表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

第4章 探索


昨日はお風呂入ってから急に眠くなった。

多分おばぁちゃんからこの村の歴史を聞いてびっくりして疲れたんだろう。


俺と同じく美桜ちゃんも疲れていたらしく、おばぁちゃんと一緒によく寝れたらしい。


「尚ちゃんおはよー」


「うん! 美桜ちゃんおはよー」


「おばぁちゃんは?」


「朝御飯の準備してくれてるよー」


そんなことを話してると「あら尚ちゃんおはようー」と声がする。


「おばぁちゃんおはよ!」


「尚ちゃん朝御飯運ぶの手伝ってー」


尚はさっと立ち上がりおばぁちゃんのお手伝いをする。

朝御飯を運びだし、三人揃って朝食を食べ始める。


「尚ちゃんは今日はどうするの?」


「決めてないけどまた商店街をブラブラしてみるよ!」


「美桜ちゃんはお家に帰る?」


「うーん。そうだね! 1度お家に帰って着替えたいかなぁ。尚ちゃんまたあとで会わない?」


「うん! いいよ! 12時ごろにあのお肉屋さんの前で待ち合わせでいい?」


「おっけ! 了解しました!」


美桜ちゃんはビシッと敬礼して返事をする。

美桜ちゃんのどこか気の抜けた緩い空気は一緒にいてとても気楽に感じる。


ご飯を食べてしばらくゆっくりしていると、美桜ちゃんがさっと立ち上がり、

そろそろ1度帰ろうかなっと言い始めた。


「うん。 わかった! 送っていこうか?」


「ううん! そんな遠くないし大丈夫だよ!」


「おばぁちゃんありがとうね。また遊びにくるね!」


「はいよ!いつでもいらっしゃい! 」


「じゃあまたあとでね!」


美桜ちゃんをお見送りして待ち合わせの時間までこたつでダラダラすることにした。


「そういえば親父に電話してみるよ!」


「そうさねぇ。 固定の電話使うといいよ!」


ばぁちゃん家にある黒電話から親父の携帯にかけてみる。

しばらくコール音がなったが電話に出なかった。


「だめだ!電話でないわー! きっと仕事忙しいんじゃないかな?」


「まぁ仁もそのうち来るだろうさ」


梅ばあちゃんは特に驚いた様子もなかった。


「そんなことよりもう少しでお昼だよ。 女の子を待たせるものじゃないよ? 早くいっといで」


「うん! そうだね! いってこようかな」


尚はしっかりと防寒して家をでた。


商店街までの道は昨日で覚えた。

昨日の夜は雪が降ったのか新雪が新しく降り積もっていた。


歩くたびにシャリシャリと音がする。

札幌だとそんなことは気にならないが田舎にいると小さなことも風流に感じる。


しばらく歩いていると商店街についた。

お昼近いためちらほらシャッターが開き始める。


昨日のお肉屋さんもあった。

ただ定休日のなのかお店のシャッターは閉じたままだった。


深く気にせず商店街のベンチで美桜ちゃんを待つ。


すこし待つと美桜ちゃんが遠くから走ってくる。


「尚ちゃんお待たせ! ごめんね待った?」


「ううん! 待ってないよー!」


「今日は昨日のお肉屋さんやってないんだねぇ」


「そうみたいだね! シャッターに定休日書いてるけど、今日は休みじゃないみたいだね。なにかあったのかな?」


「どうだろね? 自由にお休みとかとってるのかもねぇ」


「田舎あるあるかな? 美桜ちゃん今日はなにか行きたいところとかある?」


「ううん。特には無いんだけどひさしぶりに会ったからどこか行けたらなぁって思ったの...」


すこし照れながらそう言ってくれる美桜に尚は可愛いと思ったが、

気味悪く思うかもしれない。口に出すのをグッと堪えた。


「う、うん! それじゃひとまずなにか食べようか?」


「そうだねぇーでもどこか喫茶店とかあるのかなぁ?」


二人はまばらに開いてる商店街を見渡したが喫茶店は見当たらなかった。


「店無いね…! まぁ一見してわかってたけど...ここまでとは」


尚はどうしたものかと頭を振り絞る。


「そうだ! 美桜ちゃん俺が知ってるお店でもいい?」


「うん! いいよぉ! 尚ちゃん心当たりあるの?」


「飲食店ではないけど遊びにいけるようなところに心当たりあるよ!」


「行ってみたい!」


二人はある場所に歩き始めた。


「ねぇ尚ちゃん…。 なにか後ろから物音聞こえなかった?」


「ん? なんも聞こえないよ?」


「そっかぁ! じゃ気のせいかなぁ」


「うん! ここからわりと近いからいこ!」


時が少し経ったころ、

肉屋のシャッターがドンッ音を立てていたのは二人は知る由もなかった。


***


しばらく歩くと、見覚えのある看板が見えてくる。


「尚ちゃん。お店ってあそこ? 民宿って書いてるよ?」


「うん! そうだよ! うちの親父の幼馴染みの人がやってるお店なんだよね」


「仁さんのお友達のお店なんだね! すこし楽しみかも!」


民宿いやしに着き、尚は躊躇わずに扉を開けた。


「こんにちはー!」


するとすぐにお店の奥から声がする。


「いらっしゃいませー」


ふわりとした綺麗な声だ。

奥からはやすさんにはもったいないくらいの美人、夕が顔をだす。


「あら、尚! 遊びにきたの?」


会うのがたった二回目だとは思えないほど気さくだ。


「そっちの可愛いお嬢ちゃんは尚の彼女?」


女の子連れだと気づくと微笑ましい顔つきになった。

尚はすこしおどおどしながら答える。


「彼女は櫻木美桜さんで俺の幼馴染みです! たまたま昨日会いまして!」


「へぇーたまたまねぇ…美桜ちゃんよろしくね! 私は西田夕。尚の親父の友達だよ! ここじゃなんだから上がって上がって!」


「お邪魔します!」


美桜と尚は少し緊張しながらも奥に進む。

奥に進むと換気扇の前でタバコをふかしているやすさんがいた。


「おう! 尚! いらっしゃい! 今日は彼女連れてきたのか?」


この夫婦は同じ反応をする。

さっきと同じように尚は説明する。


「よろしくおねがいします!」


美桜は多少に緊張しながらも挨拶をする。


「おう! よろしくな! 俺のことはやすでいいからな!」


二人はここまでのいきさつを話した。


「ハッハッハ! ここには喫茶店なんてお洒落なものなんてないぞ?」


やすは豪快に笑いながらそう言う。


「一応昔はあったんだけどなぁ。そのうちつぶれちまったんだよ! なんてったって人口も減ってるからな」


「昔はここら辺にも民家はたくさんあったんだ。でも震災やらなんやらで徐々に減っていったんだよ」


「今、主に人口密集してるのは商店街の辺りくらいだな。あまり遠くだと買い物するのも大変だからな。あとは畑とかで生計たててる人は外れとかに住んでるけどな」


やすさんはわかりやすく説明してくれた。


「そうなんですね! やすさんはこの村の言い伝え知っていたんですか?」


「あぁ夜に出歩いたらってやつか? 知ってたぞ。 あまり信じてはないけどな! でもこうゆう小さいコミュニティーは掟を破るといろいろとめんどくさいんだよ」


「だから尚も美桜ちゃんも気をつけるんだぞ?」


二人して「はいっ」と元気よく返事をする

民宿いやしにて二人はのんびりすごした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