた。

今現在オトアを雇っているこの少女は、狐狩りを行う……ようは裏と表の世界の平和を守っている側に所属しているはずだ。

それなのに、ド派手にやっても良いと言う。

言い方を変えれば、表の世界の人間にバレテも構わないと言っている。狐狩りの起因を作ってしまっても構わないという。

オトアからしてみて、それは異常だった。

それ程に事態が重いのか、それともこの少女の独断か。

「当然、独断よ。上のお偉いさん方がそんなの許すわけ無いじゃない。それでも篠守君に責任が及ぶような事は起こさせないから、安心してぶっ殺したりぶっ壊したりしていいからね」

「オメェ、何を目論んでる?」

笑顔で言う少女に、剣呑な光を帯びた目でオトアは睨み付け、問う。

「目論んでるのは、張空陽介の方だよ」

少女の笑顔は消え、そのまま淡々と話し始める。

「おかしいと思わない。何故このタイミングで予言なんかを提唱したの? さらに話を聞けば張空陽介は死ぬ前に今回とは違う予言をしたらしいじゃない」

「内容は?」

「『いずれ弟が何か大きな事を起こす。それを皮切りに、世界が動き出す』。そしてそれは起こった。篠守君との激突、そして篠守君の敗北の事ね。それで世界が動き出す。そのはずだった」

「そのはずだった?」

「確かに今、世界は密かに動き始めてる。何のせいだと思う?」

「……張空陽介の予言のせいか」

「そう。弟ではなくて兄が世界を動かしたの。最初の張空陽介の予言とはズレてる。まあ捉え方によっては自分がまた予言を言い出す時期を示しているとも考えられるけど」

「普通に考えりゃ、オレとあのガキが原因で世界が動き出すという風に捉えるな」

「本来なら今このタイミング予言なんてするはずじゃ無かった。最低限、張空陽介の筋書き(シナリオ)ではそうなってはいなかった。でも」

「…オレとあのガキが無意識のうちに最初の予言を潰した?」

少女は無言で頷き、そのまま話を続ける。

「だから張空陽介はテコ入れしなきゃいけなくなった。それが今回の予言。しかし最初のと今回のじゃ目的が違う。今回の予言は、潰させる事が目的。根拠は」

「オメェらに不利な事を言ったから、だな」

「それと目的がもしかしたらもう一つあるかもしれない」

「もう一つ?」

またも少女は無言で頷き、もう一つの目的に向かって指差す。

「それは、こちらに在る戦力オトアを引きずり出す為」

指差されたオトアは、しばらく無言のままだった。

「……つまり張空陽介はオレを駒にしたいが為に予言をしたと?」

「あくまで可能性の一つだけど。でも『奴ら』の思い通りにはさせない」

「『奴ら』?」

「張空陽介の筋書き(シナリオ)じゃ、まるで誰かと戦う準備をするみたいになっている。つまりは張空陽介は誰かと戦ってると思うの。しかも世界規模で」

「……チェスでも気取ってるつもりか?」

「知らないわよ。でも許せない」

そう言って、少女は親指の爪を噛みながら憎々しそう顔を歪めて続きを言う。

「わたしの住んでる世界をおもちゃにするなんて。わたしの狙ってた駒を先取りしようなんて。わたしを除け者にして世界を掛けて勝負するなんて。わたしの世界なのに、わたしの世界なのに、わたしの世界なのに、わたしの為だけに存在する世界なのに……ッ!!」

「………」

オトアは思った。

この少女は子供だ。見た目通りのお子様。自分の思い通りにならない事がある度に何かを壊し潰す。

自分の本性と同じ子供。傲慢で無垢な子供。

言い方を変えれば、悪魔。

それがこの少女の本質。自分と似ている、超絶破壊主義。

「だから売られた喧嘩を買う事にしたの」

爪を噛むのを止め、笑顔で少女は言った。

「張空陽介の思惑通りに、途中まで(,,,,)動くと?」

「その通り♪ そして途中から狂わせてやるの。『奴ら』の演奏ゲーム雑音バグを発生させて滅茶苦茶にしてやるの。そして『奴ら』二人とも敗北させてやる。わたしが勝つの、絶対に」

「……アンタの様な危険思考の奴を雇い主にした事を酷く後悔しそォだ」

「そうかな? わたしの犬になれば、充分楽しめると思うけど?」

少女は笑顔でそうオトアに告げ、

「…そりゃ良かった。オレもそろそろ楽しみたい(コロシタイ)と思ってた所だ」

口を割くような笑みで、オトアはそれに答えた。

しばらく更新しないかも

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