外伝 拳の約束(前編)
1983年日差しは強く部屋の中まで熱気が伝わってくる。
天然のサウナと化した部屋に扇風機の音だけが響き渡る。
「あちぃ!これは寝れねーよ…仕方ない早目に起きるか…」
ベットに寝転がっていた少年は一階の居間に降りていく。
「かぁちゃん朝御飯!」
「やすおはよ! あんた珍しく早いじゃない!」
「暑くて起きたんだよ! 最近天気おかしいな!」
「なにいってんだい! これが夏だよ!」
ここに天候に悪態ついてる少年は西田泰幸通称やす。
中学2年ですでに身長は180を越し髪をオールバックにした姿は大人顔負けの威圧感があった。
「早く夏おわらねーかなぁ」
「なにバカなこといってるんだいこの子は! 早くご飯食べちゃいな!」
やすは喧嘩は強いが唯一敵わないものそれが両親だった。
いつもどおりご飯を食べていると玄関から声が聞こえてくる。
「おはようぉ!!」
「ほれっ、あんたがぼやぼやしてるから夕ちゃんが来ちゃったじゃないの!」
「夕はやくないか?」
元気に朝からあいさつをしてる女の子は村田夕やすの幼馴染みだ。
「おばちゃん! おっじゃまします!」
「はいよ! 夕ちゃんおはよ!」
「おう! 夕!」
「やすまだ食べてるの?」
「いやまだ早いだろ!」
「なにいってんの? 今日は朝からジンとゆうこちゃんとテスト勉強するって言ってたでしょ?」
「あっ…」
「やす?まさか忘れてたんじゃないでしょうね?」
「いや…忘れてねーし…それで朝早く起きたんだし…」
「はいはい! 早く用意して!」
「おいっ信じてないだろ!」
「信じてる! 信じてる! 早くやす!」
やすは朝から夕に急かされながら準備をする。
学校に行く準備を整えて急いで二人は家を出た。
「やすはまったく忘れっぽいんだから私がいなかったらどうしてたの?」
「仕方ないだろ昨日はまた絡まれてそれどころじゃなかったんだから!」
「やすまた喧嘩したの?」
「違う! あれは俺は悪くねー! あいつらが勝手にふっかけてきたんだよ!」
「でもしたんでしょ? 怪我はしてない?」
「当たり前だ! あんな奴等にやられてたまるか!」
「そう! あんま喧嘩はしないでよ! 恨まれて刺されちゃうよ?」
「そうなったら刺される前にヤってやる!」
「まったく…」
これが二人のいつものやりとりとなっていた。
昔から親同士が仲良しで才色兼備の夕とガラの悪い不良のやすは、周りから美女と野獣のような言われかたをしていた。
二人は商店街を通る。いつもの通学路だったがいつもと違い、商店街を抜けた先に5人ほど不良がたむろしていた。
「おい! やす! てめぇー昨日はよくもやってくれたな!」
「あれ? 昨日のやつじゃねーか! 良かったな歩けて」
「てめぇ! 今日はぶっ殺してやるよ!」
「もうやめとけよ! 今度は手加減しねーぞ! 悪い夕! 先に行っててくれ!」
「いやでも!」
「大丈夫だから! すぐ向かうから心配すんな!」
「おい! こら! 無視してんじゃねーよ! 女と仲良く話し込みやがって!」
「ほらっいけ! しっしっ」
やすは夕を手で払いながら学校に行かせる。
「わかったわよ! 早く来なさいよ!」
夕に振り向かないで手だけやすは振った。
「おい! きいてんのか!」
怒りが頂点に達した不良の一人がやすに殴りかかる。
やすは横に避けて殴りかかった不良の脇腹を蹴り飛ばした。
「人数多くても弱いもんは弱いな! さぁ時間ねぇんだ…まとめてこいよ!」
やすが残りの不良たちを倒すのに要した時間は僅か5分あっという間の出来事だった。
「これに懲りたらもうくんじゃねーよ」
やすはその風貌から村の不良たちの目に止まる存在だった。
そのためこうした喧嘩は後を絶たない。
「やべっあいつらに怒られる…」
やすは急いで來島中学校に向かった
そのあと三人からのバッシングが激しかったのは言うまでもない。




