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第7章 廃校


俺は民宿いやしから美桜ちゃんと一緒に車に乗り込み、やすさんが言ってた母校へと向かう。

その途中バックミラーから後ろを覗いてみると民宿から炎があがっていた。

尚は声に出さないようにしながら涙をながした。


しばらく走らせていると学校が見えてきた。

周りはフェンスに囲まれておりどうみてもすでに廃校になっているようだ。


「美桜ちゃんあれだよね?」


「うん…そうだね…すでに閉まってるみたいだけど、入れるのかな?」


「そうだね。入り口を探してみよう! 入れたらここで一休み出来るからね」


二人は学校の周りを見渡してみる。

一部壊れてるところがありそこから中にはいれそうだ。

美桜と尚はフェンスのなかに入り、校庭をすすむ。


「なんか懐かしいね…あの木の周りでよく遊んだの覚えてる?」


不安と緊張で美桜はハイになっているようだ。


「そうだねぇー変わってないねぇ」


尚は調子を合わせる。


「尚ちゃんあそこの木の前でいつも泣いてたもんね!」


「そんなこと覚えてないよ!」


尚は冷静に入り口を探す。

美桜はからかいながら彼のあとをおった。

よく見ると窓が一部割れており、鍵を開けれそうだった。

尚は服の裾で手をおおい、割れた隙間から鍵をあけた。


「よし、美桜ちゃん開いたよ! このまま中に入ろう」


「うん! ありがとう!」


校舎のなかは二人の記憶とは異なり荒れていた。

普段なら気味が悪い夜の校舎も外があの状況じゃ幾分かましにさえ思える。


「なにかマットみたいな寒さを和らげるものとかないかな?」


「どうかなぁ? この感じだとなんも無さそうだけど…」


二人が夜の校舎を歩いていると宿直室のプレートを見つけた。


「あそこならまだなんか残ってないかな?」


「そうだね! とりあえず行ってみようよぉ」


尚は宿直室のドアに手をかけて慎重にあける。

部屋のなかはなにもなかったが幸い布団が残っていた。

いつのものかわからないが、丁寧にカバーがかけられていたので毛布とかは使うことができた。


美桜と尚はお互い背中を合わせあいながら座り、ひとつの毛布で暖をとる。


「ねぇ尚ちゃん…やすさんと夕さん大丈夫かな?」


「きっと大丈夫だよ…夕さんがよくなったら追ってきてくれるよ…」


尚は美桜に心配かけたくなくて嘘をついた。

民宿は確かに燃えていた…きっとやすさんが火をつけたんだ…

そしてきっと二人はもう…

尚は今の感情をぐっと堪える。


「ここは鍵もかけたし、明日のためにもう一度寝よう」


「うん…そうだね」


二人は宿直室で一眠りした。


冬の寒さに尚は目を覚ました。

いくら毛布で二人背中合わせで寝ても寒かった。


ただ外は真っ白で雪が輝いていた。

綺麗だった。


美桜も目を覚ましだす。


まだ時間は朝の六時を過ぎた辺り。


「美桜ちゃんおはよう!」


「おはよ...う..尚ちゃん…」


寝ぼけながらも学校を探索する。

昨日は暗くてわからなかったが備品はそのまま残っているようである。


そのなかで炭坑の歴史というコーナーがそのまま残されていた。


「尚ちゃん見て! 昔はダイナマイトで石を壊して石炭を掘ってたんだって! すごいねぇ」


「へぇそうなんだ。 じぃちゃんもそうやって掘ってたのかな?」


そしてふと尚は気づく。


「美桜ちゃん。まだダイナマイトってどこかに残ってるのかな?」


「どうだろうねぇ昔のことだからねぇ! でも炭坑跡にいけばなにか見つかるかも知れないかもね! どうして?」


「いやこれは俺の仮説なんだけど、美桜ちゃんはホラー映画とかみたことある?」


「子供の頃にあると思うけど怖いのあまり得意じゃなくて…」


「そっか…よくゾンビとか聞いたことない? ハロウィンとかで」


「あっ! それならあるよ!」


「良かった! ゾンビって噛まれたり引っ掻いたりするとその人も同じゾンビになっちゃうんだ。きっと村ではこれと同じものが広がっているんだと思う…」


「そんな…でも映画とかのお話でしょ?」


「でもそれしか考えれないんだ…梅ばぁちゃんも襲われてそれから死体が消えた。美桜ちゃんのおばぁちゃんだって人を食べてたって言ってたよね…ゾンビになると食欲の事しか考えれなくなる…」


