~とある少年の日記~
2024年、05、08
今日、ぼくの親友が引っこしてしまった。
ぼくが知り合いのおばさんたちの家に来たときから、ずっと親友だったルイス。
ルイスはいっつもまじめで大人びていて落ちついているし、引っこした先でもきっとだいじょうぶだよね。
でもぼくは、本当は、ルイスとはなれるのがさびしいんだ。
ルイスのおかげでぼくはすごく変われたような気がするから。
ぼくがこの村にやってきたときはおばさんたちも怖くて、独りぼっちで寂しくて。
『お前がいなくなればいい』とか『こんな世界はいやだろう』とかいやな声もいっぱい聞こえてきた。
耳をふさいでも聞こえてくるそのいやな声を、聞こえなくさせてくれたのはルイスなんだ。
ルイスが声をかけてくれたから、遊んでくれたから。
ルイスのおじさんもおばさんもやさしかったから。
ぼくは兄弟みたいだったルイスがいてくれたから、今のぼくになれたんだ。
だから、そんなルイスがいなくなるっていうのはすごくかなしいよ。
ぼくのお母さんとお父さんが死んじゃったって聞いたよりも、もっともっとさびしい。
けれど、こんなことはルイスには言わなかったよ、てれくさいから。
かわりに「もっと気楽に生きた方がルイスには良いよ」と言ってみたんだ。
ルイスはいつも気を使ってばかりだったから。
ルイスは笑っていたけれど、そうなってくれるとうれしいな。
それから、別れるときに約束をした。
ぼくもルイスも、ルイスのおばさんに教えてもらって上達したパン作り。
ルイスのおばさんのパンは何よりもおいしくて、一番のごちそうだった。
一番幸せになれる食べものだと思うんだ。
そんなパンを作って、みんなに食べてもらいたい。
もっといろんな人に食べてもらおう。
だから、大人になったら一緒にパン屋になろう。
世界一のパンを作って、有名になっちゃおうよ。
そうしたら、もしかしたら、他の誰かも幸せに出来るかもしれない。
なんて、大げさなことを言ってさ。
きっとルイスは本気じゃなかった。
でも、ぼくは本気だ。
本気でルイスとパン屋を開いて、いつか世界一のパンを作るのが夢で、約束なんだ。
それと、もう一つ二人で約束をしたよ。
「たとえこの先、どんなことがあっても、おれたちはいつまでも親友だっ!」
ってこと!
これはぜったいのぜったい!
何があってもぼくは守るよ!




