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魔王とかめんどくさ  作者: 空白
新たな世界
3/25

第2話 母乳って200種類味ある……

母乳って、実は日によって味が違うらしいですよ。

お母さんの体調や食べたもので、ちょっと甘くなったり、薄くなったりするんだとか。


この物語の舞台は貴族の家なので、いろんなごちそうを食べてるお母さんから、きっと“多彩な味”の母乳が出てるはず……笑

赤ちゃんのアルムが味の違いに気づいたり、勝手にランキングしたりするのも、そんな背景があるかも?


ということで、今回は「200種類あるかも」と噂される(?)おっぱいの味から始まる第二話です

……また、朝……かな?


うっすら目を開けると、やっぱり今日もお母さんの腕の中。

ぬくもりと、やわらかな揺れに包まれていて、なんか……心地いい。

体を動かす気力もないし、目だけきょろきょろさせて――


(あ……きたきた……)


口元にふわっとやわらかい感触が当たったかと思えば、

気づいたらもう吸い付いてた。完全に条件反射。


ごくん、ごくん……って飲んでいくうちに、ふと気づく。


(ん……今日の味、ちょっとちがう)


甘くて……なんだろこれ。

ミルクっぽいけど、どこか香ばしいような……紅茶? いや、それっぽいけど……


(……ていうか、「ミルクティー」って……なに?)


頭の中でぽんと浮かんだ言葉に、自分で首をかしげる。

知ってるようで、よくわかんない。

たぶん、前の世界の何か……なんだけど……


(うーん……考えるの、めんどくさ)


味はおいしいし、あったかいし、

とりあえずいっか、って思って、またごくごく飲み続ける。


(今日のやつ、好きかも……)


ミルクティー(?)味、なんとなくランキング上位に入った気がする。

記録もできないけど、まぁ、覚えてなくても困らないし……。


それにしても、おっぱいって不思議。

毎日ちがう味がして、しかも全部それなりに美味しい。

これ、もし本当に200種類くらいあるんだったら――


(全部制覇したいな……)


そんなことを思ったけど、

また考えすぎてめんどくさくなってきた。


(……もう、いいや)


あー、なんか……ちょっとだけ、生きてるのも悪くないかも、なんて思っちゃった。


あったかい。

おいしい。

ふわふわしてる。


それだけで、今は十分――。


(母乳を飲んで少しうとうとしていた頃、ふとぴたりと空気が変わったのを感じた)


(……ん? なんか、いつもとちがう……?)


寝かされている布の感触も、周りの空気も、ほんの少しだけピリッとしてる気がする。

なんだか、背筋にぴんと風が通るような――そんな感じ。


「……◯◯◯◯◯……◯◯……アルム……◯◯◯……」


(……え? 誰?)


聞き慣れない、低くて重たい声が部屋に響いてくる。

言葉は――やっぱり、まったくわからない。

だけど、不思議と「大人の男の人の声」だってことは、肌で感じ取れた。


(なんだろ……ちょっと、こわそう……? でも……)


目を開けると、そこには、背の高い黒髪の男の人。

服はきらびやかで、背筋はまっすぐ。目は鋭くて……でも、私のことを見下ろす視線は、なんだかあたたかかった。


(この人……お父さん、かな)


なんとなく、そう思った。

雰囲気って、あるんだよね。言葉が通じなくても、伝わるものってある。

それに――ほら、腕の中も、意外とあったかいし。


(……うん、たぶん、お父さん)


でも、なんて言ってるのかはやっぱりちんぷんかんぷん。

難しい言葉とか、固い言い回しとかされても、赤ちゃんには無理ですっ。


(意味わからないし……めんどくさいし……あとで考えよ……)


なんだかふわふわしてきた。おっぱいの余韻も残ってるし、気持ちがぽかぽかする。


(……ちょっと、生きてても悪くないかも)


そんなことを、思った気がした。


2話いかがでしたか?

ちなみにアルムのお母様は「ミア・バーンデット」、お父様は「クロロ・バーンデット」という名前です。

お世話係のメイドは三人いて、第一話で登場したのは子育て経験ありのベテランメイドさん。

あとの二人はまだ若くて、もう赤ちゃんアルムにデレッデレ。

次回はこの三人が少しずつ登場するかも?お楽しみに!

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