第3話a¹ 単純に性癖セット
軽く重い感じになります!
軽く重い感じって何スか。
とある家庭内、成人男性が子どもを突き飛ばした。
「違う、そうじゃないだろ!お前はそんな風ではないはずだ。」
男は血眼になって、その子の小さな頭を乱暴に掴む。男はひどく痩けており、がさがさな声で子を叱った。
「なあ明希、そうだよな。お前はもっと明るくて可愛らしい子だろう?!」
子は痛みをこらえて目に涙を浮かべた。
「…なんで、こんな……イタイよ…」
男ははっと我に帰ったように子どもを見つめて抱きしめる。
「すまない…こんなつもりじゃ……」
子は掴まれた頭を解放され、脳に響くほどの痛みに堪える。男の体が震えていることに気づいた子は、男の背中を撫でて落ち着かせようとした。
「………だいじょうぶ。ちょっと、つかれてただけだよね…。ぼくはわかってるから……」
「すまない…すまない……すまない………」
子は心から懺悔する男に理解を示して、男が落ち着くまで傍にいた。
「(僕がいないとこの人はダメなのかな…じゃあ僕が見ててあげないと……)」
子は男に寄り添いながらそう思った。
「(…うっ、頭イタイ。突き飛ばされたときに打っちゃったのかな。ところで、明希ってだれのことだろ…)」
これは昔の話で、暴力を振るったのは俺の父親で、明希と呼ばれたその子は昔の俺、早瀬和希だった。
「………んにゃ…?」
「フフッ…んにゃって何?」
目が覚めて、すぐに視界に入ったのは、新しい制服を着こなし、覗き込むようにこちらを見ている“勇気”…もとい、笑広“悠希”だった。
「おはよっ!入学初日から居眠りなんて、不良ですか?高校デビューですか?」
机に伏せて寝ていた俺に、悠希は目を細めて、面白がるように問う。艶やかな栗色の髪の毛の先を肩辺りで揺らしていた。
「…ぅるさぃ、ただの寝不足じゃん。…っていうか起こしてよ。」
「めんどーだからやだぁー。」
悠希はだらしない顔で姿勢をゆるませる。
しかしそう言い終わった瞬間、今までおふざけテンションだった悠希が、突然スッと静まり返った。
「………和希って、友達できた?」
俺は涙を浮かべた。
「わぁ待ってまって!!ごめんって!」
「ひっぐ…俺だってぇ↑頑張ってるもん↓ぇっう」
悠希は高校生になった俺の唯一の知り合いかつ幼なじみである。まさか同じクラスになれようとは思っていなかったが、俺が友達を作れずにいる間も彼女はクラスメイトと親交を深め、俺とのレベルの差が歴然となってしまった。
「…ていうか学級委員長になったらしいですね。」
「あー、まあ成り行きで、っていうか…」
悠希は自分の髪をいじりながら苦笑いを浮かべる。
「いやぁそう言えるのがさすがって感じッス」
「陰キャをヨイショするときの陽キャの語彙やめて」
「ふー、なんか…ね、やっぱ俺ってダメなんだなぁって思ってさ。」
上を見上げて語りだす俺を悠希が心配そうに見つめる。
「悠希はすごい頑張ってるのに、俺はいつまでたっても人見知りが直らないし誰かと話せたとしてもテンパって変なこと言っちゃうし…」
「……………和希…」
「もうヤだこんなの…、はよ自分を変えたい……、ティックトック始めようかなぁ」
「おい、その先は地獄だぞ」
この翌日、俺にとって大きなターニングポイントであるココロと出会うことになる。
ある日の朝、体育館にて、俺たちはドッジボールをしている。えっ、ドッヂボールだっけ?まあいいや…
「それではスタートします。」
先生の笛が鳴る前に悠希が近づいてきた。
「和希!どうせならがんばって勝とうね!!」
「あなたは運動神経がいいんだからひとりで無双できるわよ。」
「おほほほ、協力することに意味があるんザマスよ!」
ピーッと高い音が響き、それが開始の合図となる。
「さあ、始まるザマスよ!」
「いくでがんす。」
「ふんがーー!!!」
「「えっ!?」」
ザマス担当の悠希、がんす担当の俺の後に続いて誰かが声をあげた。声がした方向へ振り返ると背丈の小さな女子が圧倒的な跳躍力でジャンプボールを制している情景が見えた。
「ふふん!ボクが勝っちゃうもんね!」
身長が小さい分滞空時間が人並み以上の少女は、着地しきる前にドヤ顔を始めていた。
「待って、あの子、ボクっ娘やん。」
「キミさぁ、反応、速すぎない?」
その少女が相手チームであることが悔やまれるが、ちまっとした見た目通りに元気で可愛らしい攻撃をすることだろう。
「…っていうかあの子設定盛りすぎじゃない?」
「それはマジ分かる。」
俺の意見に悠希は共感した。
というのも少女の属性は、ボクっ娘で体は小さくて赤茶色の髪でポニテで首にヘッドホンを着けていて元気はつらつとしている。
これ以上は属性過多を起こしかねないし新人作家が変に設定を盛り込みすぎて後で使いづらくなるタイプのキャラな気もする。そのうち穏便に退場させられそうなタイプのキャラだなぁ、みつを。
「いっくよーー!!!…えいっ!」
少女は振りかぶってボールを投げた。実にかわいらしくダイナミックな動きを俺は微笑ましく眺めていた。
少女の投げたボールは目にも止まらぬ速さで右へ左へ反射していった。
「(ピッ)トリプルアウト!」
審判の先生の笛が静まり返ったコートに響く。
「「……まじか。」」
いきなり細切れにしてスミマセン!
ストックがなかったから2000文字程度でセパレーツさせてもろてます
今後もちょくちょくガッツリセパレーツさせつーつでいきます!