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Lifes∵正義と悪は1人2役、演じるのは泣き虫ヒーロー  作者: 凸遅 ひーる凹
第0章 Life's…
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第3話a² 

きっとたぶんそのうちここら辺のセパレってる話をくっつける可能性がなきにしもあらざるなり

「(ピッ)トリプルアウト!」



 審判の先生の甲高い笛が虚しくコートに響く。



「「……まじか。」」



 俺と悠希の驚きが自然と合った。それほどまでに少女の力が絶対的だったのだ。



「やったぁ!ねらいどおり!!」



 一瞬にして3人を葬ったボールは、そのまま少女の元まで帰ってきていた。



「もーいっかい!!…えいっ!」



 またしても少女はトリプルアウトを出し、ボールは少女の手にある。



「「…えぇ………」」


「…えいっ!(天 下 無 双)」



 少女はあっという間に9人という数を減らしてしまった。そもそもこの授業では20人vs20人の試合をしていたため、俺たちのチームはすでに半分近くの人が外野にいる状態になってしまった。



「……まだ開始30秒だけど?」


「そんなこと言ってる暇ないよ、和希も気張って!」



 相変わらずボールは少女の手にある。数秒前まで無邪気に見えた少女の笑顔が、今では殺戮マシーンの生け贄選定に見える。



「まだまだこれからだよ!…えいっ!」



 ボールはスピードを落とすことなく1人2人と人体を跳ねて進み、3人目に勢いよく飛びついた。


 しかし、その攻撃でコートに笛が響くことはなかった。



「うわぁー、危ないあぶない!でもボールは捕ったから3人ともセーフだよね♪」



 音がなるほど強く回るボールを腕の中で受け止めたのは、不敵に笑う悠希だった。



「ああ!ボクのボールが…!!」


「すごいね!3回連続でトリプルアウトなんてマネできないよ!でも、そう簡単には勝たせてあげないよっ!」



 確かに少女は強い。機械的とも言える計算と多少の無理を乗り越える力強さによる圧倒的な攻撃は、俺たちに容易く絶望を与えた。


 しかし、そこには弱点があった。それは人を見ることができないということだ。よりによって悠希にボールを渡してしまったのだから。




 悠希はふっと息をはくと、視野を広げてボールを握り直す。



「さて、反撃しよっか。」






 悠希が投げたボールは空を切り裂き、相手チームに1人目のアウトを出す。ボールは何度も悠希に投げられ、1人またひとりと次から次にボールを相手に当て、凄まじいペースで相手が減っていく。


 相手の半数をアウトにしたところで悠希はいい放つ。



「お返しは十分できたかな…!」



 悠希は少女に視線を送る。



「ボ、ボクも負けてられない!!」



 悠希と少女は互いに目を合わせる。一瞬にして空気が干上がる感覚がした。






 試合は順調に進み残る内野はちょうど5人vs5人となった。少女も途中からは人数を減らすことではなく、悠希ただ1人を狙って試合を進める。



「むぅ!なんでボクのボールがキャッチできるの!!」



 変にトリプルアウトなどを狙う必要がなくなった少女は、悠希を目標に全力投球を繰り返すものの、毎度のごとくボールはきれいな音を立てて悠希の手中に収まる。



「あははっ!お互いまだまだこんなもんじゃないでしょ?」



 互いの力を高め合う時間がずっと続いている。それはもうキャッチボールのようだった。しかし、普通のキャッチボールと違う点は、体に当たれば2、3本は骨を持っていかれそうな球威であることだった。




 未だにオールウェイズ デンジャラスなボールのたらい回しを観戦しながら俺は思う。


―――これ俺ら要らなくね?


 正直、2人のどちらかが負けたらそれは実質チーム全体の負けだろう。それが決定づくほどの破壊力が彼女らの間でのみ成り立っているのだから、他の人間は手出しできない。


 むしろ手出しする気がなく「委員長がんばってー!」や「ちっちゃい方も負けるなー!」などと応援だけに集中している人が自然と出てきた。内野にいるのに座って見ているだけのヤツもいる。そう、私です。






―――そのとき、少女が膝から崩れ落ちた。



「あ…れ……?」



 それはボールを投げようと少女が力んだ瞬間だった。


 少女は気づかぬうちにその小さな体の限界を迎えていたのかもしれない。しかし、体勢が崩れたからといって投げかけたボールごと完全に停止する訳ではなく、今までとは大きく軌道のそれた位置にボールが飛んでいった。


 そして運が悪いことに、その位置でたまたま無防備に座っていたヤツがいる。そう、俺やでぇ!




 予想外の方向へ飛んだとはいえ、ボールの威力は依然として弱まることを知らない様子であった。


 俺は願う。

(なるべく痛くないように当たってください。)




 ボールが目前に飛び込んで来たところで、俺は両目をギュッと閉ざした。






―――ボールが体を弾く音が聞こえる。




 しかし、俺にボールが当たった感触はなかった。



 ゆっくりと体の硬直を解き、うっすら目を開ける。するとそこには悠希の姿があった。



「……えっ、……悠希…?」



 高い笛が鳴り響き悠希のアウトが告げられる。



「あっ、……やっちゃった!てへっ♡」



 いや てへっ♡じゃなくて!…と悠希の言葉に訂正を入れようとしたが、悠希は後悔など知らないように清々しい顔をしており、口を出すことができなかった。



「ごめん後任せた!なんとかして!」



 悠希はそれだけ残してさっさと外野に行ってしまった。


―――なんとかしろって言ったってどうにもできないのは悠希が一番分かってるはずなのに…




 そうしている間に少女の方は立ち上がり、体に支障をきたすことがないよう、屈伸などの準備体操をしている。それが一段落ついたところで少女が言い放つ。



「ちょっと不本意な決着!でも今度はもう倒れないよ!」



 一生倒れててほしいけどね。



「さて、次の相手はキミだね!!」



 少女は俺を指す。それは悠希を当てたボールが俺の足元に落ちていたからだ。なるべくお手柔らかにと念じつつ俺はボールを手に取って構える。



「ボクはもっと本気で行くから覚悟してね!」



 俺あのレベルのボール受けたら風穴空くけどなぁ


 よしっ、やってやるかと覚悟を決めて俺は助走を取る。




  「悠希の敵を討つ」


 ただそれだけなのに不思議と力が湧いてくる。



  心臓で赤く燃える全てを指先まで届かせろ。











「ぇへ~~~~~いっっっ!!!!!」






おれがなげたぼーるはぷかぷかうかんでゆっくりしょうじょにきゃっちされた。。。



「えっ、フォームきっっっしょっ!?」



 少女の何気ない一言が心に突き刺さったとさ

ぼくはドッチボールって言ってたなぁ(詠嘆)

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