「それなら病気ならいつかは治るんじゃないかなぁ‥‥」


「ゾンビは一度死んで蘇るんだよ? そんな都市伝説みたいな病気…今じゃ信じてもらうほうが無茶だよ…」


尚は続ける。


「美桜ちゃん。ゾンビは感染する…今は外に出さないようにすることがいいと思うんだ」


「それってどういうこと?」


「ダイナマイトがあれば雪崩を起こすことが出来るかも知れない…。つまり、雪崩を起こしてこの町を閉じ込めさせる」


「でも他に感染してない人がいるかも知れないよ?」


「そうだね…。それは確かにいるかも…」


「雪崩を起こす前に村全体に放送をかけて逃げるようにするのはどう?」


「確かにいい考えだけど放送ってどうやるの?」


「ここは学校だから校内放送がないかな? それを拡声出来れば注意を促せないかな…」


「でも電気なんて流れてないんじゃない?」


「尚ちゃん私を誰だと思っているの? 仮にも教師の卵だよ?」


美桜は少し誇し気だ。


「学校にはね災害からの避難場所に指定できるように発電機が備え付けされているの! たぶん地下にあると思う!」


「そうなんだ! じゃ発電機を動かせれば校内放送を流せるのか!」


「うん! それにここは高台にあるから目一杯音量を上げれば村全体に聞こえるんじゃないかな?」


「うん! じゃさっそく地下を探してみよう!」


二人は校内を探してみる。

すると地下につづく階段を発見した。


「美桜ちゃん! ここから地下にいけそうだよ」


「うん。行ってみよう」


尚は念のため階段に落ちていたバールを手にして一歩ずつ慎重に階段をおりていく。

地下は薄暗く携帯の明かりだけが頼りだった。

階段の先には配電室とプレートがかかった扉がある。

ドアノブを回すと扉は開いていた。


「ラッキー! 美桜ちゃん開いてるよ。きっとここに発電機もあるはず!」


「うん! 尚ちゃんなにが出るかわかんないから気を付けていこ…」


地下室は暗くてポタポタ水滴も垂れていた。

控えめに言っても薄気味悪い空間であった。

二人は慎重に奥まで歩くと赤い発電機のようなものを発見した。

発電機はバッテリーと繋がっているが、動くか不安が残る。


「これだね…これは動くのかな?」


「そうだね…これがスイッチみたいだよ」


美桜がスイッチを入れるとガガガっと音をたてて電気がついた。


「美桜ちゃんやったね! まだ使えたよ」


「うん! あとは放送室を探すだけだね!」


電気がつき地下室もすこし明るくなる。

すると奥からふらふらと人影が近づいてくる。


「誰だ! 止まれ!」


尚はバールを構えて人影に忠告するが止まらない。

次第に姿が見える、顔の肉はそげおち、右足は曲がらない方向に曲がっていて引きずりながら歩いてくる。

尚は醜悪な姿に吐きそうになる。


「尚ちゃん...あれがゾンビ…」


「うん! 美桜ちゃん下がってて…」


尚は近づいてくる男に思いきりバールを振りかぶり殴りかかる。

体に当たるがすこしのけぞりはしたが、男はそのまま進んできた。

両腕で尚を捕まえようとする。

尚は捕まらないように後ろに距離をとり、またバールを振りかぶった。

今度は頭に命中し男は倒れた。


「すいません…ゆっくり寝てください…」


尚はなにかを覚悟したように止めにバールの尖ったところで頭を貫いた。

引き抜くときにヌチャッと音をたてる。


「…...人を殺しちゃった…」


「尚ちゃん…仕方ないよ…殺さないとこっちが殺されていたんだから。守ってくれてありがとうね」


改めて今どんな状況なのか二人は認識した。

殺さなければ、殺されてしまう。

命のやりとりに手が震える、尚は美桜にわからないように隠す。


「うん…美桜ちゃん今は放送室に向かおう…」


「うん…そうだね…今はここから離れよう」


二人は配電室から出て今度は放送室を探した。


二人は学校の中を歩きまわっていると放送室のプレートを見つけた。

尚は扉をあける。機材はそのままにしてあったようだ。


「美桜ちゃん! 放送できそうだけど、やったことある?」


「ううん。でも一度友達がやっているの見たことあるよ。私意外と要領いいんだ。待ってて」


美桜は尚が分からないボタンやスイッチをいれてマイクの音量を調節した。

するとほどなくしてスピーカーからはキーンっと音をたてて声を届ける準備が完了する。


「尚ちゃん、これで出来るよ」


そのまま尚が話し出す。


「すいません。俺は白波尚といいます。信じられないかも知れませんがゾンビウィルスが蔓延しています。原因はわかりません。ただ噛まれたり引っ掻れたりするだけで感染して同じくゾンビとなり人を襲います。俺の大事な人も襲われてなくなりました。俺は村から外にこのウィルスを出すべきではないと思います。今から二時間後に村に雪崩を起こして封鎖します。ウィルスに犯されてない方はトンネルより脱出してください。」


「繰り返します。今から二時間後に村に雪崩を起こして封鎖します。ウィルスに犯されてない方はトンネルより脱出してください。これは嘘ではありません。怪しい人には近づかないように注意してください」


放送を終えて、二人は放送室を出る。


「これで無事な人は脱出してくれたらいいけど…」


「そうだね…尚ちゃんあとはダイナマイトを見つけて設置しないとだよ…」


「うん…急ごう…多分炭坑跡に残してると思う」


二人は学校をあとにして炭坑跡に車を走らせる。



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