~読まれることのないある少女の手紙~
お手紙なんて急にどうしたのって思うよね。
でもね、どうしても話したかったけど、全然言えなかったことがあって。
だからそれを手紙で書くことにしたよ。
一つはね、私が何処から来たのかってこと。
あのときは怖くて言えなかったけど、私はどこかはわからない大きな施設にいたの。
私が小さかったときにはもうそこで暮らしていて、周りにも同じような子供がいっぱいいた。
そこには大人の人もいて、その人たちはみんな羽とか変わった足とか付いていて。
でもそれがふつうだって思ってた。
ふつうじゃないってわかったのはその大人たちが可笑しくなってきたから。
そして私の背中にも羽が出てきたから。
両手が羽になっちゃったお友だちもいたし、くちばしに変わった子もいた。
それを見た大人の人がすごく怖い顔をしていて、それでふつうじゃないんだって知ったの。
真っ白な服を着ていた大人たちが言っていた、「お前らは人間じゃない、天使だ。養製天使だ」って。
その意味を知れば知るほど私はふつうじゃないって知って、怖くなった。
ぜったい人間だったはずなのに、天使だって言われるのが怖かった。
そのうちにみんなが段々おかしくなってきて、変なことを言うようになっていった。
そのせいでひどいお仕置きをされるようになって、でも、どんなにひどいケガをしてもしばらくしたら元通りになってて。
そういった人たちはいつの間にかいなくなっていった。
それがどういうことか、私でもなんとなくわかってた。
だから、大人の人たちが逃げ出そうって出て行ったのと一緒に私も逃げ出した。
そこからどうしてみんなとはぐれちゃったのか、どうやってこの町に来れたのかはあんまり覚えていないの。
でもね、なんとなく呼ばれたような、導かれたような気がする。
エスタたちと出会えたのは運命だったんだと思うの。
あとね、もう一つはね、私の夢について。
エスタと出会って私は色んなことを知ったんだよ。
ちゃんとしたごはんも、パンの作り方も、みんなと食べる食事も。
それが楽しくて幸せだってことも。
エスタとルイスのおかげで知ることが出来たよ。
ありがとう。
エスタはいつもやさしく見守ってくれて、色々教えてくれて。
本もいっぱい買ってくれてありがとう。
読んでるとついつい寝ちゃうけど、がんばって勉強してもっと色んな料理とか作ってあげたいんだ。
ルイスはいつも笑顔で賑やかで楽しませてくれて。
ちょっとずるいときもあるけど、でも本当はまじめなんだってこと、知ってるよ。
私とエスタのこといっぱい考えてくれてありがとう。
二人は私にとってお兄ちゃんみたいでね。
でね、すっごくすてきな王子様だよ!
私はそんな二人と一緒にずっとずっといたい。
それが私の夢なの。
私を助けてくれる優しい王子様のエスタと、私を楽しませてくれるまじめな王子様のルイスと。
ずっとずっと幸せに暮らしたい。
いつもありがとう、エスタ、ルイス。
二人とも大大大好き!
ミラ―スより




