第3.5章
夕方ごろ寒さから逃れるように一匹の野良猫が炭鉱跡地に向かう。
跡地は雪や風から守ってくれるのにうってつけの場所だった。
跡地につくと大きな祠の前で毛繕いをする。
すると猫は耳をピンとたててなにかの気配を感じた。
音の方に瓦礫の隙間を通って進むと大好物のネズミが、ネズミは食事に夢中で気付いてないみたいだった。
体勢を低くして狩りの体勢にはいる。
ネズミはなにかをたべており、まるで気付いていない。
物音をたてずに近づくとネズミも気配を感知したのかシッポをたてる。
ネズミはふと後ろを向いた。
猫は体勢を低くしてたがネズミの異様さに毛を逆立てた。
よくみると毛はボロボロで血が出てるようだった。
猫は野生の勘で危険を察知したが、すでに遅すぎた。
後ろにも同じようなネズミがおりいつの間にか四方から囲まれている。
ネズミに襲いかかられ何度か噛まれたが逃げ出した。
ふらつく足取りで商店街まで歩いた。
なにかいい匂いがする。
お肉屋さんのゴミ箱に首を突っ込み生肉を貪った。
後ろから声がする。
「こらっ! あっちいけ!! しっしっ!」
小太りの人間が手を出してきた。
反射的に猫は手に噛みついて人間の肉を抉りとる。
「いてっ!! このやろう」
今度はなにやら棒のようなものを持ってきた。
猫は危険を感じそのまま逃げ出した。
「いてて! なんなんだよあいつは」
その後猫は森のなかで倒れ木から落ちた雪下敷きになった。