デート当日
タイトルなんかに意味は無い
さて来ましたよ、土曜日です!
デートですよデート! シキとデートです、俺の有り金は多分全部なくなります!!
なんか自ら破滅への道を突き進んでる時って、気分がおかしくなっちゃうな!
あはははは、楽しいなー!
しかし、そろそろ通常運転に戻らないと。暴走しすぎなのは良くないぞ。
よし。それじゃ、
「何でお前がいるんだよ、秋音!」
「……さぁ? むしろこっちが聞きたい」
本当に、何故自分が今ココにいるのかを義妹は知らないらしい。
「……シキに拉致られた?」
ありえそうな話だから闇雲に否定は出来ない。
しかし義妹をつれてきてシキに何の得があるんだ? そもそも俺とのデートなんて死んでも嫌だったとか?
義妹をつれてきてシキが得する点と言えば………。
・俺が論破出来なくなる。
・正しく歪んだ知識を教えてくれる。
この2点くらいで、他に得になるような事は無いはずなんだが。
「待たせたな、二人とも」
そんな事を考えていたら、遠くからシキがやってきた。
ちなみに今俺達が居る場所は最寄の駅で、何故そこに居るかと言われれば、そこで待ち合わせするなんて事をシキが言いだしたためだ。
デートは待ち合わせかららしい。どこで学んだそんな知識。また義妹ですかい?
「それでシキ、今日はどこに行くんだ?」
「動物園!」
……よかったね魔神さん。アンタが直接やらなくても、シキの気持ちは最初から動物にあったみたいだよ。
どうせこの前に動物番組に影響されたに違いないけど。
でもここら辺の近くで動物園なんてあったか?
近くで俺が知ってる動物園と言えば……………。
「上野か」
「……遠いじゃない」
義妹が冷たく俺を睨む視線が痛い。心にズッサリ突き刺さる。
っていうか仕方が無いじゃん。俺が知ってる動物園なんて、上野と旭山しか知らないんだから。
その二つのうちのなるべく近い方を言っただけ、まだ良いじゃねぇーか。
「さぁ秋音。近くの動物園に案内してくれ」
「……ようはナビ代わりに呼ばれたのね」
秋音が大層深いため息を吐く。まあ、俺じゃ役に立ちませんからね。
そんな訳で俺とシキと秋音のデート……じゃなくて多分、お出掛け、が始まったのであった。
ちなみに全員の電車代は俺が払った。予測通りだよ………。
動物園に到着。入園料は俺が全員分を支払った。はぁ……。
しかしまあ、動物園というのは楽だ。
俺は何もしなくてもいい。シキが離れすぎないように見張っていれば。
あとは勝手にシキがはしゃいで終わり。いやぁー楽だ。突っ立ってるだけでお金が減らない!
「それで、秋音さんや」
「……何?」
「ありゃなんだ?」
「……観覧車」
義妹の言う通りである。俺が指差した所には観覧車。グルグル回るだけのアトラクションがそこにはあった。
………何故に? 今俺が居るのは動物園だよな?
「……一番近い動物園は、一番近い遊園地と合併したみたい」
「うん。よく分からない!」
「小月! 白くまが居ないぞ、どういう事だ!?」
「俺が知ってるわけが無いだろ。残暑だからじゃないか?」
「残暑だと、白くまが居ないのか……」
あぁ、シキよ頼むから観覧車だけは見るな。あれに乗りたいとかは絶対に言いだすなよ。
っていうか俺、どさくさに紛れてシキに間違った知識を……まあいいか。
「そうか……それなら小月、今度は遊園地とやらに行ってみよう」
「もうすでに知っていたーっ!!?」
ダメだ。チェックメイトだ。大敗だ。ゲームオーバーだ。
遊園地に行くという事は、正直、あまり金が掛からないという事だ。
しかし並ぶ。アトラクション一つ乗るのに大層並ぶ。立ち並ぶ。足が疲れる。
もう嫌だ。疲れるのも金が無くなるのも嫌だ。最悪だ。
「ほら、行くぞ小月」
「……がんばれー」
目をキラキラ輝かせて興奮しているシキと、棒読みで俺に励ましをくれる義妹。
今一度よく分かった。
この二人が組めば俺が苦しむことになる。大層苦しむことになる。最悪だ。
「はぁ………」
俺は溜息を吐きながらも渋々シキの後について行くしかなかったのである。
「ん? あれは……オトア!?」
「は?」
直後、シキが何かを凝視した後に騒ぎ出した。視線の先には…俺がさっき指差した観覧車?
いやいやいや、視力的にまず見えない。常人の視力で観覧車に誰が乗ってるかなんて。
しかもよりにもよってオトアだと? まず似合わない。何の冗談なんだ?
つーかオトアは俺達二人が苦戦しながらも倒して、今は投獄中って聞いた。
投獄中のやつが出てきてるわけ無いだろうが。シキの奴はいきなり何を言いだすんだか。
俺が理論的に常識的にそう説明してやると、シキは、
「オンナのカンという奴だ! なんかビビッとセンサー的なものが反応してるんだ!」
「どんなセンサーだよ。っていうか観覧車に乗りたいんなら正直に言えよ」
「違う! アタシが乗りたいのはアッチだ! アッチの方がカッコいい!!」
げっ、ジェットコースター。俺史上、もっとも列に並ぶ時間が長いアトラクションじゃないか。
しかもアレ急に落ちるから嫌いなんだよ。あの浮遊感が気色悪い。
「まあオトアはどうでもいいか。さぁ行くぞ小月、秋音」
「……いや」
はははっ! 甘いな義妹よ。そんな拒絶はシキの馬鹿力の前では無意味に等しいんだよ!
第一、今の俺がその状態だ!
俺達兄妹はシキに引きずられる形で、ジェットコースターの列に加わるのだった。




