プロローグ 戦乱の幕開け
はじめまして、作者です!
この作品は「魔王とかめんどくさ…」をテーマにした、
ちょっとひねくれた転生ファンタジーです。
魔法が才能で決まる世界、
努力でなんとかなる剣術、
そして、平和とは程遠い戦乱の時代に――
ひとりの赤ん坊が、静かに目を開けました。
のんびりだけど、なぜか運命に巻き込まれてしまう。
そんな主人公アルムの物語を、気軽に楽しんでもらえたら嬉しいです!
それでは、本編へどうぞ!
改定歴800年──
世界は、四つの大国による均衡の上に辛うじて成り立っていた。
北の「ヴァノス連邦」──鉄と技術の国。
東の「ゼルトナ王国」──騎士と剣の軍事国家。
南の「リュサニア王朝」──魔術と信仰の古き王国。
西の「カリュディア」──森と共に生きるエルフたちの自治領。
それら強国の狭間に、わずかな緩衝地帯として存在していたのが、
小国「アストロ王国」である。
この国に政治的な影響力はない。
軍備も乏しく、周囲に飲み込まれず生き残れたのは、
ただ「取るに足らぬ存在」だったからに過ぎない。
そんなアストロ王国の片隅にて、ある貴族の家に一人の赤子が生まれた。
──その名は、アルム・バーンデット。
その誕生が、やがて世界に“魔王”という概念をもたらし、
四大国の秩序を根底から覆すなど、
今はまだ誰も知る由もなかった。