～とある少年の手紙～
―――マーディル暦２０２８年、１１、０４～
元気か？
俺のところは相変わらず毎日忙しい日々を送ってる。
おばさんたちの扱いの酷さときたら粗いのなんの。
でもまあ…今の下宿先もまんざらではないけどな。
そういやさ、いつか俺と一緒にパン屋をやれたらな、なんて約束だったけどよ…
やっぱ俺、パン屋の夢…止めた！
まあまあ怒るなよ。そりゃあ引越しのときに誓った俺たちの約束でもあるけどさ。
しかし、夢を追い求めるのを止めたわけじゃない！
実はさ…軍人になりたいと思ってるんだ。
あ、笑うなよ？
気まぐれってわけじゃないんだ。
同じ下宿先に軍人の奴がいるんだけど、すっごく良い奴で尊敬する奴なんだ。
年上だし、この場合は憧れるって奴かな？
皆から頼りにされてて、正義の名の下に！ みたいな？ のとかいいなあって思うんだよな、最近。
馬鹿にするなよ。あと、笑うな。
ま、とにかくそんなわけだから、俺これから軍の勉強するつもりだ。
実際、俺の力がどこまで通用するかはわからないけどな…
ちなみにこの話は俺とお前だけの秘密な！
俺も下宿先のおばちゃんに内緒にしてるし、俺自身でも、今は心の中に留めてる野望ってレベルにしたいんだ。
後々意思表明はしたいけど…おばちゃん説得できるかどうかが問題なんだよな…
おばちゃんは俺とお前の夢を知ってくれてて、めちゃくちゃ応援してくれてるからな…
だからさ、こんなこと書くのもアレなんだけどな。
お前はさ、パン屋の夢、諦めるなよな。
俺も本当に軍人になれるかは判らないしさ。
お前はお前で、俺の分まで約束を果たしてくれ！
…って、俺すげー自分勝手だよな。
でも、俺たちの夢と約束がなくなるのは、それはそれで嫌だから。
頼む。どうしようもない親友の頼みを託されてくれ！
最後に、これだけは書いておきたい、宣言したい。
俺とお前は何があっても親友だからな！！
未来永劫、それは変わらないっ！！！
以上！！！
＜追伸＞
もし軍人になれたら絶対遊びに行く！
…軍人になれなくても、だけどな。
